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ハロウィンがいっぱい (9枚)

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ハロウィン殺人事件

「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ~」
「今年も来たわね子供達。はいどうぞ……」
マリアがドアを開けるとそこにいたのはお化けに仮装した子供たちではなかった。
「何なの!あなたたち?!」
みんな見覚えのある顔ばかりだ。
「ひいお爺ちゃんに叔父さん。事故で亡くなったメアリもいる。去年亡くなったお母さん。みんないるのね」
「あなたの亡くなった親族の、リアル仮装をしてきたんだよ」
そう言ったのは先日葬式を出したばかりのマリアの夫のトムだった。
「やあ、マリア。あの世もなかなかいいもんだよ。殺してくれてありがとう」
トムは家の中に入って行く。
「だが、お前の浮気相手だけは許せない。そこにいるんだろ?」



いつもと違うハロウィン

「それって暖かそうだね」
「カイロだよ。カボチャのカイロ。ジャック・オー・ランタンの中に炭火を入れてるんだ」
「僕も欲しいな」
「簡単に作れるよ。なるべく小さなカボチャで作らないと、重いからね」
「オレンジの色がまた暖かそうだね。あれ?他のみんなも持ってるんだ」
「そうだよ。もうそろそろお菓子をねだりに行く時間だから、僕のを使いなよ。もう一つあるから」
「わ~ありがとう。やっぱり暖かいや」
「それじゃあ、みんな、出発だ」
「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ~」
「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ~」
今年は異常気象のため、街には雪が降り積もっていた。
ふたたび強く降りだした雪の街に子供たちの声が響いた。
「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ~」



最後のハロウィン

ハロウィーンの街角は落ち葉を踏んで歩き回る可愛いお化けたちでいっぱいだった。
かさこそと落ち葉と小さなたくさんの足がたてる音がひっきりなしだ。
由香里の家はカエデの林の中にある。
日本で知り合ったジョンと結婚をしてはるばるこの国へ来た当初はこの家が本当に気に入っていた。
広々とした自然の風景の中の洒落た家。
しかし今、由香里は深い悲しみの中にあった。
この素晴らしい紅葉の景色さえ沈んでいるように見えた。
「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ~」
そんな声とノックの音が聞こえた。
ドアを開ける。
色んな小さなお化けがいる。
魔女に、吸血鬼に、オオカミ男。
カボチャ頭のお化けに、そして一番後ろに死神がいた。
そして、その死神は由香里の息子のケンを体で隠すように手をつないでいるのだ。
まだ5歳の誕生日も来ないと言うのに、先月事故で死んでしまったはずのケンだった。
お化けたちの中一人だけ普通に、仮装もせずにぽつんとケンがいた。
ジョンを呼びに行こうかと迷った。
家の中で本を読んでいるはずのジョン。
「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ~」
子供たちが一斉に言った。
あわただしくジョンの名前を呼びながらお菓子を取りに入る。
再びドアの前に来て見ると、すでに死神とケンの姿はなかった。
「どうしたんだ?」
ジョンが顔を出した。
子供達にお菓子を与え、ドアを閉め部屋に戻ると、窓から子供たちが去って行くのを見た。
その中にはやはりケンの姿はなかった。
ふと、にっこりと笑いながら手を振るケンの笑顔が胸をよぎった。



夢のようなハロウィン

街には可愛いお化けたちがいっぱい。
あちこちの家の玄関先にはカボチャのランタンが灯り、まるで夢の中にいるようだった。
いつか夢に見たような幻想的なハロウィンの光景だった。
そんな街をうろうろしている見覚えのある動物がいた。
それは一匹の貘だった。
夢を食べると言う架空の動物。
か、架空の動物と言うからにはこんな所にいるはずがない!
「どうしたの貘。こんな所で何してるの?」
何も思わず話しかけてしまった。
なんとなくその獏は浮かない顔をしているように見えたのだ。
「夢を食べに来たんだけど美味しくないの」
まさか人間の言葉で返事をすると思わなかったので少しうろたえた。
「『おいしくないの』ってあんた、これは夢じゃなくて現実だよ」
どうやら獏は食べ慣れない夢のような現実を食べ、お腹をこわしたらしい。



百年ハロウィン

「ハロウィンってつまんないのな」
「どうして?」
「俺達お化けが主役のはずが、子供が仮装したお化けが大きな顔してるじゃんよ」
「しょうがないわよ。百年眠って目が覚めたらこんな世の中だったんだから。その前の百年の時は私達、大活躍だったわね」
「出る幕がないならこのまままた百年眠るのもいいかな?」
「まあ、それもいいけど、百年後にはこの人類たちも滅亡してるかも知れなくてよ」
「それも寂しいかな」
彼ら、本物のお化けたちは大儀そうにその体を起こした。



