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カテゴリ:ツイッター小説プラス( 10 )

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いらっしゃいませ〜
年末のなんでもありの福袋ですよ。
ショートショートが12本。
読むのがいやになっちゃうほど(笑)てんこもりです。




一、痛いの、痛いの
 
逃亡中の銀行強盗に幼い女の子が人質になっていた。
強盗は警官に拳銃で足を撃たれながらも追手を振り払い、路地の奥に逃げ込んでいた。
「痛い、痛いよ。くそ、あのポリ公め。どうにかしてくれ〜もう歩けねえよお」
後ろから抱えられナイフを突き付けられている女の子が言った。
「痛いの、痛いのとんでけ〜」
「あ、痛くなくなった。こりゃいいや。ようし、車でも盗んで逃げてやる」
「痛いの、痛いの、戻ってこーい」
「いててて〜」
実は女の子は魔女っ子だったのです。
「おい、もう一度痛いのを飛んでかすんだ!」
強盗は女の子のほっぺをペタペタとナイフでたたきながら恐ろしい顔で言いました。
「痛いの、痛いの、怖い顔、怖い顔、飛んでけ〜」
強盗の顔はイケメンのお兄さんになりました。
頭ごと入れ替わったので、もう強盗ではありません。
そのまま警察へ行って、もう一度イケメンお兄さんと強盗の顔を入れ替えましたとさ。
 
 
 
 
二、目覚し時計

目覚し時計が叫んでいる。
「起きろ! 起きるんだよ! このものぐさ野郎」
え? 僕の目覚ましはアナログ時計だぞ。
しゃべる機能なんてついてないはずだ。
「おらおら、起きないと遅刻するだろ!」
でも確かにあの時計が喋ってる。
だけどなんて口の悪いやつなんだろう。
「起きろって言ってるのがわかんねえのか! このおたんこなす!」
「なんだその言い方は! もうちょっと言い方があるだろ!」
「やかましいわい! お前にはこれぐらい言わないと……」
僕はムカついてその時計を壁にぶつけてやった。
時計は壊れて外装は床に落ち、脳みそや内臓や血が壁にぶちまけられた。


 
 
三、よく伸びる靴下
 
クリスマスの朝、枕元に下げてあったはずの靴下がなくなっていた。
大きなプレゼントでも入るように、せっかくよく伸びる靴下を買ってきてたのに。
プレゼントもないし、靴下もなくなってるなんて。
誰かに盗られたんだろうか?
ため息をつきながらカーテンを開けた。
でも窓の外がぼんやりしている。
霧がかかったように見える。
下へ降りて玄関のドアを開けようとしたけれど抵抗がある。
何か柔らかい物が押さえているみたいだ。
目の荒い布の様だ。
ハサミでそれを切り裂いて外へ出てみてびっくり。
大きく伸び切った靴下のその中、ボロっちいわが家の代わりに新築の家があったんだ。




四、どんぶらこ 
 
むかしむかしに、お爺さんとお婆さんの暮らした村はもうありません。
大きなダムの底に沈んだのです。
お爺さんが芝刈りをした山から見下ろせば、そのダム湖がよく見えます。
お婆さんが洗濯をした川がそのダムに注ぎ込んでいます。
その川を今でも年に一回、大きな桃が流れて来るのです。
どんぶらこ、どんぶらこと。
大きな桃はそのダム湖に浮かんで流れ、やがてダムのコンクリートに堰き止められます。
それ以上下流に流れて行く事もありません。
やがてそのまま腐ってしまうのでした。
 
 
 
 
五、約束の木
 
夏のあの日、君と約束したね。
「転校するの」と涙ぐんだ君は、ぼくの目を一度もまともに見なかった。
小学校の裏の林の中。
一本の大きな、名前も知らなかった木の下で。
どんなに離れても遠くへ引っ越しちゃっても、今日と同じ日に、この同じ場所で会おうと。
来年は無理だとしても、再来年。
再来年がまだ無理なら……
必ずいつかここで会おうねと、そう言って別れた。

