青い鳥その後 (3枚)

a0152009_20305626.jpg


幸せを呼ぶと言う青い鳥は、最初からチルチルとミチルの家にいたのでした。
二人はその青い鳥をお婆さんに渡しました。
するとお婆さんの孫の、病気だった女の子はみるみる元気になったということです。

ある日の事、お婆さんが青い鳥を返しに来ました。
「ありがとう。もう私たちには青い鳥はいらないよ。今度はあなたたちが幸せになる番だ」
二人は青い鳥の入ったカゴを受け取りました。
それからと言うもの、青い鳥はチルチルとミチルの家で、鳥カゴに入れられる事なく飼われていましたが、窓を開け放していても決して逃げては行かなかったのです。

その後、貧しい木こりだったお父さんは森林組合の理事に抜擢されました。
お母さんは裁縫の技術とセンスで街に洋服屋さんを出しました。
お金が十分入るようになり、森の中の木こり小屋は立派なお屋敷に建て直されました。
そして、チルチルとミチルの兄妹はきれいな洋服を着て、毎日学校に通いました。
学校は毎日が楽しくて、いじめに遭うなどと言う事もなく幸せでした。
青い鳥は十分な幸福を運んで来てくれていたのです。

そんなある日、青い鳥が卵を産みました。
青い鳥は外へ出て行こうと思えばいつでも出て行けます。
みんなの知らないうちに外へ出て行って同じ青い鳥のオスと出会ったのでしょうか?
テーブルの上に置かれた、暖かい木綿製の手作りの巣の中に青い卵がひとつ。
それを毎日青い鳥は温め続け、18日後にはヒナが孵りました。
でも、そのヒナはなぜか黒い色をしていたのです。
「生まれたてで羽根が濡れてるから黒く見えるんだね。乾くと青くなるんじゃない?」
チルチルが言いました。
でもそれはいつまでたっても黒いままなのです。
二人が青い鳥の代わりに餌をあげると本当によく食べて、みるみる成長し、やがて青い鳥よりもずっと大きな体になりました。
そして、なんとお母さんの青い鳥を、その大きなくちばしでこついたり、羽をむしったりしはじめたのです。
やがて青い鳥の羽は傷み、みすぼらしい姿になってしまったのです。

ある日、青い鳥は逃げて行ってしまいました。
黒い鳥は飛べるようになっても、そのまま住みつき、やがてチルチルとミチルの家には不幸が訪れるようになったのです。
どんな不幸が家族を襲ったのかは、ここには書きません。
それはもう、書くのも恐ろしい出来事が起こったと言う事だけをお伝えしておきましょう。



おわり




これもまたツイッター小説で書いたものです。
連日5本ずつ即興で書いてるのですが、けっこうショートショートに出来る物がありますね。
童話のパロディーもいくつか書いていますが、その流れです。

ランキング参加してます。
クリックであなたに幸運が(笑)
    ↓
にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ
[PR]
Commented by haru123fu at 2012-10-05 15:46
本当は怖い童話のその後ですね。

パン屑に毒を入れていて、帰りには鳥が死んだあとをたどって帰ったのも
良かったですよ。

さて、どんな風に朗読したらよいのかな?BGMは?
なんて考えながら読ませていただきました。
朗読よろしくおねがいします。m(__)m
Commented by marinegumi at 2012-10-05 17:25
haruさんこんにちは。

>パン屑に毒を入れていて
あれはヘンゼルとグレーテルですね。
それも長くしてみたいですね。
毎日5本のついのべを書いているのでどんどん書きたいものがたまってきます。

ちょっと修正したので、朗読は最新版でお願いします。
Commented by りんさん at 2012-10-09 15:46 x
途中までは、夢物語のような幸せな展開。
でも、「めでたしめでたし」とは行かないのが人生ですね。

お父さんが森林組合の理事になるあたり、細かい笑もちりばめてますね~^^
どんな不幸が訪れたのか…書いたらホラーになっちゃうかもしれませんね。
Commented by marinegumi at 2012-10-09 22:02
りんさんこんにちは。
まあ、めでたしめでたしで終わりはしないものの、悲劇でも終わらないのが普通の人の人生だと思います。

>お父さんが森林組合の理事

どうしても入れたくなっちゃいました。
童話のパロディーはその世界観を壊さないように書きたいのですが、ちょっとくすぐりを入れたくなりました。
前に書いた「一寸法師」のパロディーは最後に世界観をぶち壊すんですが、そう言うのはいいのです。
by marinegumi | 2012-10-04 20:31 | 掌編小説(新作) | Comments(4)