記憶 (1枚)

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テレビから聞こえたその声を覚えていた。
聞いているうちに涙さえにじんできた。
その声は私の心の中まで入り込み、私の魂を優しく包んだ。
毎日毎日すぐそばで聞いていた懐かしい声。
外が吹雪で、凍えそうな冬でも。
野獣が吠え、真っ暗で恐怖に震える夜にも。
男たちが棲みかを守ろうと、外で戦っている時でも。
私はその声を聞くと安心した。
どんなに空腹でも、どんなに怖くても、その声を聞くと安らいだ。
あの声を忘れるはずがない。

「今お聞きいただいたのが、頭がい骨の化石に肉付けをして復元したネアンデルタール人の声でした」

私の体に太古の昔から流れている血の中の記憶だ。



おわり



ちょっと短めの物を。
今月中に2本ほど小説を投稿しようと進めていますので。
締め切りが近くならないと腰を上げない悪い癖は昔からですね。

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Commented by りんさん at 2013-03-27 16:36 x
ネットでネアンデルタール人の画像を見ました。
私も声を聞いてみたいです。
やっぱり懐かしいと思うのでしょうか。
千年生き続ける古木に触れたときの感じと似ているのかな?
そんな気がしました。
Commented by haru123fu at 2013-03-27 19:08
吹き出してしまいましたよ。
出だしがあまりにもロマンチックで。。。
ネアンデルタール人の声とは意表を突かれました。
たしかにご先祖様なのでしょうね。
Commented by marinegumi at 2013-03-28 18:12
りんさんこんばんは。
これ、最初は北京原人だったんですが、北京原人は今の人類の祖先ではないそうで、ネアンデルタール人にしたんですが、ネアンデルタール人も直接の祖先ではないようですね。
ただ、現人類と混血した可能性はあるとか。
めんめんと記憶を受け継いできた特異な人だけが感じる懐かしさ。
Commented by marinegumi at 2013-03-28 18:16
haruさんこんばんは。
そうですそうです。
これは吹き出してもらえれば成功ですね。
ネアンデルタール人がどうのこうのとかどうでもよくて、ロマンチックで、詩的な始まりからの意外な結末に吹いてもらえればそれでいいのです
by marinegumi | 2013-03-26 01:37 | 掌編小説(新作) | Comments(4)