でもそれからしばらくしてうわさを聞いた。
君が交通事故で死んだって。
ウソだと思った。
そんなこと信じてやるもんかと。
 
雪深い街の小学校。
放課後にふと思いついて林の中へ入ってみた。
新しい雪を踏みながら歩いて行くとその木を見つけた。
雪で白くなった木の中に1本だけ雪をかぶっていない木があった。
みんな葉を落として丸裸なのになぜかその木だけが青々と葉を付けていた。
そうだ、それはあの日の約束の木だった。
不思議なことにその木の周りだけ地面に雪がなかった。
木に近づけば近づくほどそのあたりがほんのりと暖かくなった。
木にもたれて目を閉じた。
空気はもうあの夏のものだった。
遠く蝉が鳴いている。
夏の日差しさえ感じた。
誰かが近づいてくる足音が聞こえた。

目を開けても君の姿はなかった。
でもこれはきっと君の約束なんだね。
いつでもここへ来るとあの夏の日があるんだね。
 
 
 
 
六、夢のデート
 
夢の中で夢の中だけの彼といつものドライブデート。
まるで夢みたいなイケメンの彼とさ。
夢でしか見れない夢のような絶景スポットにいつも連れて行ってくれる。
まあ夢なんだけどね。
一晩中、夢のような夢の中のデート。
そろそろ起きる時間が近づくとその時間に合わせてまた車で送ってくれるんだ。
でも今日は道路が大渋滞してる。
眠りの国の羊さんの群れが道路を横切ってるんだって。
その群れがものすごい数なんだ。
ああ、もう学校、遅刻しちゃう。
 
 
 
 
七、竜宮城秘話 
 
「乙姫様、毎年の特殊エステの時間です」
「おお待っていました。この頃シミそばかすがひどくてな」

乙姫は裸になって透明なカプセル状のSFチックな装置の中に入ります。
するとその中では大量の水色の霧が発生して乙姫の体を包んで行き、霧の効果で体中の老廃物が排出され、さらに乙姫の体にはエネルギーが隅々まで行き渡ります。
20分後、乙姫は輝く様な美しさを取り戻しているのです。

回収容器には白い気体になった乙姫の老廃物が溜まっています。
その老廃物は玉手箱に貯蔵され、いつか再利用の時を待つのでした。

 
  
 
八、天使と悪魔 
 
受験勉強をしている。
頭の上の天使は「頑張れば合格できるよ」とささやく。
右耳の悪魔は「眠ければ寝ちゃえば」と誘惑する。
左耳の悪魔は「それよかゲームしようぜ」とそそのかす。
右肩の悪魔は「彼女と遊びに行かないか」と提案する。
左肩の悪魔は「そろそろタバコでも覚えようぜ」と煙を吹きかける。
右手の悪魔は「ドライブしようぜ、無免許でもいいじゃん」と警笛を鳴らす。
左手の悪魔は「万引きってスリルがあるぜ」と人差し指をぴくぴくさせる。
「こんなやつほっといて踊りに行こうぜ」と、たった一人の天使を誘惑している悪魔もいる。
 
 
 
 
九、読み聞かせ
  
眠る前、母親は毎晩少年に童話の読み聞かせをしていた。
優しく、強く、表情豊かに。
いつも飼犬のベルがそばでそれを見守っていた。
まるで同じ物語に聞き入っているように見えた。
 
ある日、母親が風邪をひいた。
その日は少年はベッドで一人きりで眠ろうとしていた。
でも、なかなか寝付けないようだった。
その手持ち無沙汰の少年の枕元に飼い犬のベルは座った。
そしていきなり鳴きはじめたのだ。
「ワオーンク~ンク~ンワンワン…」
優しく、強く、表情豊かに。
それは、読み聞かせのつもりだった。
最初はうるさそうにしていた少年も、やがて眠りについた。
 
 
 
