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海野久実が掌編小説やら短編小説を書いています。タイトルの後に原稿用紙換算の(枚数)があるのが小説です。


by marinegumi
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かくれんぼ (3枚)

あけましておめでとうございます。
お正月にちなんだお話を一つ。


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お正月に田舎のおじいちゃんちでかくれんぼをした。
わたしがたぶん三歳ぐらいの頃だった。
親戚がたくさん集まっていて、知らない子供たちもいっぱいいた。
でもみんなお兄ちゃんやお姉ちゃんばっかりだったと思う。
わたしが一番小さかったと。

遊び終わって夕食の時、子供たちがみんな首をひねりながら話をしていた。
遊んでいた間は気が付かなかったのに思い返すと一人見覚えのない子供が紛れていたと言う。
みんながそれぞれに、自分の知らない親戚の子供だと思っていたらしく、夕食の時にその姿がないので変だと思い始めたらしい。
何年か後に母親がその時の話をしてくれた事があるのでなんとなくわたしの記憶に残っているのだろう。
その子のことを聞かれて、わたしも知らない子だったと返事をしたんだとか。
今、思い出してもおぼろげで、そんなことがあったかなあ、という程度だ。
でも、話をしている時の子供たちのその真剣な表情だけははっきり記憶にある。

そして大人になった今。
久しぶりにその田舎の家に行く機会があった。
おじさんの娘さんが結婚をすると言うので主人と一緒に娘の美里を連れてお祝いに行った。
結婚式は二人だけで海外であげるらしく親戚だけのお祝いの席だ。。
お爺さんはとうの昔になくなり、あのかくれんぼをした家にはそのおじさん夫婦が住んでいる。
昔のまま、チャイムもついてない玄関の戸を開けて声をかけた。
「こんにちは。お邪魔します」
そこにいたのは、いとこの一人の亮介さんだった。
彼は私達を見て何やら落ち着かない素振りを見せた。
「まあ、みんな座敷におるから入ってきいや」
そう言うと駆け足で先に行ってしまった。
座敷机の周りにはなつかしい顔が並んでいた。
その中の何人かが目を丸くしてわたし達を見た。
「こ、この子は由紀ちゃんのこどもさん?」
「そうだよ。美里です。五歳になるんだ。はじめましてだったよね」
「んにゃ。初めましてじゃないど。俺は子供の頃さ、この子と遊んだの、覚えとる」
「そうだそうだ、この子だった」
「あの時の誰も知らんかったあの子だ」
みんな口々にそう言った。
「そんなわけないでしょ? ただ似てるだけでしょ。わたしはあの時のことあんまり覚えてないけどさ」
わたしは少しうろたえていた。
「いんや。この子に間違いないさ」
と、亮介さんは言いきった。
「いやだなあもう。変なことばっかり言って。ねえ、美里ちゃん。このおじさんとおばさんたちと昔、遊んだなんてねえ」
美里は思い切り笑顔で答えた。
「おぼえてるよ。かくれんぼ」




おわり




正月の一時帰宅から病院へ帰ってきました。
消灯(21時)までにアップしようと猛スピードで書き上げました。
まあ、よくあるパターンのお話ですが1時間ほどで書いたにしてはまあまあかな?
だめ?

今年もよろしくお願いします。

イラストはかわいいフリー素材集「いらすとや」さんでお借りしました。

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Commented by りんさん at 2017-01-17 17:53 x
海野さん、先日はお悔やみのコメントをありがとうございました。
まだ忙しいですが、なんとか落ち着きました。

不思議なお話ですね。
美里ちゃん、どうやって過去に行ったのだろう。

海野さん、まだ病院なんですね。
早く退院できるといいですね。
Commented by marinegumi at 2017-01-17 19:16
りんさんこんにちは。
誰よりもお母さんがショックを受けてらっしゃるでしょうね。
少しでも多くお母さんとの時間を大切に。

そう言えば、美里ちゃんが過去へ行っちゃった理由付が必要ですね。
いくらファンタジーだとしても。
急いで書きすぎちゃったかも。

退院は1月22日に決まりました。
by marinegumi | 2017-01-03 20:53 | 掌編小説(新作) | Comments(2)