鉄人14号 (7枚)

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其の壱

ビル街に鉄人14号が現れた。
ガオー!
鉄人の叫び声が響き渡る。
操縦機を持つ昭太郎はまだまだ練習中であった。
「鉄人!そうじゃない。こっち側に…」
グワシャ!
鉄人14号の腕が、住友生命の看板をビルの壁からたたき落とした。
「何やってるんだ。そうじゃないだろう!」
声を必死でかけるけれど、操縦機の操作がひどく適当なのだ。
昭太郎は汗だくになっていた。
「むつかしいよー」
昭太郎が鉄人を十分に見ずに、操縦機に気を取られている間にもビル街に不気味な破壊音が響き渡った。
ベキベキ!バコン!バリバリバリ…
鉄人14号は道路を歩きながら自動車を踏みつぶした。
人々は逃げまどう。
「鉄人!もう大人しく座ってろ!」
鉄人が昭太郎の操縦のままにへっぴり腰になり、座ろうとしたその時。
ゴン!
鉄人のお尻がNTTビルに当たりビルは大きく傾いた。
昭太郎は一瞬真っ青になり、次の瞬間には走りだしていた。
昭太郎は走りながらそばで見守っていた鉄人14号の開発者の色島博士に操縦機を手渡した。
「はい、操縦機」
「え?昭太郎君!これ…」
操縦機を持っている色島博士に向かって人々が押し寄せた。
「あいつだ。ここにいるぞ!」
「あいつが操縦機を持っている!」
「たたき殺せ!」
色島博士は青ざめた。



其の弐

色島重工の工場では一つのプロジェクトが進行していた。
クレーンによって吊り上げられた巨大な部品が、今まさに鉄人14号の頭部に固定されようとしていたのだ。
その作業の進み具合を昭太郎と色島博士と署長さんの3人が見守っていた。
「オーライ、オーライ」
作業員が声を上げ、慎重にクレーンに指示を出している。
たっぷり30分をかけて、ついにその部品は鉄人の頭部に収まった。
次にそれを固定するための作業が始まる。
作業台に上がっている多くの作業員たちが一斉に溶接を始め、あちこちから火花が散った。
その火花によって出来る光と陰で、鉄人の顔はクルクルと表情が変わった。
「いよいよぼくが発案の、このプロジェクトも大詰めですね」
昭太郎は誇らしげに言った。
「うむ」
色島博士は相槌を打つ。
その時、工場の外を女子高生の二人組が通りかかり、中をのぞいた。
「なに?あれ?超うける~」
鉄人14号の頭部に固定されようとしている、それは白い大きな鋼鉄製のコック帽に似ていた。
「きっと料理の鉄人っていうダジャレなんでしょうね」
「馬鹿みたい」
それを聞いていた昭太郎は真っ赤になって工場の外に駈け出した。
「昭太郎君!どうした?」
色島博士が声をかけるのも聞こえないようであった。
「おーい昭太郎くーん」
署長さんも大声を上げる。
昭太郎は涙を流しながら夕陽に向かって走った。
「このプロジェク中止ね」
色島博士がそう言うと、作業員全員と鉄人14号がずっこける。



其の参

夕焼け空の街角。
昭太郎は、とあるビルの屋上のふちに腰掛けて沈んで行く夕陽を見ていた。
そのビルの向こうにはシルエットになった鉄人14号が立っている。
昭太郎は鉄人の手のひらに自分を乗せて、このビルの屋上に上がって来たのだ。
不法侵入である。
昭太郎はずっと夕陽を見つめている。
「どうしたんだ昭太郎君?」
そこへやって来たのは制服制帽で立派なひげを生やした署長さんだった。
「なんか、落ち込んでるみたいだね」
署長さんは昭太郎の隣に同じように座る。
「昭太郎君…」
と声をかけると、署長さんは昭太郎に顔を近づけた。
「あ…、やめてください」
「何を言ってるんだ昭太郎君。いつも匂いをかがせてくれたじゃないか?」
昭太郎は立ち上がって逃げようとした。
署長さんは昭太郎の腕を掴んで引き寄せる。
「ちょっとだけだから」
「いやだ~!匂いをかがないで~」
昭太郎は無意識のうちに鉄人の操縦機を操作していた。
ゴ~ン!
鉄人14号のゲンコツが署長さんの頭をなぐった。
昭太郎は鉄人の腕にかかえられて夕暮の空に飛び立った。
ビルの屋上に残された大きなたんこぶを作った署長さんの前に色島博士が現れた。
「大丈夫ですか?どうも女子高生の二人連れが『ショタ』と言う言葉の元が、昭太郎君の名前から来ていると言う事を本人に教えたらしいですね」
「あの二人か~!」



つづく



文章による漫画第2弾です。
これは基本的に1話が1ページで色んな主人公のシリーズがとっかえひっかえ出て来るんですよね。
ラインナップは「魔法少女マカロン」「鉄人14号」「怪盗マフィン」「幼稚園児まこと君」と、そんな感じです。
実際に描いたのは「怪盗マフィン」を2ページだけで、あとはネームだけでした。
今回はそのネームを元に文章にしているわけですね。

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Commented by ヴァッキーノ at 2012-06-18 11:04 x
鉄人14号ってのがいいですね。
28号の半分くらいですかね?
14歳だと、中学2年生ってとこでしょうか?
そんなわけで、このロボットの巨大さの描写が
うまいなあと思いました。
現代のCGと昭和の特撮を合体したような。
ボク、そういうのに弱いです。
Commented by 春待ち りこ at 2012-06-18 18:48 x
顔のない写真なのに。。。
容易に顔を連想出来てしまう。。。そんな世代な私にとって
28号は。。。とっても思い入れのある鉄人です。。。

料理の鉄人よりはるかに!!!( *´pq`)クスッ

だけど、操縦の練習だけは。。。
建物のないところでやりましょうね♪(笑)

面白かったです。楽しみました!!!
ありがとっ♪
Commented by marinegumi at 2012-06-18 20:48
ヴァッキーノさんこんにちは。
半分くらいって、そんなもやっとした言い方…
きっちり半分ですからね。

>巨大さの描写

??
そう言えば巨大さの描写はしてないんですよね。
他の物を持ってくる事によって巨大さが描写されている感じですかね。
間接的にね。
Commented by marinegumi at 2012-06-18 20:57
りこさんこんばんは。
いつもほめていただいて、やる気にさせてもらっている、りこさんのコメントがなくてもなんとかやる気を保ってきました。
ようし。これからは~
忙しい夏がやってくるのでどんどん書けるかどうかは解りません(笑)

しかし、長田に鉄人の実物大の像が出来るなんて、感無量ですね。
この作品はちゃんと漫画にして「落し物係」で公開しようかと思ったのですが、まだまだ漫画が本格的に描けるほど回復していませんね。
by marinegumi | 2012-06-18 00:45 | 掌編小説(新作) | Comments(4)