 
十、生まれかわり
  
高い高い断崖絶壁の上。
ここは自殺の名所。
そんなあまりにもベタな所で、若いカップルが心中をしようとしていた。
「来世は一緒になれます様に」
二人で神様にお願いをした。
まさに飛び降りようとした時に神様が現れた。
「命を粗末にするやつの願いは聞けないぞ」
と、二人に言った。
「二人共、それぞれ自分の今の運命を受け入れて天寿をまっとうしなさい。そうすればその願いを必ず叶えてやろう」
と言った。
 
やがて二人は年老いて死に、生まれ変わった。
約束通り二人の魂は一人の赤ん坊に宿った。
これが二重人格の生まれるメカニズムだと言う。
 
 
 
 
十一、パラレル・シンデレラ
  
舞踏会が始まる前に王子様は一度シンデレラを見かけ、気になっていました。
ところがその後、踊る人々の中に同じ人を見つけることが出来ないでいました。 
舞踏会には豪華な食事も用意されます。
普段、ろくなものを食べてなかったシンデレラは踊るのも忘れ、食べるのに夢中になっていたのでした。
舞踏会の休憩時間に一度だけ王子様はシンデレラを目にしていたのです。
でも彼女の口の周りはソースやドレッシングだらけ。
ドレスも同じく汚れ放題。
それを見てすぐに目を反らしてしまったのです。
そう、最初に見かけた人だと気が付かなかったのでした。
十二時を過ぎる前にシンデレラは満腹になってお城をあとにしました。
 
シンデレラは、そのご馳走の想い出だけで一生幸せに暮らしたと言います。
ガラスの靴を宝物にして。
 
 
 
 
十二、物忘れ
 
最近よく物忘れをする
どうして? どうして?
そんな歳じゃないわよ。
嫁入り前のピチピチOLなんだからさ。
でもでも、バッグに入れたはずのスマホがなかったり。
お弁当がなかったり。
定期入れがなかったり。
化粧ポーチがなかったりするのね。
それがもっと不思議なのは、なくなったと思っていたものがいつの間にか、元どおりバッグの中に戻っていたりする事なんだよね。
もう、わけわかんない。
 
ある日、バッグを開いて捜し物をしている時に変な声が聞こえたの。
「どこでもドア~」
先の丸い手が中でゴソゴソ動いてる。
犯人はお前か〜!ヽ(`Д´#)ノ
 
 
 
 
 
おわり





最後まで読んでいただいて、お疲れ様でした。
全部で12本、なんでもありの福袋でした。
今年の更新はこれでおしまいでしょうか。
入院はもう少し続きます。
まさか年を越すとは思っていませんでしたね。
まあ、来年、早い時期に退院できると思います。

それでは皆さん良いお年を。

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by marinegumi | 2016-12-29 13:56 | ツイッター小説プラス | Comments(6)

怪我 (3枚)

大変なことに、屋根からうっかり落ちて、怪我をしてしまいました。
右肩の筋が切れているらしくて腕が上がりません。
手術をしないといけないと言う事で、二か月ほど入院になります。
恐らく棘上筋(きょくじょうきん)というやつらしいです。
そんなわけでしばらく更新できませんが、皆さんお元気で。
病院にはタブレットを持って行くので、手術直後は無理としても、コメント返しやツイッターぐらいは出来るでしょう。
入院は9月27日からです。

そんなわけで、『怪我』にちなんだショートストーリーをいくつか。(お気楽か?)





ドラゴン
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「これは『輸血』というものをしないと助からないな」
物知りの芋虫の病院長が言った。
その異世界から迷い込んで来た少女は崖から落ちて大怪我をしたのだ。
意識はあるけれど出血がひどかった。
「この世界には人間はいない。輸血に似た医療技術らしいもがあるにはあるが、血液が手に入らないからのう」
「私が人間世界に運びます」
少女をこの病院へ連れてきたドラゴンがそう言った。
「そんなことをしてみろ。お前は元の姿を保てなくなるぞ。そして二度とこの世界に帰って来ることも出来ん」
ドラゴンは強いまなざしで、きっぱりと言った。
「それでもかまいません!」

