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海野久実が掌編小説やら短編小説を書いています。タイトルの後に原稿用紙換算の(枚数)があるのが小説です。


by marinegumi
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星の魔法使い (4枚)

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魔法の星からやって来た宇宙船が地球のそばを通りかかりました。
「ほら坊や見てごらん。とってもきれいな星だよ」と、お父さんが言いました。
「ほんとだ。すごく青いね」
男の子は窓に顔をおしつけて目を輝かせました。
「この星の人はどんな魔法を使うんだろう?」
そう男の子がきくと、地球を水晶玉でしらべていたお母さんが言います。
「この星にはまだ、ほんものの魔法はないようね」
「なんだつまんない」
お父さんは魔法のつえをふりながらじゅもんをとなえました。
「魔法のタネをこの星にまいておこう。それ!」
「あ!」
窓の外を何かが飛んで行きました。
「あれは何だろう」
魔法のタネと言うのは目には見えないはずなのです。
「あれ?ぼくの絵本がなくなってる」
「あ~、どうやら魔法のタネといっしょに坊やの絵本を飛ばしちゃったみたいだな」
「お父さんたらもう。うっかりやさんね」とお母さんが言います。
絵本は魔法でも取りもどすことが出来ないほど遠くへ、あっというまに飛んで行ってしまいました。
「あ~あ。あの絵本がいちばん好きだったのにな『星の魔法使い』」

    ★  ★  ★  ★  ★

男の子は自分の星に帰っても、その絵本のことをわすれていませんでした。
同じ絵本を買ってもらいましたが、地球のまわりをまわっているその絵本がずっと気になっていました。

男の子には知らず知らずのうちに魔法の力がめばえていましたが、まだだれもそれに気がついていませんでした。
自分のことなのに男の子さえも気がついてないのです。
なぜならその魔法の力はちょっとかわった現れかたをしていたからです。
男の子が地球のまわりをまわっている絵本のことをおもいだすと、その魔力で絵本が二冊にふえたのです。
男の子は毎日毎日その絵本のことをおもいうかべていました。
魔力が力を持ちはじめてから、男の子が思いうかべるたびに絵本は倍々にふえて行きました。
思いうかべるのは、日に一度だけのこともあれば、多い日は何十回もおもい出すのです。
「『星の魔法使い』の絵本が青い地球のまわりをまわっているのってきれいだろうな」
男の子がそのばめんをそうぞうするたびに、また同じ絵本が倍にふえるのでした。

やがて何十年も何百年も時がすぎました。
魔法の星の人たちはとても長生きです。
大人になった男の子は、まだ今でもあの絵本のことを時々おもい出しています。
そして地球にはいつしかそのたくさんの絵本で、美しくかがやく輪が出来ていました。
土星にあるような地球をぐるっととりまく、大きな大きな緑色の輪でした。
そうです『星の魔法使い』の表紙が緑色だったのです。

    ★  ★  ★  ★  ★

地球の人々は夜になるとその美しい輪を見上げました。
「きっとあの輪はだれかが魔法で作ったのかもしれないね」と人々は話しました。
彼らにはだんだん魔法を使える子供たちがふえて来ていたのです。
子供たちが大きくなると、もっとすてきな魔法がつかえるかもしれません。



おわり



「おやすみなさいの魔法使い」に続いて「魔法使い」シリーズと言うわけでもないのですが。
ふとこれまでのツイッター小説を見直していると、書いたのを忘れていたものが出てきました。
忘れていただけにちょっと新鮮でした。
今回は最後がブラックにならずにちゃんと童話らしく終わることが出来ました(笑)
文章を書きあげて画像を作って……ああ~!もう一時半だ。

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Commented by haru123fu at 2014-03-29 16:35
魔法使い第2弾ですね。3枚から4枚に……
これは、海野さんが少しずつ私にリハビリさせるためかな?
なんて思ってしまいます。o(〃^▽^〃)oあははっ♪
Commented by haru123fu at 2014-03-31 08:06
追伸
あらら、朗読のお願いをするのを忘れていました。
ちょっと。。。かなりかな?苦手な分野ですが、お願いします。
Commented by marinegumi at 2014-03-31 09:41
はるさんおはようございます。
そういうことでしたか。
朗読お願いします。
やさしい感じの朗読が無理なようなら、お話婆さんみたいな感じ?
by marinegumi | 2014-03-29 01:29 | 掌編小説(新作) | Comments(3)