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鶴女房.反省会 (6枚)

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著作者: avaxhome.ws


ただいまより、鶴女房反省会を行います。


✻男の反省

そうなんだよな。
何と言ってもおいらが悪いのは間違いがねえ。
あんなに何度も、開けちゃいけねえ、覗かないでくれと言われてた約束を破っちまったんだもの。
でもさあ、だんだん痩せてくかかあの事が心配だったつうのもあんだよ。
言い訳かも知んねえけどさ。
愛してたんだよな。
もう一度やり直したいと、そりゃー思ったさ。




✻鶴の反省

ええ、愛していました。
不器用でしたけれどとても優しい人でした。
いまから思えばお金の為に布を織る事などせず、貧しいままでいいから、ずっとあの人と一緒に暮らせばよかったと思います。
でも、約束をあの人が破った以上、もう戻れないのです。




✻もう一羽の鶴の反省

そうなんですよね。
ワナに掛かって怪我をしている所をあの人に助けてもらったんです。
手当てをしてくれて優しく見送ってくれましたっけ。
恩返しをしなくちゃと思いましたよ、そりゃね。
人間の娘に姿を変えてあの人の所へ押しかけ女房。

あの人は貧しかったので、お金になればと思って布を織りました。
自分の羽根を材料にして。
布を織っている所をあの人は決して覗いたりはしませんでした。
ええ、それは二人の間の約束でしたから。

ところが、ある日あの人はたくさんの鳥の羽根を持って帰って来ました。
そして、「これでもっと布が織れるだろ?」と言うのです。
いえ、あの人が部屋を覗いたりしていない事は私が一番よく分かっています。
私の正体を知っているのかいないのか。
もし感づいているとしても、約束を破ったのではないので家を出て行く訳にも行きません。

あの人は案外腹黒い人間だったのかも知れません。
ひょっとしてあの私の掛かったワナはあの人が仕掛けた……
いや、まさか。
そんな事は考えますまい。
今日も明日も、ひたすらあの人が持って帰るたくさんの鳥の羽根で布を織り続けます。
その中に鶴の羽根が混じっていないことを願いながら。

ああ〜、男なんてどうせ、約束破ると思ったのが間違いだったわね。
あら、つい本音が出ちゃったわ。

え?
あの人に、私より前にも鶴の女房がいた可能性?
そ、そんな事はあるはずないでしょ。
変な事言わないでくださいな。




✻男の反省(続き)

そうなんだよな。
やり直せてよかったさあ。
布をどんどん織ってもらえるしさ。
ほら、今日も都から商人がたくさん布を買いに来てるだろ?
もう、そりゃー儲かっちゃて、笑いが止まらないつーやつな。
そろそろでっかいお屋敷でもおっ建てるべか。

まあ、ひとつ言やあ、前のかかあと比べて器量の方がさ。
いやいや、今のかかあも充分きれいさ。
愛してるさあ。
これって反省会だろ。
あえて反省すればって事だかんね。
わはははは。




おわり




え~、病院からの更新になります。
これはりんさんの「浦島太郎反省会」を受けて書いた物です。
まだ左手のマウスでポチポチですから、時間が掛かってしょうがない。
こう言う状態では本格的な小説はちょっと無理かなあ。
キーボードがあるので、早く両手が使えるようになればいいんですけどね。

イラストは「GATAG フリーイラスト素材集」さんでお借りしました。


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Commented by 雫石鉄也 at 2016-10-21 13:42 x
新しい経団連会長に、与ひょう紡績株式会社社長の山本与ひょう氏が就任しました。
山本氏は鶴の羽を原料にした高品質な布を生産販売し、いまや日本を代表する紡績会社に育て上げました。
与ひょう紡績の新工場が、来月より生産を開始します。その新工場では3万羽の鶴が稼動する、世界一の紡績工場となります。なお、日本から野生の鶴は1羽もいなくなりました。日本に生息する鶴はすべて与ひょう紡績の管理下におかれています。

左手でこれだけ打てるのはすごいですね。私も11月21日から入院ですが、私はモバイルを持ってませんので、その間は「とつぜんブログ」はお休みです。
Commented by りんさん at 2016-10-21 22:31 x
わあ、すごい。面白いですね。
ちょっとミステリーっぽいですね。
与ひょう、悪いやつだな。ぜんぜん反省してないし(笑)
雫石さんの続編も面白いです。
左手で頑張ってますね。あまり無理しないように。
Commented by marinegumi at 2016-10-22 08:34
雫石さんありがとうございました。
最初、どこかの企業からのスパムコメントかと思いましたよ。
しかし、ぶっ飛んでますね。
時代が。
与ひょうさん、どんだけ長生きやねん。
山本か~い。
まあ、何代目かの与ひょうさんなんでしょうね。
この工場では働く鶴のために一羽一羽個室を用意しているのかもしれません。
鶴の姿のときは、開けちゃいけない、覗いちゃ駄目、と言うのは絶対条件ですからね。
工場管理の人間がうっかり覗いたりすると、野生に帰っちゃう。
それが一羽もいないと言うことは、かなり徹底した個室施錠システムが導入されているんでしょう。
もちろん監視カメラもなし。
いやいや、与ひょうだけに意ひょうを突いたお話、ありがとうございました。

入院、僕と入れ替わりと言う感じになりそうかな。
Commented by marinegumi at 2016-10-22 08:45
りんさんありがとうございました。
なるべく短くしようと、登場人物が少ないお話を選んだんですが、結果、長くなってしまいました。
一旦書いてアップしたあとで、書き足して行くうちにだんだんミステリーっぽくなって行きました。

左手マウス。
まあ、まどろっこしいんですが、時間はたっぷりありますからね。
by marinegumi | 2016-10-19 21:09 | 掌編小説(新作) | Comments(4)