救急病院の玄関前で瀕死の少女が見つかった。
発見した病院のスタッフがすぐに院内に運び込み、手術が始まろうとしている。
近くの草むらで小さなトカゲがそれをずっと見守っていた。




ミツバチ
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わたしが大怪我で入院した時の事なんだけどさ。
担当のお医者さんがすげ~甘党でさ。
同じ冷蔵庫に入れていたグレープジュースと輸血用血液を間違って輸血しちゃったんだ。
まあ、それで命が助かっちゃったわたしもわたしだけど、間違う方もどうかしてるよね。
ま、それはそれでよかったんだけどさ。
それからと言うものわたしが汗をかくといい匂いがするんだ。
あま~い、いい匂いがね。
蚊は寄って来なくなってよかったんだけど、代わりに蜜蜂が来るようになっちゃった。




ガラス
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お城でまた舞踏会が開かれる。
城下のすべての家にお知らせが配られた。
「先週に引き続きお城で舞踏会を開催する。前回の舞踏会に参加した娘は全員その時と同じ服装、同じ靴を身に着けて参加するように」
いくら探しても、お城に残された片方のガラスの靴の持ち主がどうしても見つからなかったのです。

シンデレラは片方だけガラスの靴を履き、片方は裸足でお城に向かいました。
今度は魔法使いが来てくれなかったので長い道のりを歩いてお城を目指しました。
そして、道の途中に落ちていたガラスの破片で、裸足の左足を切ってしまい、とうとうお城にたどり着けませんでした。




おわり




いやあ、3千本以上のツイッター小説を書いていると、「怪我」で検索するだけで10本以上も出てきました。
で、そのうち3本を長くしてみました。

イラストは「無料イラストのAC」さんでお借りしました。

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by marinegumi | 2016-09-23 14:31 | ツイッター小説プラス | Comments(8)

人魚
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海なんて嫌いだった。
ボクは船になんて乗りたくなかった。
何だか胸騒ぎもしていたんだ。
なのに家族みんなで乗る事になっちゃった。
そしてそして、ほら案の定、心配した通り船が沈んでボクは海の中にいる。
気が付くと人魚になっていたんだ。
体はそのままだけど、足の方はもうお魚みたいにうろこに覆われてヒレが生えている。
男の子の人魚なんて聞いたこともない。
そんなの、いてもいいのかもわからない。
でもでも、独りぼっちは嫌だ。
だから嵐の日にはこうやって、海の底の方から上を見上げ、船が沈むのを待っている。
可愛い女の子が乗った船が沈まないかと。




空気清浄機
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高原のしゃれたホテル。
案内された部屋に落ち着き、ベッドに座ってため息をついた。
部屋をぐるりと見回す。
空気清浄機があった。
「こんなに空気のきれいな所に空気清浄機なんているのかな?」
思わずそんな独り言が出た。
そうか、たばこを吸う人のためかもね。
そう思いながらどこで死のうかと考え始めた。
睡眠薬はたっぷり用意している。
あとは場所を決めるだけだ。
この部屋で死ぬと迷惑がかかると思うので最初からそれはしないことにしていた。
そう、わたしは失恋をして自殺をするためにここにやって来たんだ。

その時、空気清浄機が動いた。
自動運転?
でも誰もたばこを吸っていないのに?

自殺をしたい強い思いがうそのように消えて行くのがわかった。



アブク
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雨の音を聞いていた。
窓辺に椅子を置いて窓枠に頬杖ついて雨が降るのを長い時間見ていた。
庭の木々や草花が風ではなく雨に揺られていた。

いつの間にか眠ってしまったようだった。
ふと目覚めると窓の外はにはまだ雨が降り続いていて、薄暗くなっていた。
暗く青く、まるで海の底の様な庭の色。
部屋の空気はしっとりと潤って水の中にいるようだった。
あくびをすると、ぷくんとアブクが出たような気がした




