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海野久実が掌編小説やら短編小説を書いています。タイトルの後に原稿用紙換算の(枚数)があるのが小説です。


by marinegumi
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黒猫 (2枚)

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古い、レンガ造りのビルとビルの間の路地に入り込み、立小便をした。
用を足し終えて道路に置いた鞄を持ち上げると、その重みがずしっと来た。
思わず頬が緩む。
俺はそのまま狭い路地を歩いて行く。
「まだだぞ。家に帰るまでまだこれは終わっちゃいない」
そう自分に言い聞かせた。
ふと、前を見ると一匹の黒猫が左側のビルから出てきて、俺の方を見ていた。
背筋が少し涼しくなった。
俺は極端に迷信深いのだ。
黒猫なんて、これ以上不吉なものはない。
不吉のチャンピオン。
最もポピュラーな不吉のアイテム。
絵にかいたような不吉。
不吉と言えばまず黒猫というぐらいのものだ。
その黒猫がまさか、このタイミングで俺の前を横切るなんてことが…
黒猫はゆっくりと道路を横切り始めた。
俺はとっさに振り返って奴が横切ってしまうまでに反対側に歩き出した。
どうだ、これで不運が回避できるだろう。
と、前から歩いてくる人影が見えた。
広い道路の街灯の明かりで逆光だったが、シルエットで判った。
そいつは警官だったのだ。
「おいお前。こっちへ来い」
俺の顔をくそ明るいLEDライトで照らしながらその警官は言った。
「こんなところで何をやってる?」

そうかそういうことだったんだ。
俺は黒猫が道路を3分の1ほど横切ったのを見た。
だから立小便の罰金を取られはしたものの、銀行強盗はばれなかったというわけだ。



おわり



同日投稿、2本目。
これもまあ、似たようなアイデアがあるかもしれませんが、黒猫が中途半端に横切るというのがミソですね。

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Commented by haru123fu at 2013-03-10 19:50
えーっ!銀行強盗だったんですか?
そんなのんきに横道で立小便なんて。。。だから余計に怪しまれ
無かったのかもですね。
Commented by curatortome at 2013-03-10 20:59
私は黒猫が前を横切ると、その方向にカラダを一回転させます。
すると、相対的に横切らなかったことになるから。
Commented by marinegumi at 2013-03-10 21:35
haruさんこんばんは。

>のんきに横道で立小便

そう思っちゃいますかねー
まあ、僕の設定としては銀行強盗のあと、必死で逃走して、やっと追手を逃れてこれで大丈夫と思ったとたんに尿意を催したんですね。
それで誰もいない路地に入ったと言うわけです。
そういう全後の事も想像していて、どこをどう切り取るかと言う事なんですが、も少しその辺をにおわせておいた方が良かったかどうかですね。
下手をすると銀行強盗だと言うのがばれちゃうし。
難しい所。
Commented by marinegumi at 2013-03-10 21:41
Tome館長さんこんばんは。
黒猫に反応しちゃうんですか現実に。
ぼくは全然気にしませんけどね。
クロネコヤマトのトラックには気をつけますけどね。
事故に遭わないように。

ところで、これ知ってらっしゃいます?
黒猫が後ろを横切ると良い事があるって。
ところが人は後ろを横切った事には気がつかないので、良い事があっても、黒猫のおかげだとは思わないんですよね。
損してますね黒猫ちゃん。
Commented by 春待ち りこ at 2013-03-11 00:27 x
三分の一の不吉。。。だったんですね。
いいなぁ、その発想!!!
銀行強盗がバレなかったのは
後ろを振り返って
残りの三分の二のは後ろを横切ったことになったから
黒猫ちゃんの幸運のおかげなのかもしれないですね。
三分の二の幸運♪。。。なぁんて。。。(*^_^*)

とっても面白かったです。
楽しみました!!!ありがとっ♪
Commented by marinegumi at 2013-03-11 16:03
りこさんこんばんは。
あ、そうか。
後ろを横切ると幸運が来るということも計算に入れますか?
えーと、一つの不幸のうち三分の一の不幸は来るわけですね。
ところが三分の二は後ろを横切ったのでそれだけの幸運が来る。
つまり、『三分の一の不幸』プラス『三分の二の幸運』というわけ。
どうなるんでしょ。
単純に考えると三分の一の幸運が残るのかな。
それとも三分の一の不幸と三分の二の幸運が両方来るのかな。
これは数学の問題ですか?
Commented by りんさん at 2013-03-11 17:22 x
なるほど。大金を持っているのかな、とは思いましたが銀行強盗でしたか。
オチが上手いですね。
冒頭の立小便がここで生きてくるとは。
Commented by marinegumi at 2013-03-11 21:51
りんさんこんにちは。
わーい、ほめられちゃった。
いくつになってもほめられるのはうれしいものですね。
調子に乗っちゃいますよ。

この作品に続いて、今日もまた猫が登場するお話を書きました。
13枚。
長し。
このブログでは10枚までは掌編、超えると短編小説のカテゴリに入れています。
by marinegumi | 2013-03-10 15:00 | 掌編小説(新作) | Comments(8)