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ツイッタ―小説 3本目

ツイッタ―小説を始めて、3本目ですが、140文字以内でいいのに3本とも、ぴったり140文字にしてしまうんですよねー。
そんなところに力入れるんじゃないよーと思うんですけど。
ここにまとめて紹介しておきます。


1本目

留守のはずの彼の家へ電話をかけた。呼び出し音が鳴る。まだ見たこともない彼の部屋の空気を震わせて、飼っている子犬を驚かせてベルが鳴っているのを想像していた。たったそれだけで彼の生活に少しでもかかわれたような気になって、ちょっぴり満足をして、電話をそのままゆっくりと元に戻したある日。


2本目

守れなかった約束。行けなくなってしまったドライブを約束していた、あの日の朝9時。何十年も前のことなのに、大切な人もできたのに、休みの日、あの日の約束の時間が近づくとそわそわしている自分がいる。時間が過ぎると、そっと哀しいため息をついているのに気が付く。もう一つの人生がふと見える。


3本目

君とあの日、すれ違ったんだ。僕は車で、君は橋の歩道を前から歩いてきた。サヨナラを言われて、もうこの街にはいないはずだった君。目が少し悪かった君は僕に気が付かず、そのまま見知らぬ人のようにすれ違った。追いかけて行けなかった。あれからこの橋を通るたび、幾度も君の幻とすれ違っている。

by marinegumi | 2010-08-28 22:31 | ツィッター小説 | Comments(0)