リカを殺した (4枚)

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リカを殺した。
死体の捨て場所に困って体をバラバラにした。
風呂場で、のこぎりを使って。
その死体を何日もかけて、あちこちいろんな場所に捨てに行った。
胴体は人気のない山の道路から斜面に投げた。
右手は深い湖に重りをつけて沈めた。
右足はビルの建築現場のコンクリートが流し込まれる予定の穴に。
左足は仕事場の24時間燃えている焼却炉に放り込んだ。
左手は夜の海、ボートに乗って沖に出てこれも重りをつけて沈めた。
左手の薬指には僕がプレゼントした指輪が月の光で輝いていて、沈むにつれてゆらゆら輝き、見えなくなった。
ボートで海岸に帰ってきたときにこの海にリカと一緒に遊びに来たことを思い出した。
あの頃は本当に仲が良かったなと、しみじみ思い出した。

家に帰るとリカの頭が僕を待っていた。
いや、待っていたのは頭だけではなかった。
その下には捨てたはずの胴体があったのだ。
頭と胴体はきれいにつながっていて、リカは僕を見てにっこりほほ笑んだ。
「おかえりなさい。どこに行ってたの?」
お前の左手を捨てに、あの海まで、なんてとても言えなかった。
「本屋さんによってさ、そのあとちょっと友達と会って……」
コンコンとドアをノックする音がした。
普通なら誰もチャイムを鳴らすはずだけど。
ドアを開けると、リカの右手がゆらゆらと立っていた。
ぴょんぴょんと跳びながらリカの方へ近寄って行き、飛び上がり、胴体にくっついた。
「よかったわ。これでお化粧できるわね」
次の日の夕方。
リカの右足が帰ってきた。
右足はドンドンと大きな音でドアを蹴ったのだ。
これも元通り胴体にくっついた。
「これで何とか動けるわ。けんけんだけどね」
次の日の夕方。
リカの右足が帰ってきた。
帰ってきたときは少し焼け目がついていたが胴体にくっつくと元通りきれいになった。
「これでちゃんと歩けるわ。お買い物にも行けそうね」
買い物に行ってしまった。
次の日の夕方。
リカの左手が帰ってきた。
チャイムが鳴ったので出てみると左手がジャンプしながらボタンを押していた。
少しふやけていたけれど胴体にくっつくと元通りすべすべの肌になった。
「さて、これでお料理だってお掃除だってなんでも不便なく出来るわね」
リカはそう言うと、薬指の指輪をまじまじと見た。
そして楽しそうに鼻歌を歌いながら台所に入って行った。
「あなた、今夜は何がいい?」
台所から声がした。
「そうだなー、煮込みハンバーグとか?」
返事はなく、冷蔵庫を開ける音や、野菜を刻む音が聞こえてきた。
僕はテレビを点けた。

ふと後ろに気配を感じて振り返ろうとした時、背中に激痛がはしった。
そして貫通した出刃包丁の先がTシャツの胸から少し顔を出していた。
「人を殺すなら、もう戻ってこないようにしなくちゃね」
リカの声が聞こえた。




おわり



この作品は、先ほどTome館長さんのブログ「Tome文芸館」の作品「元に戻らない」のコメント欄にコメント代わりにお話を書いていて、思わず長くなってしまったのでこちらにアップすることにしたものです。
昨日に続いて今日もアップ。
まあ、書けるうちは惜しまずにどんどんアップしますからね。

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Commented by curatortome at 2013-02-23 17:10
ブログのイメージ変わりましたね。
最近は動画制作に凝っていて、その撮影のためにデジカメのバッテリーを買いに行ったら、古いバッテリー2個買うなら、新しいデジカメが買えると店員に言われ、その通りだったので新品を買ってきました。
恋人だったら、こんなに簡単に交換するわけにはいきませんね。
Commented by marinegumi at 2013-02-23 17:40
Tome館長さんこんにちは。
このスキンは「わたしのロボットたち」のときにイメージを合わせるために変えたんですよ。
作品をアップするたびに変えてもいいんですが、ちょっとめんどくさいのでそこまではやっていません。

デジカメ、ほんと安くなりましたね。
20倍光学ズーム付きで1万円しないのをこの間買いました。
Commented by haru123fu at 2013-02-23 19:29
あらら、本当に凄いスピードUPですね。
なるほど、Tome館長さんへのコメントにするはずだったものが
掌編小説となったわけですか。
あ、朗読お願いはまだ早いですね。昨日の作品もまだ出来上がって
いないのに。(笑)
Commented by marinegumi at 2013-02-24 12:16
haruさんこんばんは。
今日もまたアップしました。
Tome館長さんがやっている「こえ部」がどんなものか興味を持って投稿してみました。
うーむ、なかなか面白いですね。
まあ、調子よく書けているのでちょっといろいろ遊んでみたくなったんです。
ちょっとしたアイデアがあればドンドンいくらでもふくらませて書けそうな今日この頃。
いつまで続くんでしょうね。

朗読宜しく。
by marinegumi | 2013-02-23 16:23 | 掌編小説(新作) | Comments(4)