ハロウィンの魔女 (4枚)

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「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ~」
玄関のドアの外で声がする。
そうか、そういえば今日はハロウィンだね。
気まぐれでうるさくてわがままで、それでいてすぐに泣き出すどうしようもないガキがうろつきまわるいやな日だ。
ここ何年もうちには寄り付きもしなかったくせに、今年はどういう風の吹き回しだい?。
何人いるんだろうか。
声からすると男の子と女の子が混じって、4~5人てところか。

そうだな。
ハロウィンといえば思い出すのは六年前のことだ。
この町に引っ越してきて間もなくだった。
あの日も玄関にかわいらしい子供の声がそう言ったんだ。
「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」
そうさ、ちゃんとお菓子を用意して待ってたんだよわたしゃね。
お菓子を入れた籠を持ってドアを開けると、口々にお決まりの文句を言っていた子供たちが黙り込んだ。
その顔は私を見て凍り付いていた。
すると突然、一番小さな男の子の顔が崩れ大きな声で泣き出してしまった。
それが合図でもあるようにみんなが一斉に逃げ出したのだ。
「うっわ~!本物の魔女だ~」
「こわいよ~!」
「人食い魔女が出た~」
みんな口々にそんなことを叫んでいた。

ああ、そうだろね。
わたしゃ若いころから老け顔でさ、おまけに鼻は鉤鼻、六年前のあの頃には、もう腰が曲がっていたわね。
その日はこれまた、たまたま親戚のお葬式帰りでさ、黒い服を着ていたのさ。
あとで鏡を見て納得したさ。
これじゃあ子供たちが魔女と間違えるのも無理はないとね。

だから次の年からはちゃんと明るい服を着て、精一杯お化粧もして子供たちを待つことにしたのさ、ハロウィンにはね。
でもなんと言うことだろ。
子供たちはあれっきり寄り付きもしないのさ。
何年も何年も待ったけどね。
六年間一度も来なかったというわけさ。
もう最近はお菓子を用意することもなくなってしまっていたんだ。

それがどうだい?
今年はなぜか、どういうわけだか、あの声がするじゃないか。
「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ~」
そう、たぶん、私を魔女だと言いふらした子供たちが大きくなってしまい、それを知らない子供たちがやって来たんだろうね。
とはいえ、子供たちは今も昔も同じようなもの。
気まぐれでうるさくてわがままで、それでいてすぐに泣き出すどうしようもないガキだ。
「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ!」
はいはい、待ってろよ。
顔をこのスカーフでかくしてと。
ドアを開けると目を輝かせた子供たちの顔があった。
ほら、お前たち、六年前に誰も持って帰らなかったこのお菓子を食べて、おなかを壊すがいいさ。
ハロウィンだからね。
本物の魔女がどこかにいてもおかしくないだろ。



おわり


これはきのう書いたツイッター小説を書きのばしたものです。
りんさんがハロウィンネタでショートストーリーを4本書いてらっしゃいますが、僕も同じようにごく短いものをいくつかと思ったのですが、つい長くなってしまいました。

りんさんの作品 ??ハロウィン??




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Commented by haru123fu at 2014-10-29 21:46
意表をついて面白いですね。
すっかり勘違いしていました。朗読のお願いです。
よろしくお願いします。
Commented by marinegumi at 2014-10-29 23:44
はるさんこんばんは。
はるさんたらもう。
よろしくお願いしますよ。
はるさんのおばあさん役は天下一品ですからね(笑)
Commented by りんさん at 2014-10-30 17:46 x
なかなかブラックなオチですね。
心温まる話なのかと思っていたら裏切られました(笑)
6年も待っていたなんて、この人寂しがり屋なんですね。

ハロウィンですね~
私のブログを紹介していただいてありがとうございます。
Commented by marinegumi at 2014-11-01 22:38
りんさん、そうそう。
もともとはブラックな落ちだったんですが、書いて行きながら迷いが生じました。
このままブラックで行くか、心温まる結末に変えるか。
最後まで迷っていました。
by marinegumi | 2014-10-29 20:25 | 掌編小説(新作) | Comments(4)