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海野久実が掌編小説やら短編小説を書いています。タイトルの後に原稿用紙換算の(枚数)があるのが小説です。


by marinegumi
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転校生 (4枚)

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うちのクラス、5年3組に転校生が来た。
わたしのとなりの席が空いていたのでそこに座ることになったんだけど。
それが、なんかちょっと変わった男の子なんだよね。
どこが変わっているのかと言われても答えられないんだな。
何となく変わってるんだ。
妙に人なつっこくてさ。
放課後、わたしが教室を出ると一緒に帰ろうって言うんだよ。
いきなり初日からだよ。
まあまあ顔は可愛いかったので、いいかなってことで一緒に帰ったの。
ところがさ、家の前まで来るとさ。
「じゃあね。また明日」って言って、引き返していくじゃん?
なにそれ?あんたの家、こっち方面じゃなかったのかよ!って突っ込む相手ももういなくなってるし。
家の前で、しばし呆然というやつね。

三日後の日曜日に、その子が遊びに来た。
それもアポなしだよ。
しかも朝の6時だよ!
みんな寝てたわよそりゃ。
寝ぼけまなこのわたしの部屋に上がり込んでさ、お母さんが入れたお茶を飲んだり、お菓子を食べたり。
小脇にかかえて何を持ってきてるのかと思ったらアルバムだったのね。
それを見せるからわたしのアルバムも出して見せっこしようって言う事らしいの。
それでさ、見て行くと写真に写ってる風景が何となく日本の雰囲気と違うんだ。
「どっか、外国に住んでたの?」
そうわたしが聞くと。「そうだよ」と言ってにこにこしてるだけ。
そのアルバムの中の一枚に、学校の校門らしいところで撮った写真があったんだ。
「あ、これきみの入学式のときの写真?すごい桜吹雪だね」
「そだよ。入学式」
「でもさー、このあんたの顔、なんかひきつってるね」
「だって、真冬だもん。ぼくたちの星は1月が入学式なんだ。それ雪が降ってるの。大雪だったよ。入学式」
「ぼくたちの星って、あんた……まさか」
「そだよ。お父さんの任務でね」
「に…任務って。それって…」
その時カギをかけていたはずの窓がガラリと開いた。
そしてその窓から体にぴったりした上下つなぎの服を着た男の人が入って来たんだ。
そう、私の部屋って二階にあるのにさ。
男の人は入って来ると、転校生のそばまできてその頭をピシャンと叩いたんだ。
そして私の方に向きながらポケットから小さなペンライトみたいなものを取り出したの。
それが一瞬、私の目の前で、ものすごい光を出したんだ。

男の子が見せてくれたアルバムはどこの家にもあるような変わり映えのしない写真ばかりだった。
どこから転校してきたのか知らないけどさ、ここと同じような街みたいだね。
それから1時間半ほどどうでもいいような話をすると男の子は帰って行った。
「また来るね」と言いながら歩いて行くのは、あいつの家があるのと違う方向だった。
うーん。
何となく変な感じが残ったの。
難しい言葉でそう言うのあったでしょ。
何って言ったかなー
いじょう…、じゃなくて。
そうそう、『違和感』ね。
「イ~、わかんねー」と言う感じかな。
それでさ、何となくあの男の子、またすぐに引っ越して行っちゃうような予感がしたんだ。
今はまだ学校に来てるんだけどね。
また突然にいなくなっちゃうような気がするんだよ。

そうなると、ちょっとさみしいかな。
だってあの子、けっこうかわいい顔してたんだもん。




おわり




元はツイッター小説。
それを書き伸ばして、「こえ部」に投稿しましたが、それを更に長くして、オチを付け加えたのがこの作品です。

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Commented by りんさん at 2013-03-04 19:16 x
わあ、面白い。記憶を消されましたね。
お父さんの任務って何だろう。
まさか地球侵略?
なんだかいろんな想像が出来て楽しいです。

この男の子、朝の6時に遊びに来ましたが、うちの娘が小さいころも日曜の早朝に遊びに来る子がいました。
あんまり迷惑だったので、先生に注意してもらいました。
「お友達の家に遊びに行くときは、10時過ぎにしましょうね」と参観日に言ってもらったのを思い出しました^^
Commented by marinegumi at 2013-03-05 10:57
りんさんこんばんは。
記憶を消された後、アルバムもすり替えられてるし。
男の子もこっぴどく注意されたでしょうね。
お父さんの任務?
そんなことに興味を持つと記憶を消されちゃいますよ。

そういえば、けっこう小さいときには迷惑な来客がありましたね。
友達顔してやってきて、こっちは眠くてしょうがないのに居座るやつ。
早く帰れよって思いながら、寝てしまう僕も僕ですが。
by marinegumi | 2013-03-03 20:57 | 掌編小説(新作) | Comments(2)