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海野久実が掌編小説やら短編小説を書いています。タイトルの後に原稿用紙換算の(枚数)があるのが小説です。


by marinegumi
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猫を数える (3枚)

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僕は毎日、なかなか眠れない。
かといって薬なんかに頼るのも嫌だ。
それで羊の数を数えることにした。
最初はそんなのまるで漫画じゃんと思っていたのだけれど、やってみるとこれがなかなかいい感じだ。
眠る前に猫のミミに水と餌を用意して、スリッパをそろえて脱ぎ、ベッドに入り、目を閉じて、周りが一面牧草の、なだらかな丘だと想像する。
そしてたくさんの羊たちも。
その羊が僕のベッドの上を飛び越していく。
羊が一匹。羊が二匹。羊が三匹……
いつも50匹まで数えないうちに僕は眠りに落ちている。

ところが最近、だんだんこの方法も効き目がなくなってきた。
羊の数は増える一方で、羊がベッドを飛び越す間隔がバラバラになったり、ヤギが混ざっていたり、羊を犬が追いかけて来たりで気が散ってしまうのだ。
とても眠れない。
とうとう本格的な不眠症になってしまった。
ベッドに入って目を閉じても、もう一面の牧草地を想像できなかった。
羊は一匹もやってこなかった。
それでも何とか目を閉じて眠ろうと努力をする毎日だった。

ある日、目を閉じているはずなのに僕の寝室が見えていた。
そしてなんと、ベッドの上を猫のミミが飛び越したのだ。
規則正しく何度も何度も。
僕はその数を数えた。
ミミが一匹、ミミが二匹、ミミが三匹……
100匹をいくらか過ぎた頃だろうか。
いつの間にか眠っていた。
翌朝、久しぶりに爽快な朝を迎えられた。
こうやって毎晩、だんだん数える数が減って行けばいいのだけれど。
ベッドから降りると、足元にミミが寝ていた。
危なく踏んでしまいそうになった。
それなのにミミは動かなかった。
ミミは死んでいたのだ。
そうだったのだ。
ミミは昨日の夜、僕の想像ではなく、本当にベッドを飛び越していたんだ。
眠れない僕のために。
100回以上続けて力いっぱいベッドを飛び越し続け、そして疲れ果てて死んでしまったのだ。
ミミの死に顔は安らかだった。
ずっと餌をもらっていたお礼ですよと言っているのかもしれない。



おわり



ちょっと「こえ部」で遊んでみようと思って登録して、ツイッター小説を手直ししたものを投稿するつもりだったのが、書いているうちに長くなっちゃいました。
投稿してすぐに浴衣さんが朗読してくだいました。
「猫を数える」 朗読 浴衣さん

リンク先は「まりん組・落し物係」です。
このエキブロにはこえ部のプレイヤーを貼り付けできないみたいですね。
ちょっと不便。

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Commented by haru123fu at 2013-02-24 12:33
わぉー!海野さんもこえ部に入部したんですね。みんなすごいな!
どんどんいろんなことに挑戦している。
こえ部での朗読聴かせてもらいましたよ。いつもTome館長さんのところで
聴かせてもらっていますが、アニメキャラの可愛い声が沢山。
海野さん、きっと夢中になって、筆が進むと思いますよ。(笑)

ああ。。。私もいつまでも同じことばかりせずに何か新しい夢中に
なれるものをみつけたいなあ!
Commented by marinegumi at 2013-02-24 13:54
haruさんこんにちは。
こえ部だから入部なんですね。
部員になっちゃうのか。
いろんなことに挑戦って、Tome館長さんにはかないませんね。
僕は基本的にお話を書くだけ。
ぼちぼち雑誌に投稿など始めていますが。
作品が雑誌や単行本に載るようになるのが目標。
まあ、それは今まで通りってことですが。
Commented by 雫石鉄也 at 2013-02-25 13:50 x
自慢じゃないんですが、この「まりん組・図書係」をご覧の方々の中で、私が最も古い海野ファンではないでしょうか。もうかれこれ40年になりますね。
その海野さんが雑誌に投稿を始められたとか、長年の海野ファンとしてはうれしいことです。
Commented by りんさん at 2013-02-25 19:26 x
最近更新早いですね。
こえ部っていうのがあるんですか。
聴いてみますね。

このネコちゃんは、なんとも健気ですね。
ご主人様を寝かせようと必死だったのかな。
でも、生きててほしかった(泣)
Commented by marinegumi at 2013-02-25 20:52
雫石さんこんにちは。
年齢がばれそうなコメントはカギコメにね(笑)
いやいや最近はだんだんどうでもよくなって来ましたけれどね。
いちおう1985年生まれと言うイメージでやっております(笑)

去年後半はけっこう続けて投稿しましたよ。
成果は「フェリシモ文学賞」の優秀賞だけでした。
海野久実のペンネームで初めて本になります。

これから、どんどん…と行きたい物ですが。
Commented by marinegumi at 2013-02-25 20:57
りんさんこんばんは。
こえ部はTome館長さんがやってらっしゃるのでどんなところかなと思って入部しましたが、すごく簡単に投稿出来て、すぐに朗読してもらえました。
でもまあ、あまりはまりすぎないようにしなくては。

>でも、生きててほしかった(泣)

優しいお言葉。
元はツイッター小説ですから、短く感動的にと言うとすぐ死なせちゃいますね。
いかんいかん。
by marinegumi | 2013-02-24 12:09 | 掌編小説(新作) | Comments(6)