靴屋の小人
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この家には小人が棲んでいると言う。
それもすごく沢山の小人たちが。
数年前に引っ越してきた古い古い洋館作りの田舎の家。
引っ越し屋さんだったか、不動産屋さんだったか、近所の人だったか。
誰かからそんな噂を聞いたような気もするし聞かないような気もする。
記憶がひどく曖昧だ。
「でも一度も見かけたことがないよね。小人」
思わず独り言が出た。
「え?何がですか」
テーブルの向かいの妻に聞こえてしまったらしい。
「いや、この家に小人がたくさん棲んでいると言う噂を聞いたような気がしてさ。でも一度も見かけたことなんてないだろ?」
「そうですか?いつも見ているはずですけどね」
「え?どういう事?」
その時、笑顔の妻の顔がぞわぞわと崩れたような気がした。
そして一瞬見えたのだ。
妻の体が小さな小さなミクロの大きさの無数の小人が組み合わさって出来ているのが。
ほんの一瞬だったので、あとで思い出してもそれが本当だったのかどうか、まったく自信がなかった。
そのあと、いくら目を凝らしてもいつもの色白のすべすべの肌の妻がそこにいたのだ。




窓の中
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公園の横を通り、りょう君の家の前。
窓から家の中をのぞくと部屋の中では青いお魚が泳いでいた。
もう少し歩くと、なほちゃんの家だ。
窓の中では赤いお魚が泳いでいた。
そうなんだ。
幼稚園のお友達はみんなお魚になっちゃったんだ。
それもみんなそれぞれの色のきれいなかわいらしいお魚だ。
みみちゃんちの窓をのぞくと、オレンジ色のお魚がいた。
こう君の家には緑色のお魚。
黄色いお魚になったわたしは水に沈んだ街を泳いで行く。



おわり



みなさんいかがお過ごしでしょうか?
僕は例によって仕事の忙しいくそ暑い夏のため創作休止に追い込まれています。
それでもまあ、あまり何も書かないのも淋しいので、最近のツイッター小説を元に5本書いてみました。
これは元のツイッター小説をなるべくそのままの形で、書き足りなかったところを補う程度にしたもので、「ツイッター小説プラス」と呼んでいます。

まだまだ暑い日が続きますので体に気を付けてお過ごしください。

ではでは。

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by marinegumi | 2016-07-31 15:25 | ツイッター小説プラス | Comments(2)

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     あなたの周りにもきっと獏(ばく)がいるのです
     そう あの夢を食べると言う獏です
     彼らはあなたの夢を食べようと待ち構えています
     あなたの枕もとにうずくまったり
     寝室の天井裏に潜んだり
     ベッドの下に潜り込んだり
     そして神出鬼没の獏たちは時々
     あなたの夢に入り込むこともあります
     彼らとうまく付き合って行きたいものです
     それがより良い睡眠生活を送るコツなんです
     さてそれではそんな獏ちゃん達のお話の始まりです






ある、夏のうだるような夜の事だった。
エアコンのない部屋のベッドの上で、春香はあまりの暑さに眠る事も出来ず、何度も寝がえりを打っていた。
目を閉じて懸命に眠ろうとした。
やがて何かの足音が聞こえたので目を開けると、痩せ衰えた獏が枕元に集まってきていたのだ。
獏はみんなひもじそうに彼女の方を見ている。
「もう!あっちへ行きなさい。眠れないから夢もおあずけだよ。しっしっ、あっち行けってば」

ドアを開けて母親がのぞいた。
「まあ、はっきりした寝言。この子、どんな夢を見てるのかしら?」

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

眠っている時に、僕は眠っているんだと気がついた。
でも夢は見ていない。
ただ真っ暗なだけだ。
眠っていて、あたりが真っ暗だと言う夢を見ているのとは違うのだ。
夢は見ていない。
夢ではない眠りの中をしばらく歩いて行くと明かりが見えて来た。
そこには十頭以上の獏が集まっていた。
テーブルの上のたくさんの大きなお皿の上に、何か色とりどりのふんわりしたものが並んでいる。
「何をしているの?獏ちゃんたち」と、僕は聞いた。
「夢パーティーを開いてるんだよ」と一匹の獏が答えた。
そうするとお皿の上のは、色んな夢だってわけか。
今夜見るはずだった僕の夢も、このお皿に乗っているかもしれないね。

