まりん組・図書係 marinegumi.exblog.jp

海野久実が掌編小説やら短編小説を書いています。タイトルの後に原稿用紙換算の(枚数)があるのが小説です。


by marinegumi
プロフィールを見る
画像一覧

何かがいる (3枚)

a0152009_13462386.jpg

最近、わたしの部屋に何かの気配がする。
そうね。
何かとても小さなものの気配。
ここは新しいワンルームマンションだし、一人暮らしを始めたばかりで家具もみんな新しい。
そろそろ一年が過ぎる頃だけど、まだまだ部屋も汚れずきれいに片付いている。
だから、ネズミとかゴキブリとかそんな汚らしいものじゃないはずだ。
でもでも、何かがいるような気がする。

ある日、勤めから帰ってきて、部屋に入るとなんだかいい匂いがしていることがある。
お隣が料理を作っているのかと思ったりしたけれど、換気扇のあるベランダに出るとその匂いはしなくなるんだ。
またある日、こんなこともあった。
何か小さな物が床の上に落ちていた。
拾い上げると、それは布で出来ているようで、よくよく見ると小さな靴下だった。
そうね、りかちゃん人形が履くにもちょっと小さすぎるぐらいの靴下。
小さいけれどすごく細かく編まれていてよく出来ていた。
それを捨てずに引き出しにしまっておいたんだけど2~3日後に見ると無くなってたんだ。

それであちこち部屋中探してみることにした。
すると今度は洋服ダンスの裏から小さなパンが見つかった。
ほんとに小さな干からびたパン。
そしてお風呂場の浴槽のかげにビンがあった。
それはずっと前に食べて不燃物の日に出したはずのイクラの空きビンだった。
中には水が入っていた。

毎日少しずつあちこち調べて行くと、必ず何かしらそんなものが出てくる。
ちいさなお皿。
ちいさな石鹸。
ちいさなズボン。
そんなものが次々出て来るんだけど、ふと気が付くと、いつかしらその何かの気配自体を感じなくなってしまっていた。

ある日、勤めから帰って来ても前は感じていた何かがいる気配がないんだ。
ブーンと冷蔵庫のコンプレッサーの音だけが響き、真っ暗な部屋だ。
ふと気になって冷蔵庫の裏を覗いてみた。
そこには何と、小さなベッドがあった。
シーツは真っ白でちゃんとベッドメイキングもされ、枕も置かれていた。
やっぱりいるんだ。
何かが。
冷蔵庫の後ろは暖かいからここで眠っていたんだろうか?
うるさくはないんだろうか?

台所のスリッパを履こうとして、ふと何か嫌なにおいを感じた。
スリッパのある床が少しどす黒く汚れている。
恐る恐るスリッパを持ち上げて裏返した。
そこには、ぺちゃんこにつぶれて干からびた小人がへばりついていた。



おわり




ツイッター小説を元にして書いております。

わーい。
りんさんの情報によると僕の作品が「小説虎の穴」で佳作になったようです。
この作品ではありませんよ。
テーマは「ハードボイルド文体」
タイトルは…、えーと何だったっけ(笑)
ロボット物のSF作品でしたが。
これから「公募ガイド」を買いに行って確かめて見ます。
「小説虎の穴発表ブログ」もまだ更新されてないですね。
またここでも紹介します。

でもねえ、入選したいですよね。

あ!
賞品の図書券がもう届いてる。

ランキング参加してます。
クリックであなたに幸運が(笑)
    ↓
にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ
[PR]
Commented by 齊藤想 at 2014-02-09 07:41 x
佳作受賞おめでとうございます。
ぼくは落選。選者のコメントに「私立探偵ものもあり・・・
・・・」とありましたが、たぶん、それぼくのこと(笑)
Commented by curatortome at 2014-02-09 12:22
カサコソ移動するGならともかく・・・・
Commented by marinegumi at 2014-02-10 18:31
斎藤さんありがとうございます。
「ハードボイルド文体」難しかったですね。
清水先生の求めている感じを詳しく書いておいてくれたらよかったのに(笑)と思いました。
選評で読んで、なるほどな~と言う感じです。
Commented by marinegumi at 2014-02-10 18:31
Tome館長さんこんにちは。
そうですね。
小人なら踏んだ時に声も上げるだろうし、感触もあるだろうし、血も出るだろうし。
ありえないですよね。
っていうか、小人そのものがありえない。
by marinegumi | 2014-02-08 13:47 | 掌編小説(新作) | Comments(4)