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殺された夢 (2枚半)

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街角であの人を見つけた。
そう、間違いなくあの人だ。
わたしの夢の中に現れてわたしを殺したあの人。

勤めからの帰り道だった。
あたりはもうすっかり暗くなっていた。
ひと気のない公園のそばの道で男の人に声をかけられた。
その顔には全然見覚えがなかったけれど、優しそうな気の弱そうな感じなので怖くはなかった。
その人が何を聞いたのか覚えていない。
次の瞬間には腕を摑まれ、公園の植込みのかげに押し倒されて首を絞められていた。
気が遠くなって行き、そして目が覚めた。
すごく現実感のある夢だったので、心臓の鼓動がしばらく早く打ち続けていた。

そして今日、あの人を見つけたのだ。
街角の雑踏の中で。
夢の中でだけしか知らない人、夢の中にしかいないはずだと思っていた人が本当にいるなんて不思議だった。
間違いない。
夢の中だと言ってもはっきりとした夢だった。
顔はしっかりと覚えている。
優しそうで、ちょっと気がよわそうで、ひょっとしてわたし好みの感じかもしれない。
何となく後を尾けて行ってしまった。
あの人は地下街に入り、バッグ屋さんのショーウインドウを見ている。
わたしはゆっくり近づいて行った。
気配を感じたのかあの人は振り返る。
夢の中でしか知らないはずだから、もちろんわたしを見ても何の反応も示さないだろうと思っていた。
わたしと目が合うと、彼の表情が歪んだ。
その表情はみるみる恐怖の表情に変わって行った。
逃げようとしてそばにあったベンチに躓(つまづ)いて転び、わたしの顔を見ながら叫んだ。
「来るな!こっちへ来るんじゃない!どうして俺の夢に出て来るんだよ~!」

俺の夢?
これはあの人の夢なの?
だとするとわたしは本当に殺されてしまったの?



おわり



昨日のツイッター小説を元に書きました。
うーむ。
出来上がってみると小説の虎の穴作品「あなたと彼と僕と」と似た感じですね。
「夢」シリーズみたいな感じ。

そういえば今日は4月1日ですね。
エイプリルフールにちなんだ作品を考えればよかったかもですね。

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Commented by haru123fu at 2014-04-01 15:43
サスペンスタッチで面白い!この作品も朗読よろしいでしょうか。
お願いします。
Commented by marinegumi at 2014-04-01 15:52
はるさんこんにちは。
朗読お願いしますです。
これはさっき仕事中に書いたんですよね。
消費税アップ前の駆け込み需要で忙しかったのが、ちょっと余裕が出てきました。
仕事中に書けるとどんどん作品が出来上がるんですけどね。
あまり暇になっても困りますが(笑)
Commented by りんさん at 2014-04-02 17:01 x
不思議なお話ですね。
夢なのか現実なのか?
夢の中で殺されたと思い込んでいるけど、実際に殺されていて、男の夢の中でだけ生きられる…とか。

3月は増税前で私も忙しかったです。
エイプリルフールに嘘つくのも忘れてた~^^
Commented by marinegumi at 2014-04-04 00:52
りんさんこんにちわん。
本当はきっちりこうだと考えているんだけれど曖昧にすると不思議さが増しますよね。

主人公は殺されて、霊魂になって犯人の夢の中で彷徨っているんですね。
あまり強い霊ではないので夢の中でしか幽霊になれない。
本当なら現実の世界で犯人を呪うところでしょうけどね。

僕はツイッターでウソ画像を二つ作りましたよ。
https://twitter.com/marinegumi/status/450886891915599872/photo/1

https://twitter.com/marinegumi/status/450944315284389889/photo/1
by marinegumi | 2014-04-01 13:54 | 掌編小説(新作) | Comments(4)