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

ある日一頭の獏は気がついた。
「僕たちは人の夢を食べるけれど、僕たちも眠る時には夢を見るよね。だったらその自分の夢を自分で食べることも出来るはずじゃないか。そうすればもうこれから一生、食べ物に困らないぞ! 」
獏は初めて自分の夢を食べました。
「おいしい!人間の夢よりおいしいじゃん!」
それから一週間でその獏は小さくなって消えてしまいましたとさ。

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

眠れない夜。
どこからともなく獏がやって来てベッドの上を飛び越した。
獏はだんだん増え続け、何匹も何匹も右から左へ飛び越して行く。
「獏が一匹。獏が二匹。獏が……」
ぼくはその数を数えてみた。
でも眠れない。
ベッドの右側にたくさん集まった獏たちはベッドを飛び越すと、また右側へ戻ってくる。
それを僕は数え続ける。
「獏が二十五匹。獏が二十六匹。獏が……」
獏たちはみんな僕を見てよだれを垂らしている。
お腹をすかせているのだ。
「お腹がすいたんなら他の人の所へ行けば?ぼくは不眠症なんだからさ」
聞いてみると、不眠症の人間の夢はとても珍味らしい。

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

夢の中の川に船を浮かべ火を焚いているのは鵜庄(うしょう)のようだ。
たくさんの紐を器用に操っているが、その紐の先に繋がれているのは鵜ではなく、なんと獏だった。
獏たちは夢の川に潜り、夢を呑みこもうとする。
しかし、首の所で紐をくくられているので呑み込んでしまえない。
鵜庄によって船の上のカゴに吐き出さされてしまう。
カゴには色とりどりの光を放つ夢がいっぱいだった。

「なんて夢を見たんだよ」
そうみんなに話すと爆笑だった。
そうね。
鵜庄ではなく、獏庄だもんね。

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

わたしは夢を見ていた。
夢の中にはたくさんの獏ちゃん達が食べに来ているんだ。
それもみんな甘い夢が好物の女の子の獏ちゃんばっかり。
わたしの夢ってそんなにおいしいのかな?
悪い気はしないな。

目が覚めた。
学校へ行く支度をしてテーブルで朝食を食べている。
今日はわたしの卒業式だ。
「学校卒業したら何のお仕事しようかな。アイドルか女優がいいんだけどな~」
「甘い!」
と、新聞を読んでいたパパが言った。

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

ひどい悪夢を見た。
こんな恐ろしい悪夢は初めてだ。
何度も同じ悪夢にうなされて心臓をバクバクさせながら目を覚ます。
同じ夢だからって慣れる事はない。
何度見ても初めて見るように恐ろしいんだ。

獏がいつもより遅れてやってきた。
「獏ちゃんてば、何で今日は遅刻しちゃったの?悪夢にうなされて何度も目が覚めちゃったよ」
「ごめん。今日は夢の鑑賞会だったんだよ。たまには夢を食べずに、見て楽しもうと言う獏仲間の集まりなの」
「そんなのがあるんだ?」
「それでさ、君の悪夢が好評でね。何度もアンコール上映さ」
「それのせいかよ!」

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

バレンタインの日。
大好きな人に渡そうとしたけれど、受け取ってもらえなかったチョコレート。
一晩かけて、寝不足になってまで作ったチョコレート。
その箱を抱えて帰り道。
急につらくなっちゃって、思いっきりそのチョコの箱を道路にぶつけてやった。
箱からチョコが飛び出して散らばった。
するとどこからともなく獏が現れ、そのチョコレートを食べ始めた。
夢しか食べない獏がなぜ?
そうか。
そうだよね。
そのチョコにはわたしの夢がいっぱい詰まってたんだものね。

