人喰いの森 (3枚)

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悪魔が棲むと言う、人喰いの森と呼ばれる森にキノコを採りに出かける相談がまとまった。
この地に越して来て二年目の秋だった。
私と弟と隣家の主人の三人でだ。
この隣の家族もほぼ同じ頃にこの田舎に越して来て、他に近所もないことから家族同様に付き合っていた。
キノコ採り当日の朝、女たちは心配したが今どき人喰い森だなんてバカバカしいと男たちの意見は一致した。
大の大人が三人もいて尻込みしたとなったら笑い物だ。
私達が森の入口近くまで歩いて行く途中、地元の農家の人々がちらちらとこっちを見るのが目に付いた。

それは道があるようなないような深い森だった。
なるほど、これでは迷子になりやすいのかもしれない。
子供たちだけでは入るのは危険そうだ。
歩くうちに、時々下草に覆われた地面の穴が口を開けているのを見つけた。
まるでうまくカムフラージュされた落とし穴のようだった。
なるほど、こんな所に落ちれば一人では這い上がれないかもしれない。
人喰いと呼ばれるのはこの事かもしれない。
人喰い穴と言うわけだ。
人があまり入らないのも頷(うなず)けた。
しかし、それだけにキノコはたくさん採れた。

一時間も歩かないうちに森の至る所にキノコが生えているのが目に付きだした。
一応私はキノコ図鑑を持参していた。
明らかな毒キノコは避けて採る事が出来たと思う。
3人とも持って行ったカゴが一杯になった。

家に帰って来たその夜、キノコパーティーを開く事にした。
キノコに詳しい友人を呼んで、さらに毒キノコが混ざっていないかちゃんと調べてもらった。
するとわずかに3本が毒キノコで、特に毒性が強いのが1本だけあったらしい。
しかし100本以上の中のわずか3本だった。

みんなわいわい楽しくキノコ料理に舌鼓を打っている。
仲間たちも女や子供たちもみんな楽しそうだった。
私は彼らの様子を見ながら思い出していた。
あの森にはやはり悪魔がいたんだと。
その悪魔は今、私の中にいる。
あの毒性の強いキノコは、1本で20人以上が殺せると言う。




おわり



この作品は、例によってTome館長さんのブログ記事を読んで、それから連想したお話をコメント欄に書いていたんですが、長くなってしまってアップを中止して、ワードで改めて書いたものです。
元記事はこちらのお話になります。

Tome文芸館より 「森の鬼ども」

いやいやTome館長さんの作品にはいつも触発されっぱなしですね。
ありがとうございました。
そう言えばTome館長さんの所で書いてそのまま日の目を見ていないお話もいくつかありますね。

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Commented by curatortome at 2013-03-20 23:30
なるほど、リアリティありますね。
途中、持ち帰ったキノコに喰われちゃうのかな、と心配しました。
Commented by marinegumi at 2013-03-21 01:17
Tome館長さんこんばんは。
リアルの方向に行っちゃいました。
コメント欄に書いていた時はけっこうはじけてたんですけどね。

キノコに喰われちゃうという事なら、めちゃ大きなキノコを発見させないといけませんね。
あ、そうか。
小さなキノコがいっぱい体中に喰いついて食べられちゃうとか。
Commented by りんさん at 2013-03-22 17:18 x
怖いですね。
こういう結末が、いちばん怖い気がします。
にこやかに笑いながら、この人だけ食べていないんですよね。
怖いな~
Commented by marinegumi at 2013-03-22 18:39
りんさんこんにちは。
こういう終わり方って、好きです。
なんか大変なことが起こりそうで起こらなくて、最後の一行でそれらしいことが起きたのかどうか、ほのめかすだけで終わる。
書いてしまわないことでかえって怖いんでしょうね。
まあ、よくあるテクニックではあるんでしょうけど。
by marinegumi | 2013-03-20 21:00 | 掌編小説(新作) | Comments(4)