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海野久実が掌編小説やら短編小説を書いています。タイトルの後に原稿用紙換算の(枚数)があるのが小説です。


by marinegumi
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ヘンゼルとグレーテルの親父 (3枚)

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ヘンゼルとグレーテルは魔女をやっつけました。
でも帰り道が判らないのでしばらく魔女のお菓子の家で暮らすことにしました。
食べ物には困りません。
お菓子の家を食べればいいからです。
クッキーやチョコレート、ドーナッツ、ショートケーキにプリン。
お菓子ならなんでもありました。
おまけに何と言う事でしょう、いくら食べてもあくる日には元通りになっているのです。
二人は毎日毎日お菓子を食べて暮らしました。

ある日のこと、二人が寝ていると、お菓子の家をノックする音がしました。
板チョコの扉を開けるとお父さんとお母さんでした。
ヘンゼルとグレーテルを森に捨てたとはいえ、やっぱり心配になって探しに来たのでした。
「お前たち生きていてくれてうれしいよ」
「お父さんお母さん。ここで一緒に暮らそうよ。もう食べ物には困らないから」

しばらく家族は毎日お菓子ばかり食べて暮らしましたが、ある日お父さんが言いました。
「こうも毎日お菓子ばかりではいやになってしまうなあ。お前たち。この家は魔女の住んでた家だと言ったな?」
「そうだよ。悪い魔法使いさ」
「それじゃあ、魔法の杖とかないのか?」
みんなで探すと出て来ました。
引き出しの中に呪文を書いた本と一緒に魔法の杖は大事にしまわれていたのです。

お父さんは呪文の本を読んで杖の使い方を覚えました。
そして新しい家を作ったのです。
野菜とお肉の家でした。
そして自分用に、お酒の家も作りました。

「ヘンゼル、グレーテル。お菓子ばかり食べててはだめだよ。ちゃんとお肉やお野菜も食べなさい」
ヘンゼルとグレーテルはお母さんが毎日ごちそうを作ってくれましたが、あまり食べずにやっぱりお菓子ばかり食べていたので、とうとう虫歯になってしまいました。
それを聞いたお父さん。
「なあに、大丈夫さ。歯科医院を作ろう。森のクマさんを魔法で歯医者さんに変えてと」
そう言うお父さんはアルコール中毒になっていました。
「なあに、大丈夫さ。アル中専門の病院を作って、お医者さんは森のお猿さんだ」

そうやって森の中にはいろんな建物が増えて行きました。
郵便局、水道局、市役所、警察、スーパーマーケット、放送局。
森はもうすっかり姿を消し、大きな都会になっていました。

大きなお城を作ったお父さんは豪華な玉座に座り、ワインを飲みながら考えています。
「今度は強い軍隊を作るとしようか?」




おわり



うーん。
ツイッター小説はますます快調です。
この連休中に書いたツイッター小説を長くして投稿用作品に仕上げる事が出来ましたよ。
この作品は5月5日に書いたツイッター小説が元になっています。

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Commented by りんさん at 2014-05-07 15:50 x
なるほど!
今の社会はヘンゼルとグレーテルのお父さんが造ったんですね。
魔女より怖いのは人間ということでしょうか。

原作のお父さんは、確か気が弱いダメ人間だったんですよね。
Commented by marinegumi at 2014-05-08 22:32
りんさんこんにちは。
>今の社会はヘンゼルとグレーテルのお父さんが造ったんですね。
あ~、なるほど。
そこまで行けばよかったのか。
結末をどうつけるかと書きながら考えていたんですが。
森が街に変ったら森の外にあった街と言うか、国との関係はどうなるんだろうと思ったんですよね。
軍事力がいるかもしれないと。
そうか、もともと大きな国はなくって親父が今の社会を作ったとまで行けばよかったんですね。

お父さん、ダメおやじですよね。
子供を捨てておきながら帰って来た事を喜んだけど、やっぱりまた捨てしまう。
どーしよーもないやつですね。
Commented by はる9001 at 2014-05-12 21:43 x
はじめまして。
小説ブログをはじめたばかりです。
とても勉強になります。
よろしくお願いします~
Commented by marinegumi at 2014-05-12 23:26
こんばんは。
はじめまして、はる9001さん。
りんさんのブログのコメント欄でお見かけしましたね。
A・Cクラーク大好きな僕としては「HAL9000」はとても思い入れのある名前です。
これからも遊びに来て下さい。
by marinegumi | 2014-05-07 10:55 | 掌編小説(新作) | Comments(4)