お話ばあさんの最後のお話 (1枚)

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お話ばあさんがこの世界のお話をしている。
そして、そのお話はそろそろ終わろうとしていた。
「人々はもうだれ一人この地にはいなくなってしまった。彼らの作った街もみんな砂となってくずれ落ち、砂漠のような台地が広がっているばかりじゃった」
お話ばあさんはずっとうつむいていたままだったけれど、ふとその眼を上げた。
「こうやって世界は終わってしまったのじゃ」
そう言ってお話ばあさんがそのお話を話し終えた時、お話ばあさんの体の色がだんだん薄くなり、ゆらりとわずかな風で揺らめいたと思うと消えてしまった。
それを僕らは驚きもせずに見ていた。
そう、世界が終わってしまったのだから、その世界の一部だったお話ばあさんが消えてしまうのも不思議ではなかったのだ。
そして僕たちも、いま聞いたばかりのお話を、どんどん忘れて行くのに気が付いた。
そう、僕たちもまた消えて行くのだろう。
悲しいこともなく、苦しみも恐怖もなく、それがすごく自然なことに思えた。




おわり



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Commented by 雫石鉄也 at 2014-11-14 14:16 x
いいですねえ。光瀬龍を思わせるショートショートですね。
Commented by haru123fu at 2014-11-14 19:15
終末期ですね。
この終わりの世界を朗読させて頂いても良いでしょうか?
お願します。(._.)ペコリ
Commented by marinegumi at 2014-11-14 23:59
雫石さんこんにちは。
あ、ほんとだ、光瀬龍ですね。
昔読んだ作品の場面が無意識のうちに再現されたかのようですね。
Commented by marinegumi at 2014-11-15 00:15
はるさんこんばんは。
朗読お願いします。
お話ばあさんのお話ですから、はるばあさんにピッタリかも(笑)

少し修正しましたので、朗読はこの最新版でよろしく。
Commented by りんさん at 2014-11-15 11:36 x
こんなふうに淡々と穏やかな世界の終りがあるんですね。
記憶もなくなって、苦しまず、何も残さない。
それこそが、本当の終りのような気がしました。
不思議な雰囲気のいい話です。
Commented by もぐら at 2014-11-15 18:11 x
不思議で静かでどこか安心感のあるお話ですね。

あ、今日はクリスマスパーティの招待状をお届けに参りました。
が、エキサイトさんの禁止ワードにひっかかるらしくお届けきません。(T_T)

お手数ですがはるさんか私のところから受け取っていただけないでしょうか。
よろしくお願いいたします。

楽しいクリスマスのひと時をご一緒に。
Commented by marinegumi at 2014-11-15 23:56
りんさんこんにちは。
>不思議な雰囲気のいい話です
言ってみれば雰囲気だけの作品ですね。
どうしても終末が来るのなら、せめて静かな、穏やかな終末を。
なんて。
Commented by marinegumi at 2014-11-15 23:58
もぐらさんこんばんは。
おお~、毎年恒例のクリスマス企画ですね。
ぜひ参加させていただきますよ。

ところで、去年は僕、クリスマステーマの作品をめちゃたくさん書いていますね。
見直してみて自分でびっくりしました。
よくもこれだけ思いついたもんだな~なんて。
by marinegumi | 2014-11-13 00:54 | 掌編小説(新作) | Comments(8)