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恐怖のあまり、一晩のうちに髪の毛が真っ白に

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その1

小説家デビューしてから、三か月。僕は最近、ある小説雑誌のショートショート特集に作品を発表した。
その作品の最後の締めくくりの文章はこうだった。
『なんと彼はその時の恐怖体験によって一晩のうちに髪の毛が真っ白になってしまったのだった。』
その雑誌が発売になって一週間後、何気なくネットを検索していると、この僕の作品に対する書き込みが見つかった。
『いま時、一晩のうちに髪の毛が真っ白になってしまうなんて書く小説家がいるとはね。そんなことはあり得ないと言うのが、ちゃんと科学的に証明されてるんじゃね?』
『なんだこいつ。大昔の小説の受け売りだろ。』
『極度のストレスでそれ以後白髪しか生えて来なくなった、と言うのはあるらしいけどね。一晩はないない。』
ブログや掲示板で同じような書き込みが、わんさか出てくるわ、出てくるわ。見ているうちに腹が立って来たが、改めてじっくり考えていると、次第に不安が心にわだかまって行くのがわかった。
作家デビューしたばかりの僕がひょっとして、こんな作品を書いてしまった事で人気を落とし、作家を続けて行く事が出来なくなるのではないかと言う不安だった。

一晩中悶々として、朝起きて鏡を見ると…



その2

死と隣り合わせの恐怖を味わった男は、九死に一生を得て生還した。
鏡に映る自分の顔を見ながら、つくづく自分が生きているのが不思議だと思い返していた。
人は過度の恐怖を味わうと、一晩のうちに髪の毛が真っ白になってしまう事があるとよく言うが、あれは嘘だと男は思った。自分が味わった恐怖以上の恐怖があるだろうか?と。

男は数週間後に思い出すだろう。自分が髪の毛を染めていた事を。




おわり



「とんち・小噺ブログトーナメント」が開催されていますが、こういうのを思いついてしまいました。
複数の記事でエントリ出来るんじゃね?と思って書いて、いざエントリーしようとすると出来ませんでした。
やっぱりなー
でもまあせっかく書いたので、公開する事にしました。
「北京原人」よりはこっちの方が「とんち・小噺」っぽいんだけどなー

*そうだ、この手があった。
 というわけで、「北京原人」からこちらへリンクしました。

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Commented by りんさん at 2011-10-24 19:01 x
面白いですね。北京原人よりわかりやすいかもしれませんね。
こういう文章を科学的に解明されちゃうと辛いですねえ^^
トーナメント盛り上がってますね。
投票も多いといいですね。
Commented by marinegumi at 2011-10-25 00:09
りんさんこんばんは。

投票する人はたぶん小説ブログに登録してらっしゃる人が多いと思うので、解りやすいと言う事がどの程度評価されるのかなーと言う所もありますけどね。

このアイデアは、最初は一晩で白髪になっちゃったけど、染めていたので解らなかったというのだけでした。
書いてみる前にネットで調べると、一晩で白髪と言うのはないと言う情報ばかりしか出て来ませんでしたね。
それで急きょでっちあげたのが「その1」です。

参加数が多いと、投票するのも疲れるかもですよ。
ミステリートーナメントにも投票参加してるんですけどね。
16作品は結構大変です。
by marinegumi | 2011-10-24 02:03 | 掌編小説(新作) | Comments(2)