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

雪山で吹雪に遭い、身動きがとれなくなった。
だんだん寒さも感じなくなり、どうしようもなく眠くなってきた。
雪山で遭難死ってこんな感じなんだな。
眠ってはいけないと解っているのに、ほんわか気持ち良くなってくる。
ああ、向こうに青空が見えて来た。
その下に色とりどりのお花畑が広がっている。
美しい風景の中を小鳥たちが鳴きながら飛び回っている。
すると突然その美しい景色がはじっこから消えて行き出したんだ。
え?どうしたんだろう。
またたく間にきれいさっぱりなくなってしまった。
あれは獏だ。
獏たちが僕の夢を食べているんだ。
その中の一匹の獏が僕のそばに来て言った。
「われわれは、獏ちゃん冬山レスキュー隊です!」

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

わたしは獏を殺した。
だってわたしは夢を見るのが大好きなんだ。
その夢を食べるなんて許せなかったんだ。
獏はわたしの夢の中に沢山いたので全部殺すまで一週間かかってしまった。

それからは、毎日毎日膨大な量の夢を見た。
まるで現実の様な夢を毎晩、初めから終わりまできっちりと見続けた。

眠っているのに寝不足になってしまった。
いくら眠ってもずっと夢を見続けるので神経が休まらないのだ。
獏を殺してはいけなかったんだね。

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

獏が異常発生した。
ありとあらゆる人々の夢は喰い尽くされ、誰も夢を見なくなってしまった。
いや、見てはいるのだが見ているそばから獏に喰われてしまうので記憶に残らないのだ。
ある日、学校の国語の授業があった。
作文の時間だ。
テーマは『私の将来の夢』
全く思いつかない。
さては獏のやつ、眠って見る夢だけでは足りずにこの夢まで?

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

夜、眠れないでいると獏の親子がやってきた。
一頭の子獏を連れている。
獏が子供のうちは決まった人間の夢だけしか食べられないのだと言う。
「それじゃあ、その子はわたしの夢しかだめなの?こまったわね」
その子獏はわたしが眠れないのでひもじい思いをしているのだそうだ。
男の子に片思いをしていて眠れないのだと言うと、その恋を叶えてあげますと言ってくれた。
獏にはそんな能力があるんだ?

その晩はうれしくて眠れなかった。

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

「みんな。よく耐えて来た。しかしこれで終りの様だ。我々は多くは望まなかった。我々にとって食料は量ではない。良質であればたった一つでも何万頭もの仲間がそれを分け合えた。しかし今、人類最後の一人が息を引き取った。最後に夢を見る事もなく」
広場に集まっていた獏たちは、みんな嘆きの声を上げた。

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

労働者不足の未来。
人類は眠りが不要になる薬によって疲れも知らず、長時間働けるようになった。
そしてまた長時間働きもするが、同じように有意義に24時間の半分をレクリエーションに使えるようにもなったのだ。
街には娯楽があふれていた。
人類はよく働き、よく遊んだ。
全く眠らずに。

夢を食べられなくなって絶滅寸前だった獏は人工に夢を生成する装置の普及によって、だんだんその数を増やしていると言う。




おわり




ツイッターで書いたツイノベのうち「獏(ばく)」が登場する物からピックアップして長めに書き伸ばしたものです。
面白そうなものだけを選んだので、これで半分ぐらいかな?
全部で14本ありますが、まだまだ書けそうなおいしいテーマですね。

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by marinegumi | 2014-03-26 20:44 | ツイッター小説プラス | Comments(6)

食卓

a0152009_22393118.jpg

夕食のテーブルの上にはずらりと食器が並び、それぞれに目にも豪華な料理が盛られている。
海の幸と野菜の前菜。
コンソメスープにパン。
鯛の白ワイン蒸しサフランライス添え。
大きなボウルに山盛りの豆。
牛ひれ肉のグリル。
野菜と魚介のミックスサラダ。
チョコレートムース。
それを囲んで座る家族の瞳にそのおいしそうな料理が写っている。
「みんなおあがりなさい」
「いただきま~す!」
5人の子供たちの手が一斉に豆の入ったボウルに伸びる。
痩せた小さな手が豆を奪い合う。
すぐにボウルは空になり、あとには貧しい画家が食器に描いた豪華な料理の絵が残る。



