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海野久実が掌編小説やら短編小説を書いています。タイトルの後に原稿用紙換算の(枚数)があるのが小説です。


by marinegumi
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オオカミのお使い (4枚)

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オオカミとのあの事件があってから、赤ずきんのおばあさんは急に体が弱ってしまいました。
それでお母さんが毎日おばあさんの食事を作り、赤ずきんがそれを持っておばあさんの家まで行く事になってしまったのです。
もうそろそろ一か月が過ぎます。
森の中の曲がりくねった道は遠く、雨でも降ろうものなら靴の中までぬれてしまいます。
赤ずきんはそれが毎日毎日続くのでいいかげん嫌気がさして来ていました。
そんなある日。

お使いの帰り道、赤ずきんはあの時のオオカミと森の中で出会いました。
オオカミは赤ずきんと目が合うとあわてて引き返そうとします。
「ちょっと。待ちなさいよオオカミ!」
赤ずきんが大声で呼びとめると、耳としっぽを下げて赤ずきんの方を向きました。
「なんで逃げようとするの?オオカミや」
「いや、そんな、逃げるだなんておじょうさん……」
オオカミのお腹を見ると大きな切り傷を縫った痕がありました。
それはオオカミに飲み込まれたおばあさんと赤ずきんを助け出すために猟師のおじさんが切り開いた痕でした。
今ではオオカミはすっかり懲りているようすでした。
「オオカミや。お前は毎日暇そうね」
「ええ、まあ、暇と言えば暇ですがね」
「それじゃあ、わたしの代わりに毎日おばあさんの所へ食事を運んでくれないかしら?わたしたちにずいぶんな事をしたのだからそれぐらいしてもいいとは思わない?」
「わ…わかりました。おじょうさま」
「それじゃあ、これから毎日お昼前にわたしのお家に来てちょうだい」

オオカミはちゃんと次の日のお昼前に赤ずきんの家にやってきました。
おばあさんの食事が入ったバスケットはちゃんと用意が出来ています。
「はいこれ。間違いなくおばあさんに渡すんだよ。またおばあさんを食べようなんて気を起したらどんな目に合うかわかってるでしょうね」
「やだなあ~そんなことしませんよう」
オオカミはバスケットを持って歩き出そうとしました。
「あ、ちょっとお待ち、オオカミや」
そう言うと赤ずきんは家の中にオオカミを入れ、テーブルの前に座らせました。
そこには何やら文字の書かれた一枚の紙が置いてありました。
赤ずきんはたっぷりとインクを付けたペンをオオカミに渡します。
「さあ、これにあんたのサインを書きなさい」
「な、何ですか?これは」
「誓約書だよ。もうおばあさんやわたしや人間を食べたりしないようにね」
オオカミは言われるままに下手くそな字でサインをしました。

「それじゃあ、行ってきます」
オオカミは鼻歌を歌いながら歩いて行きました。
赤ずきんはその背中に声をかけます。
「あ、そうそう。おばあさんちに着いたら、ちゃんとお給仕するんですよ。それから食器も洗って、お部屋のお掃除ぐらいしてあげなさいよ」
赤ずきんがそう言っても、嫌な顔一つしません。
「わかりました~」
そのままご機嫌で森の中へ消えました。
と言うのはバスケットの中にはちゃんとオオカミのお昼ごはんも入れてあげていたからです。
「途中、おなかがすいたら食べるのよ」と言って赤ずきんはバスケットを持たせたのです。
オオカミの昼ご飯は大きな生肉でした。
その肉はオオカミから赤ずきんとおばあさんを助けたあの猟師のおじさんが持って来てくれた物です。
持って来た時には肉の塊になっていたので何の肉かはわかりません。
赤ずきんは考えました。
「まさか、あのオオカミの知り合いのオオカミの肉じゃないと良いとは思うんだけどね」



おわり



ツイッター小説を長くしたものです。
まあ、いちいち断らなくても最近は殆どそうなんですけどね。
オオカミさんのイラストは久しぶりに自分で描きました。
たいていフリーの写真を加工するだけだったんですけどね。

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Commented by りんさん at 2015-03-18 23:11 x
赤ずきんのその後ですね。オオカミ生きてたんだ(笑)
いいようにオオカミを使う赤ずきんが面白いです。
最後はちょっとブラックで、海野さんらしいな^^
Commented by haru123fu at 2015-03-19 19:44
これは「こえ部」で朗読してもらいたい作品ですね。
イラストのオオカミは、海野さんが書かれたのでしょう?
さすがあ~!
えっ?オオカミの共食い!知らぬが仏ですね。
Commented by marinegumi at 2015-03-29 21:31
りんさんこんばんは。
あれ?
あのオオカミって死んだんでしたっけ(笑)

小説を書く気がしないよう。
ちょっと重症です。
こうやって、過去のツイッター小説を長くするのが精一杯です。
コメントに返事を書くのもなかなか。
Commented by marinegumi at 2015-03-29 21:36
はるさんこんばんは。
こえ部にもどんどん投稿したいのはやまやまですが、なんだかとっても邪魔くさいのです。
困ったものですね。

たぶんオオカミの肉ではないとは思いますがね。
獣臭くて食べないんじゃなかったでしょうか?
他の動物の肉かも知れません。
by marinegumi | 2015-03-17 00:59 | 掌編小説(新作) | Comments(4)