鏡台 (1枚)

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お母さんの鏡台が窓からの西日を受けて、畳の上に光を投げている。
ひどく寒いこの部屋の、心まで寒い私にはそこだけが暖かく見えた。
近づいて光の中へ手をやると確かに本当に暖かいのだ。
その暖かさはお母さんの暖かさだった。
お母さんの笑顔がそこにあるような暖かさだった。
夕日は傾き、その光は畳の上を移動しながら薄くなって行った。
それにつれて暖かさも薄らいで行く。

すっかりその光が消え、部屋が暗くなるまで私は畳の上に右手を置いたままだった。
ほんのわずかな暖かさが残っていた。
手を上げるとその暖かさも逃げる。
部屋の寒さにその右手は痛みさえ感じた。

真っ暗な部屋を見渡した。
明日からは一人きりで生きて行くんだと言う事を改めて思い出していた。



おわり



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Commented by 齊藤 想 at 2013-10-26 11:53 x
ドラマがあるわけではありませんが、雰囲気があって、とても好きです。この手の作品はセンスが必要なので、なかなか難しいんですよね。
とてもいいと思います!
Commented by marinegumi at 2013-10-27 10:51
斎藤さんありがとうございます。
ドラマがあるわけではないけれど、これからドラマが始まりそうな、または終わってしまった。
そんな予感を感じさせる作品が好きですね。
そういうものを目指しました。

これはツイッターで「#夜という字を使わずに夜を表現してみろ」と言うお題(?)があったので書いたものに手を入れた作品です。
Commented by haru123fu at 2013-10-27 21:28
「鏡台」雰囲気のある素敵な作品ですね。朗読したいけど、出来るかな?ず~っと悩んでいましたが、思い切ってお願いします。
よろしくお願いします。
Commented by marinegumi at 2013-10-27 22:09
haruさんこんばんは。
ツイッターでもお返事しましたが、朗読よろしくでーす。
なんか、この作品はささやくような感じがいいのではないでしょうか?
でもまあ、お任せするので好きなように読んでくださってかまいません。
短いですから気に入らなければ、何度でもやり直し出来ますしね(笑)
by marinegumi | 2013-10-23 17:40 | 掌編小説(新作) | Comments(4)