「ほっ」と。キャンペーン

マモル君の友達 (4枚)

a0152009_23135085.jpg

「その子、とってもかわいいんだ。顔がね」
と、マモル君は言う。
「でもさー、ことばづかいがねえ……」
「言葉遣いがどうしたの?」
マモル君は夢の話をしている。
毎晩の夢に出てくる女の子の話だ。
「その子さあ、不良かもしれない」
「不良なの?」
「今は家出しててさ、悪いやつらとつき合ってるみたいでさ。すぐに『うぜ~』とか『頭んくるぜ!』なんて言うんだよ」
「まあ、まあ」
私はニコニコして聞いていた。
夢の中の話だから、そんな子と遊ぶのやめなさいなんてことも言えないし。
「このあいだ『お前にこれやるよ』ってさあ、ナイフをくれようとしたんだ。ぼくがいらないって言うと『えんりょすんなって。どうせ万引きしてきたんだからさ』ってさ。ぼくそれでも断ったよ」
「さすが。私の子供!」
「でもね。やっぱりその子、女の子だね。花が好きなんだよ。でも、どこにも花が咲いてなくてさ。盗もうと思っても花屋さんもないんだ。その子が住んでる街は」
私はマモル君の机の上にある花束を見た。
「あ、わかった。それであれを買ってきたの?」

その夜、寝る前にマモル君の部屋をそっと覗いてみた。
かわいい寝息を立てて、あの花束を両手で持って胸の上に置いてマモル君は眠っていた。
夢の中のあの子へのプレゼント。
可愛らしい事を考える。
ドアを閉めようとして、ふと気がついた。
朝になって、あの花束がそのまま有ったらマモル君はどう思うだろうかと。
きっとあの子に渡せなかったと思ってしまうかも知れない。

私はそっとマモル君の手をほどき、花束を持ち上げた。
静かにドアを閉めると花瓶に水を満たし花束を入れ外へ出て、庭の花壇の花の中に紛らせた。

あくる日、いつもよりマモル君は起きて来るのが遅かった。
ドアを開けるとマモル君は眠ってはいなかった。
ベッドに上半身を起して座ったまま、あらぬ方向を見ている。
「どうしたの?」
マモル君はゆっくりと私の方へ目をやった。
「あの子が言ったんだ」
「え?」
一瞬何の話か分からなかった。
「あの子が言ったんだ。『あんたのおふくろは悪いやつだ』って。『自分の子供のプレゼントを取り上げるなんて、泥棒より悪いやつだ』って」
「あ、あの花束の事?」
「『そんなやつ殺してしまえばいい』って」
マモル君がゆっくり両手を持ち上げた。
その小さな手の中に何か黒い影が見えていた。
影はゆらりと揺れると冷たく光るピストルの形になった。
その銃口から、真っ赤に燃えた銃弾が私に向かって飛んでくるのが、スローモーションのように見える。
夢の中からの拳銃の弾丸が、現実に人を殺すなんて事があり得るだろうか?
私は半分恐怖心、半分好奇心でそれを待ち受けていた。



おわり



言わずと知れた、もとツイッター小説です。

ランキング参加してます。
クリックであなたに幸運が(笑)
    ↓
にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ
[PR]
Commented by りんさん at 2016-01-27 19:15 x
夢の中に現れた悪魔ですね。
マモル君、完全に操られてる。
最後にこんなラストが待っていたなんて、ぞくっとしました。
結末がはっきり書いていないところがニクイですね。

Commented by marinegumi at 2016-01-30 10:04
りんさんこんばんは。
う~む、悪魔なんでしょうかね。
たぶん単なる不良の女の子かもしれません。
彼女は悪い仲間とつき合っていて、ナイフを盗んだり拳銃を盗んだり。
ひょっとすると親の拳銃を持ち出したのかもしれません。
それをマモル君に渡したんでしょうね。
Commented by つねさん at 2016-02-06 11:37 x
こんにちは。
スペースお借り致します。

お友達がたくさん出来て、投稿に参加する度ごとに直筆のカード式のファンレターが3~30枚以上届く文芸サークル(投稿雑誌)をやっています。
ネットでのやりとりも楽しいですが、ぬくもりが伝わるアナログでの活動は温かい気持ちになり、楽しさや幸せをより感じられます。
イラスト・詩・漫画・小説・エッセイなどジャンルを問わず何でも掲載しています。
月刊で150ページくらい。全国に約180人の会員さんがいます。
あなたがブログで発表している作品を雑誌に掲載してみませんか?
東京都内で集会も行っています。お友達や創作仲間作りにご活用下さい。

興味を持たれた方には、現在雑誌代と送料とも無料で最新号をプレゼントしています。
よろしかったらホームページだけでもご覧になって下さい。
ホームページにある申込フォームから簡単に最新号をご請求出来ます。
http://www2.tbb.t-com.ne.jp/hapine/

これからもブログの運営頑張って下さい。
失礼致しました。
Commented by marinegumi at 2016-02-08 21:35
つねさん、こんにちは。
活動頑張ってくださいね。
by marinegumi | 2016-01-24 23:16 | 掌編小説(新作) | Comments(4)