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小説の妖精 (2枚)

著作者: freevector.com
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小説家、柴山廉五郎は客間で編集者と向かい合っていた。
「どうじゃ? 今度の新作は」
「森の中で少女が妖精と出会うお話ですね」
「新機軸だと思うのじゃが」
「でも、あまりにもこれまでの作品と方向が違いませんか?先生は剣豪小説の大家ですからね」
「しょうがないのじゃ。アイデアが浮かばなくて困ってると、妖精が出てきて面白いアイデアをささやいたのじゃ」
「よ、妖精ですか? 先生に妖精が? プッ」
編集者は思わず吹き出してしまった。
妖精とは全く無縁な苦虫を噛み潰したようなその顔をまともに見たからだ。
柴山廉五郎は編集者の失笑にも気がついていないようだった。
「この後の展開で剣豪の主人公が現れるとかですか?」
「いやいや、これは剣豪小説ではない。いわゆる幻想小説、フアンタジイと言うやつだ」
『フアンタジイ』の『ジイ』にアクセントのある発音をした。
「困りましたね。うちの雑誌にはそぐわないような気がしますが」
「そこは相談なのじゃが、同じ回文社の『ピュアノベル』の編集者に紹介してもらえれば嬉しいのじゃが」
「しかし先生。先生のお名前は剣豪小説のイメージが定着しまくりですからねえ」
「ん? なんだと? ふむふむ」
柴山廉五郎は何かに聞き耳を立てているふうだった。
「よし、こうしよう。わしの別のペンネームでそれを発表すればいいではないか」
「はあ、ペンネームねえ」
「『紫音レン』と言うのはどうじゃ? いかにもそれらしいだろう?」
その時、編集者は柴山廉五郎の右耳から小さな妖精が飛び出すの見た。
妖精は羽根を震わせ、両手で自分の体をパタパタと払っている。
「ああ〜、もうヤダ。この爺さんの耳の中、耳あかだらけじゃんよー」




おわり




タイトルにそぐわない、なんだかな~なお話でした。
小説家の名前は柴田錬三郎のもじりで、最初柴山廉三郎にしていたのですが、あまりにばればれなので柴山廉吾郎に替えました。

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Commented by haru123fu at 2016-12-03 00:28
でも、面白いですよ。朗読させてもらいたいです。
柴音レンってどう発音したらよいのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
Commented by marinegumi at 2016-12-03 07:52
はるさんこんにちは。
朗読よろしくお願いします。

「柴音レン」は「しおんれん」でお願いしますね。

>でも、面白いですよ。
の「でも」ってどういう?(笑)
コメントの前の部分があって、うっかり消えちゃったとか?
Commented by marinegumi at 2016-12-03 07:53
あ、そうか。

>タイトルにそぐわない、なんだかな~なお話でした。
を受けているわけですね。
Commented by りんさん at 2016-12-03 14:36 x
ファンタジーだったら可愛いお話だったのに、
なにしろ、ファンタジイ ですからね(笑)
私の耳、きれいにするから来てくれないかな~、妖精さん。
Commented by marinegumi at 2016-12-06 08:39
りんさんこんにちは。
藤子F不二雄さんの漫画に「ファンタ爺(ジイ)」というのが有りましたね。
小説の妖精が来てくれたんじゃないかと思うことは時々有りますが、やっぱり耳の穴が汚いので普段は敬遠されているのかもしれません(笑)
by marinegumi | 2016-12-01 10:02 | 掌編小説(新作) | Comments(5)