「ほっ」と。キャンペーン

そのワインの名は (3枚)

a0152009_16291446.jpgバーのカウンターに、彼女は無言でうつむいて座っていた。
バーテンはさっき出した2杯目のバーボンのグラスが空になっているのを確認してから聞いた。
「何かお作りしましょうか?」
彼女はゆっくりと顔を上げる。
かなり酔っているようで、目がうつろだった。
「そうね。もうちょっと口当たりのいいお酒がいいわね」
「甘口のワインでもどうですか?」
「おねがい」
開店早々に入って来たその若い女は、バーボンウイスキーのロックを注文した。
それを一気に飲み干したのでバーテンは少々たじろいだ。
「もう一杯ちょうだい」
同じものを出すと、今度はちびちびと飲んでいたがやはり口に合わなかったのだろう。
「まったくもう。あいつなんか、あいつなんか。あんな女に…」
彼女はブツブツとつぶやいている。
何かわけありの様子で、やけ酒と言う感じだったが、バーテンは何も聞かないでいた。
ワインをグラスに少なめに入れ、彼女の前に置く。
それに口を着けた時、うつろだった彼女の眼が少し輝いたように見えた。
「これおいしいわね。何と言うワインなの?」
「これですよ」
バーテンが瓶ごとカウンターに置いて見せた。
「ふーん。何て読むのかしら?」
彼女はラベルの文字を目で追った。
BALON-DE-BALLS
「バロン・デ…バロスかな?いや違うわね」
彼女はグラスのワインを飲み干した。
「バルスだわ。バルス!
ドアが大きな音を立てて開き、店に若い男が駆け込んで来た。
「こんなところにいたのか?あれは誤解だったんだよ、シータ!いっしょに帰ろう」
その時、どこか遠くで振動音が聞こえ始め、次第に大きくなって行った。
彼女は自分の手を見た。
無意識のうちに握っていた飛行石が光を放っていた。

ラピュタの中のバー「天空」のバック棚から酒びんが落ち始めた。


おわり





仕事中でーす。
さっき思いついたのをアップしました。
もぐらさんちで、「風の谷のナウシカ」が話題になっていたので、こんなのが出来ちゃいました。

そうそう、この間の「天空の城ラピュタ」の放映で、「バルス!」の場面では、同時に「バルス!」とツイートした人が多くて、ツイッター史上最高の数だったらしいですね。
いやはや。




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Commented by ヴァッキーノ at 2012-05-12 19:14 x
笑いました。
こういう、イヒョウを突かれるのが弱いんです。
今までの展開なんてお構いなし!
そういうパワーがステキです。
Commented by haru123fu at 2012-05-12 19:30
バーは、天空にあったのですね。(笑)
バー海神との競作かな?
なんて思っていたら「天空の城ラピュタ」にあるのですね。
最後は、今流行りの(?)竜巻でしょうか。
女性を怒らすと怖いデスネー!
Commented by marinegumi at 2012-05-12 20:13
ヴァッキーノさんこんばんは。
こう言うのも書くんだぞーと言う感じですね。
たまにはこういうのも挟むとバラエティー感が出て来ませんか?

Commented by marinegumi at 2012-05-12 20:20
haruさんこんばんは。
haruさん、haruさん。
これって「天空の城ラピュタ」のパロディーですからね。
ラピュタにまだ人が生活していて、そこにシータとパズーが暮らし始めて何年も後のお話。
パズーが浮気したと思ったシータが、やけ酒を飲んで酔っぱらって、声に出して読んだワインの名前の一部が「バルス」という滅びの呪文と一緒だったというわけで、ラピュタの崩壊が始まっちゃったわけです。
Commented by りんさん at 2012-05-14 18:23 x
シータがワインを飲んでる(笑)
もしかして、二股されてる?

映像を見てから読み直すと、さらに面白いですね。
こういうワイン、本当にあるんですか?
Commented by marinegumi at 2012-05-14 23:29
りんさんこんばんは。
二股にすればタイムリーだったんだ!
おしい事をしました。
この場合は二人はラピュタにやって来てから結婚しているんです。
と言う事は浮気疑惑ですね。

「BALON-DE-BALLS」は本当にあるワインですよ。
甘口の赤ワインです。
この作品を書き始める前に、まず「バルス」と言う名前の付いたお酒を検索して探しました。
どんなお酒でもよかったんですが、強いお酒かどうかで多少ストーリーが変わったでしょうね。
by marinegumi | 2012-05-12 16:29 | 掌編小説(新作) | Comments(6)