ハロウィンの教室

みんなが教室に入ると、知らない子供が一番前の席に座っていた。
青白い顔をした物静かな男の子だ。
みんなはその子の方を見ながら話をしている。
「ハロウィンに新入生?それはおかしいよ。転入生じゃなくて、新入生だろ?新入生は九月のはずだぜ」
「それはきっとお化けの子供だよ。ハロウィンだし」
「そうだよそうだよ。気をつけなくちゃ。知らないうちにこの学園が乗っ取られちゃうかも知れないわよ」
そこに黒い服を着た男が入って来た。
「はいそれでは授業を始める。騒がしいぞ!みんな席について」
「あれは誰?あの顔って吸血鬼ドラキュラじゃん?」
「ドラキュラが先生?」
職員室の方が先に乗っ取られていたようだった。



ハロウィンに蘇る

たった一晩の夢のようにハロウィンを彩ったお化けたちの姿は消えて行きました。
人々が作ったカボチャのお化けや魔女の人形はくたびれたようにぐったりとして街中に残っていました。
10月31日が終わると同時に消えて行った異形の者たちがいました。
ハロウィンの間には見分けはつきませんでしたがそれは本物のお化けたちだったのです。
ハロウィン限定で蘇ることを許されたあわれな物の化たちでした。



万聖節からクリスマスへ

サンタクロースはもう相当のお年寄りでした。
これまで一手に世界中の子供たちにプレゼントを配る仕事をしてきたので疲れ切っていました。
「もうわしも引退を考えなくてはな」
そこで思い付いたのがハロウーンのお化けたちでした。
ハロウーンだけではもったいないと言うので彼らにサンタクロースの仕事を分担してもらう事になったのでした。
「子供たちよ。夜中に起きていてはいけないよ。もしもプレゼントを配る者の姿を見たとしても決して怖がらないでいておくれ」



おわり



ツイッターで、数日にわたって書いたハロウィンネタのツイッター小説を元にした掌編集です。
去年もやはりこう言う感じで書きましたね。
去年よりずっと数が多いですけれど。


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Commented by curatortome at 2013-11-04 17:09
なるほど、偶然ですね。
ここでも繰り返していたわけだ。

“Trick or Tome ?”
Commented by marinegumi at 2013-11-04 17:39
Tome館長さんこんにちは。
繰り返しですね。
ふと、去年書いたハロウィン物も「ハロウィンがいっぱい」と言うタイトルだったかもと思ってドキッとしました。
違いましたけどね。(毎日がハロウィーン)

>“Trick or Tome ?”
Tome館長さんをくれなきゃ悪戯するぞ?
根性の悪い女の人の求婚ですか~
Commented by haru123fu at 2013-11-04 21:39
凄く沢山のハロウィンですね。なるほど、確かにハロウィンがいっぱい。
え~っと、私は「最後のハロウィン」が一番好きですね。

あらら、こちらでも。。。海野さんとTome館長さんの会話、
メチャ面白い。お二人のコメのやり取りが、そのまま作品になりそう。(笑)
Commented by marinegumi at 2013-11-05 21:59
haruさんこんばんは。
去年「毎日がハロウィーン」で書いたのは3本でしたから、ほんとにたくさんですね。
そうそうそう言えば去年クリスマスには、クリスマスツイッター小説を16本書いていますね。
もっともこれは140文字のままでしたけどね。

そろそろまたTome館長さんの所にもお邪魔し始めています。
Commented by りんさん at 2013-11-06 16:52 x
すごい^^本当にハロウィーンがいっぱいですね。
私はいちばん最初のブラックなハロウィーンが好きです。
季節はあっという間にクリスマスに突入ですね。
海野さんの「クリスマスがいっぱい(?)」も楽しみにしてます。
Commented by marinegumi at 2013-11-06 21:45
りんさんこんにちは。
しまった~
あと2~3本ツイッターで書いたのを入れるの忘れてました。

人の好みはそれぞれですね。
僕が好きなのは「最後のハロウィン」です。
感傷的なのがね。
だから一番長くなっちゃたのかも。

クリスマスは去年はツイッター小説で16本書いてますね。
Commented by 齊藤 想 at 2013-11-09 01:00 x
短い物語をたくさん並べるというのはいいですね。
とても楽しみました!
Commented by marinegumi at 2013-11-09 20:22
齊藤さんこんばんは。
ありがとうございます。
ツイッターで思いつくままに書いたものをこうやって長い目の作品にしてみるといろいろ面白いですね。
すんなり長くなってくれる物や、ちょっと言葉を足しただけで殆ど元と変わらないものや、どうにも長く出来ないものや、このアイデアは僕向きじゃないなーとか、あれこれ考えて面白かったです。
by marinegumi | 2013-11-03 20:29 | 掌編小説(新作) | Comments(8)