雨の公園で (2枚)

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雨の降る公園に赤いレインシューズが落ちていた。
片方だけの子ども用の靴だ。
ぼくはなんとなくそれを拾い上げて、ブランコに乗せた。
傘を持っていない方の手でブランコを後ろに引いて手を離す。
ブランコは赤いレインシューズを乗せたままキーコキーコと揺れた。
誰もいない公園にその音だけが響いた。

ブランコはいつまでたっても揺れるのをやめなかった。
まるで誰かが乗っているように大きく揺れた。
気が付くとブランコの上には右左そろったレインシューズがあった。
そしてその赤い靴の中から白っぽい足がするすると伸びた。
そしてチェックのスカートやピンクのカーディガン。
ブランコには女の子が乗っていた。
うれしそうに、本当に楽しそうに女の子はブランコをこいだ。

その女の子の姿がだんだん透明になり、やがて片方のレインシューズだけを残して消えた。
ブランコもだんだんゆっくりと揺れ、やがて止まってしまう。
ぼくは残った赤い靴を手に取った。
さっきよりも少し軽くなったような気がした。

この中には、だれかさんの思い出が詰まっていたんだとぼくは思った。



おわり



この作品はTome館長さんの作品「ブランコ」に触発されて即書き上げた作品です。
こういう舞台設定は好きですねー
谷内六郎さんの作詞の歌「雨の遊園地」なんかもいいですね。



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Commented by haru123fu at 2012-10-28 21:15
あ、Tome館長さんの続編ですね。否、これは海野さんの独立した作品ですね。
月曜から私もただ空を見ていれば過ぎていく日常から少し忙しくなりそうなので、時間ができたら朗読させて頂きたいです。
お願いします。
Commented by marinegumi at 2012-10-29 00:40
haruさんこんばんは。

そうですねー
靴が方いっぽ落ちている場面をお借りした別のお話ですね。
こう言う感じの小さなお話が良いなーと思ったので、3本ほど書いて一緒にアップするつもりだったんですが、時間もなく思いつきませんでした。
またそのうちにね。

朗読楽しみにしてますよ。
でもまあ、ごゆっくり。
Commented by curatortome at 2012-10-29 12:52
不思議な感じ、いいですね! 
幽霊とかじゃなくて、思い出の実体化みたいなのも、新鮮。

画像は加工されたのですか?
Commented by marinegumi at 2012-10-29 18:48
Tome館長さんこんにちは。
そうですねー
書きながら思いついたのですが、思い出が詰まっていた靴というのは自分ながら良い感じ。

赤い長靴だけの写真にしようと思って探していると、いい雨の公園の写真が見つかったので、長靴を合成しました。
漫画を描く技術は衰えましたけど、これぐらいは簡単です。
Commented by りんさん at 2012-10-30 16:51 x
お話を読んでから画像を見ると、切なくてしみじみしますね。
大好きだったブランコに乗れて、女の子も楽しかったでしょうね。幽霊なのに怖くない。
こういう優しいお話は大好きです。
Commented by marinegumi at 2012-10-30 17:39
りんさんこんにちは。
そうですね。
画像がちょっと暗い感じで幽霊話っぽかったかもしれませんね。
これはTome館長さんのおっしゃるように、思い出の実体化なんですね。
幽霊ではなく。
だから主人公の「ぼく」もちっとも怖がっていないんです。
by marinegumi | 2012-10-28 17:33 | 掌編小説(新作) | Comments(6)