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北京原人(2枚)

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北京原人
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窓の外は桜が満開の景色。
新中学1年生の教室は歴史の授業中だった。
教壇には、これもまた教師1年目の若い美人の女性教諭が立っていた。
生徒たちが開いているのは教科書「中学社会/歴史」の一番初めのページ「人類の起源と進化」だ。
「つまり、北京原人もネアンデルタール人も今の私たちの直接の祖先ではないんですね」
女性教諭の声は、その美貌に見合った美しい声だった。

その時、教室の後ろの扉がガラリと大きな音を立てて開き、生徒たち全員が振り返った。
入って来たのは、今、教科書で見たばかりの北京原人だった。
大きなこん棒を担いでいる。
北京原人は胡散臭そうに生徒たちを見回していたが、女性教諭と目が合うと彼女に足早に近づいた。
一瞬、にたりと笑ったかと思うと、こん棒で彼女の脳天を一撃した。
倒れ込む彼女を受け止め、肩に担ぐと後ろの扉へ向かった。
生徒たちは北京原人が通り抜けるその扉の向こうに、うっそうと茂るジャングルを一瞬見た。
扉は閉じられた。
一番扉の近くにいた男子生徒が再び扉を開くと、そこにはただ廊下が続いているだけだった。

「あら?これ見て」
先日、学級委員長に選ばれた女子生徒が教科書を指差した。
北京原人の写真がさっきと変っていたのだ。
その顔立ちは今の人類に似て、目は知的な光を宿していた。


おわり


これはツイッター小説「扉が開いた」シリーズの中の一編を元にしています。
ブログ村の「とんち・小噺 トーナメント」に参加するために書き直しました。
最初書いた時は4枚あったのですが、小噺と言う事で、2枚にまで短くしました。
4枚バージョンを見たい方は下の「北京原人 (4枚)」からご覧ください。

もう2本、思いついたので書きました。こちら↓
「恐怖のあまり、一晩のうちに髪の毛が真っ白に」

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北京原人 (4枚)

人類がタイムマシンを作るのは不可能だ。
現在と過去の時間を繋ぐ様にワームホールを自在にコントロール出来ればタイムトラベルも可能かもしれない。しかしそれは物理学上の仮説であり、到底実現しようもない理論なのだ。
しかし宇宙を支配している理論の気まぐれで、ワームホールが自然に開いてしまう事がないとは言い切れない。

それが開いたのは中学校の教室だった。

窓の外は桜が満開の景色。新中学1年生の5組の教室は世界史の授業中だった。
教壇にはこれもまた教師1年目の若い女性教諭が立っていた。かなりの美人だった。ピンクのミニスカートのスーツを着て黒板にチョークを走らせている。
そんな彼女を男子生徒はみんながみんな、あこがれの目で見ていた。
あからさまに彼女のミニスカートを目で追う男子生徒の後頭部を、三角定規でこつく女子もいた。
生徒たちが開いているのは教科書「中学社会/歴史」の一番初めのページ「人類の起源と進化」だ。
「つまり、北京原人もネアンデルタール人も今の私たちの直接の祖先ではないんですね」
女性教諭の声は、その美貌に見合った美しい声だった。
しかし、歴史も面白いのは初めの頃だけで、だんだん暗記が重荷になって来るのに生徒たちはまだ気が付いていない。

その時、教室の全ての窓ガラスが一瞬震えた様に思えた。地震とは性質の違う僅かな衝撃だった。実はその時、空間そのものが刹那、振動したのだった。

教室の後ろの扉がガラリと大きな音を立てて乱暴に開けられると、生徒たちは一斉に後ろを振り返った。
そこから入って来たのは北京原人だった。今まさに教科書の写真(正確には想像で作られた北京原人の胸像の写真)で見たばかりの北京原人だった。大きなこん棒を担いでいる。生徒の中には目を白黒させ、教科書とその北京原人を見比べている者もいた。
教科書からそのまま抜け出して来た様な北京原人は、胡散臭そうに生徒たちを見まわしながら机と机の間を歩いた。誰も何が起こっているのかもわからないまま、逃げ出そうともしない。
やがて北京原人は、あっけに取られている女性教諭と目が合うと彼女に足早に近づいて行った。近くでまじまじと彼女を観察して、一瞬にたりと笑ったかと思うと、こん棒で彼女の脳天を一撃した。
倒れこむ彼女を受け止め、肩に担ぐと後ろの扉へ向かった。気を失った彼女の下着を見て鼻血を出した男子生徒が数名。
生徒たちは北京原人が姿を消したその扉の向こうに、うっそうと茂るジャングルを一瞬見た。そしてすぐに扉は閉じられた。

数十秒後、またあの振動がやって来た。空間そのものが一瞬震えて何かが変わった。
一番扉の近くにいた男子生徒が扉を開けると、そこにはただしんと静まり返った廊下が続いているばかりだった。

「あら?これ見て」
先日、学級委員長に選ばれたばかりの女子生徒が教科書を指差した。
北京原人の写真がさっきと違っていたのだ。ずっと今の人類に近く、知性的な顔をしている。何となくあの女性教諭を思い起こさせるおもざしだった。

もっと驚くべき変化がやって来るのはこれからだった。




おわり
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Commented by 矢菱虎犇 at 2011-10-25 21:30 x
ウソくさいお約束ごとで塗り固められた学校という世界を、こん棒一本でガツンと一掃するのが爽快ですネ!
Commented by marinegumi at 2011-10-26 10:36
矢菱さんこんばんは。
そうです。
この作品のみそはオチよりもそこですよね。
美人の女性教師をこん棒で一撃。
そのまま拉致るなんてねー
爽快その物です。
え?
学校と言う世界?
まあ、人それぞれと言う事で(笑)
by marinegumi | 2011-10-20 22:38 | 掌編小説(新作) | Comments(2)