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ブラッドベリはここにいる

追悼詩「6月は雨降りしきる国」は、ブラッドベリファンではない人にはちょっとわかりにくいところがあると思います。
そこで少々解説を。

まず、「6月は雨降りしきる国」は言わずと知れた短編集「10月はたそがれの国」のパロディーになっていますが、作品に、「優しく雨ぞ降りしきる」(火星年代記 所収)や「雨降りしきる日」(メランコリイの妙薬 所収)などがあります。それらを踏まえているわけですね。

この詩自体のテーマとしては「ロケットマン」(刺青の男 所収)を踏まえています。
この「ロケットマン」と言うお話は、宇宙へ出て行った父親が、もしも金星で亡くなったら金星を見るのも嫌になるでしょう、火星で亡くなったら火星が出ている夜には部屋に鍵をかけるでしょうと母親が言うんですね。
ほかの星で亡くなっても同じこと、それらの星が出ている夜には外へは出ないと言う。
そして父親が亡くなったという知らせが来る。
彼が亡くなったのはどこだったのか…と言うお話です。
「ロケットマン」をブラッドベリに見立てて、更に金星の太陽面通過の日にからませているんですね。

「雨降りしきる金星」と言う表現はブラッドベリが描く金星は雨がいつも降っているからです。
「長雨」(刺青の男 所収)や「すべての夏をこの一日に」(メランコリイの妙薬 所収)で描写されています。

「太陽の黄金の林檎」は、冷えて行く地球のために、太陽からそのエネルギーを持ち帰ろうとする宇宙船のお話「太陽の黄金の林檎」(太陽の黄金の林檎 所収)の宇宙船と、金星に降り立ったブラッドベリを重ねているわけです。
更に太陽に近づき過ぎて落ちたイカロスともイメージをだぶらせています。
それで「レイモンド・イカロス・ブラッドベリ」としたわけです。
レイ・ブラッドベリの本名は、「レイモンド・ダグラス・ブラッドベリ」ですからちゃんと韻をふんでいますね。
作品には「イカロス・モンゴルフィエ・ライト」(太陽の黄金の林檎 所収)と言うのがあります。




ところで、倉庫からブラッドベリの本を探し出してきました。
しばらくブラッドベリばかりを読んで見ようと思ったんですが、とりあえず全部枕元に並べておこうというわけですね。
うーん、どうもまだ倉庫の片隅に埋もれている本がありそうですね。
「恐竜物語」や「夜のスイッチ」がこの中にはありません。
確か買っているはずですが。

これは文庫本ですね。
ブラッドベリを初めて読んだのは創元文庫「10月はたそがれの国」でした。
ここにはデザイン違いで2冊ありますが、本当は3冊買っています。
僕のお勧めは「10月はたそがれの国」以外では「太陽の黄金の林檎」と「刺青の男」ですね。
わりとすんなりブラッドベリの世界に入って行ける作品集です。
ブラッドベリはここにいる_a0152009_20583189.jpg


次は単行本の背表紙です。
ブラッドベリはここにいる_a0152009_20583580.jpg



その中から、懐かしきハヤカワSFシリーズ。
かなり傷んできていますね。
この中の4冊は文庫本でも同じものを持っています。
ブラッドベリはここにいる_a0152009_20591328.jpg


様々な単行本。
日本独自の編集の物があり、数少ない長編もあり、戯曲集と言うのもあります。
こうやって見ると、やはり心躍るのは文庫本と、ハヤカワSFシリーズです。
ブラッドベリはここにいる_a0152009_210921.jpg


最後に、今読んでいる「塵よりよみがえり」です。
この作品は、いろんな短編集にばらばらに入っていた同じシリーズの作品を、一冊にまとめて、新たに書き下ろした作品を加えたものです。
本全体の構成としては「火星年代記」に似ていますね。
なぜこれだけを特に取り上げたのかと言うと、上の写真を撮る時に入れ忘れていたからです(笑)
ブラッドベリはここにいる_a0152009_210562.jpg



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by marinegumi | 2012-06-09 22:17 | | Comments(8)

Commented by ヴァッキーノ at 2012-06-10 10:57 x
好きっていうのは、批評したりするんじゃなくて
こういうことなんでしょうね。
わかるなあ。
Commented by 川越敏司 at 2012-06-10 13:41 x
海野さんの書庫の本を遺産相続する人は幸せだなあと、感慨深く拝見しました。
Commented by ishia2011 at 2012-06-10 17:46
こんにちは。
「倉庫」ですか。物を持たない(持てない)私なぞからすると、凄いの一言ですね。もしかして本当に図書館かなにかを営まれると、いいのでは、なんて。なるほどブラッドベリに造詣が深いのも、頷けます。ちなみに私も「10月は〜」は大好きな本の一つです。
Commented by haru123fu at 2012-06-10 19:19
わっ!すごいですね。私設図書館とか開けそう。。。
そうしたら、お勧め作品をすぐ借りに行くのですが。
あ、交通費考えたら買ったほうが安いか~。。。Σ(゚д゚;)
Commented by marinegumi at 2012-06-11 16:04
ヴァッキーノさんおはようございます。
こういうことになっちゃうんですね。
それがブラッドベリだけならいいのですが、お気に入りの作家が海外日本を問わずたくさんいるので、家に置けなくなっちゃいました。
Commented by marinegumi at 2012-06-11 16:08
川越さんこんにちは。
この蔵書を喜んでくれたらいいんですが、ゴミ扱いになってしまうかもしれませんね。
かえって親戚の子供に探偵小説を書いているのがいるんですよね。
Commented by marinegumi at 2012-06-11 16:26
ishiaさんこんにちは。
倉庫なんですね、書庫ではなくて。
仕事の倉庫の一角に、家に置けなくなった本を置いてるんですが、図書館を開くほどには量はありません。
大きな書店の文芸書コーナーぐらいはありますね。
「10月は…」あまりに好きすぎて、同じ内容でもデザインに引かれて買ってしまう愚かさ。
Commented by marinegumi at 2012-06-11 16:29
haruさんこんばんは。
お勧め作品はお近くの図書館で借りて下さいな。
って…ひょっとして図書館がない?
郵送して、読んだらまた送り返して…
うーん、買った方が安くつくかな?