果てのない願い事 (3枚)

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私の願い事は全てが叶った。

もう何時だったか思い出せないほど遠い昔のことだ。
ある日、私は自分の願い事が全て叶うようにと強く願ったのだ。
するとどこからともなく声が聞こえた。

  それがお前の望みならば叶えてやろう。
  しかし叶った願い事の取り消しは出来ないぞ。
  よーく考えて願うのだ。
  そして毎日必ず新しい願い事を欠かさずに続けなければならない。

それからと言うもの、毎日毎日願い事をしてきた。
最初に願ったのは「不老不死」だった。
そのおかげで、かれこれもう二百年以上毎日願い事を考え続けている。
初めの頃はうれしくて、興奮して、夢中で毎日を過ごした。
しかし、今はもうすっかり飽きてしまった。
もう願い事を考えるのも面倒になっている。
それでいつか願い事をせずに一日を終わろうとしたこともあった。
すると十二時が近づくにつれて息苦しくなった。
そのまま気が遠くなりはじめ、自分の存在そのものが消えて行くのを感じたのだ。
慌てて適当な願い事を唱えた。
それからの毎日は適当な願い事をでっち上げるようになった。

そんないい加減な願い事のせいで世界はこんなに醜く混沌としている。
まるでこの世は地獄ではないかと思う事もある。
最後には世界の終りを願ってしまった。
そう、世界は一度終わったのだ。
しかし私はまだ生きていて、また何事かを願わなければならなかった。
ほかに考えようがなかった。
「世界よ始まれ」
するとまた自然に新しい世界が生まれてしまうのだ。

私は神なのだろうか?
それとも悪魔なのだろうか。
こんなひどい世界を創ってしまうのだからきっと悪魔なのだろう。
あの時、聞こえた声は悪魔であることに飽きてしまった悪魔なのかもしれない。
あいつが自分の役目を私に託したのかもしれない。

何度も世界を滅ぼした今、もう少しまともな世界を願ってみようかと思い始めている。




おわり




ブログ「ゆっくり生きる」のはるさんが朗読してくださいました。



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Commented by haru123fu at 2015-02-19 21:30
とても面白い作品ですね。
朗読のお願いです。少し時間がかかるかも知れませんが、
朗読させて下さい。お願いします。
Commented by marinegumi at 2015-02-20 08:32
はるさんこんばんは。
よろしくお願いします。

最近なんだか小説を書きたいという欲求があまりないのです。
これではいけないと無理やりにでっち上げてみました。
Commented by りんさん at 2015-02-21 18:55 x
願いがすべて叶ってしまうのは、実は悲しいことなんですね。
だから世界を滅ぼしてしまったりするんですよ。
満たされているなら、世界平和とかを願いますもんね^^
Commented by 齊藤 想 at 2015-02-22 08:56 x
これはいいです。
とても詩的な世界ですし、いろいろと考えさせられます。
深いテーマですね。
Commented by marinegumi at 2015-02-22 18:07
りんさんこんにちは。
二百年も毎日願い事を続けるなんて想像を絶しますね。
世界を滅ぼしたくなっても当たり前でしょう。
Commented by marinegumi at 2015-02-22 18:09
齊藤さんおはようございます。
齊藤さんに褒めていただくと勇気百倍です。

そうですね、書きながらこれは小説とは言えないなーと思っていました。
詩の世界ですね。
by marinegumi | 2015-02-18 16:08 | 掌編小説(新作) | Comments(6)