おわり



カテゴリ「ツイッター小説プラス」で同時に4本投稿しています。
「ツイッター小説プラス」と言うのは、ツイッターで書いたツイッター小説をなるべくそのままの形を保ちつつ、短さゆえに書き足りなかった所を書き加えたものです。

どうか同時投稿の他の三本も読んでやってください。


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by marinegumi | 2013-08-15 22:40 | ツイッター小説プラス | Comments(4)

呪い

a0152009_22372888.jpg

ある世界の人々は常に歌っていないと死んでしまうと言う魔女の呪いをかけられました。
そこではどんな時にでも、どこからともなく低く音楽が流れ続けています。
その音楽に合わせて、しゃべる言葉を歌にするのです。
お互いの会話はもちろん、独り言の時も、寝ている時でさえも、絶えず歌わなければならないのです。
何もしゃべらない時でさえその音楽に合わせ、ハミングをしなくてはなりませんでした。

また、それとは別のある世界の人々は空気を呼吸し続けなければ死んでしまうと言う呪いをかけられたと言います。
それだけではなく魔女はその世界の人々に二重三重の呪いをかけました。
心臓を絶えず動かさないと死んでしまうと言うのもその呪いの一つでした。
誰かを好きにならないと生きて行けないというのもまた呪いの一つでした。
その最後の呪いは、果たして呪いなのかどうか、人々の間で意見は分かれていましたけれど。



おわり


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by marinegumi | 2013-08-15 22:38 | ツイッター小説プラス | Comments(2)

馬鹿

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自分がずっと同じ景色を見上げているのに気が付いたのは七日前の事だった。
身動きも出来ずに、ずっと同じ風景が夜になり、朝になりするのを見ていたんだ。

妙なにおいが鼻につきだしたのは三日前の事だった。
そしてどうやらそのにおいは僕自身のにおいらしいということが判った。

何やらたくさんの虫たちが僕の体を食べ始めているのに気がついたのは昨日だった。
そこまで来てやっと僕は自分が死んでいるんだと思い至ったと言うわけだ。
「馬鹿は死んでも治らない」と言っていたおじいちゃんの言葉はこういう意味だったんだと気が付いたのは、ほんのさっきの事だったよ。



おわり



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by marinegumi | 2013-08-15 22:36 | ツイッター小説プラス | Comments(0)

指輪

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『泉のある広場で素敵な挙式を』という触れ込みの結婚式場で、私たちは式を挙げた。
人工の小じんまりした泉の前に神父さんが立ち、私と彼に指輪交換を促した。
私はケースから取り出した彼の指輪をうっかり落としてしまい、それは石のタイルに二度三度跳ね返り、泉に落ちた。
泉から女神が現れた。
「あなたの落としたのはこの指輪ですか?」
女神が差し出したのはさっきの金の指輪ではなく、みすぼらしいプラチナの指輪だった。
「いえ、違います」
「そうですね。でもこの指輪はあなたが本当に好きな人の指輪ですよ」
そう言うと式場の後ろの方を指差した。
そこには翔君くんが立っていた。
「これをあの人に」
参列者も彼も、何も言えず身動きも出来ず、ただ見つめるだけだった。
わたしはその金よりも美しく輝く指輪を翔くんの薬指にはめた。



おわり



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by marinegumi | 2013-08-15 22:33 | ツイッター小説プラス | Comments(0)

オレンジひとつ

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つややかなオレンジが一つ、僕の目の前にある。
街のカフェのテーブルの上。
たった今、彼女が別れの言葉と共に置いて行った物だ。
それには彼女と僕の思い出のすべてが詰め込まれているとでも言うかのように、彼女はそれを置き去りにした。
僕はそれを持って立ち上がった。

家に帰れば、たくさんのオレンジが僕を待っている。





君の絵

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ぼくは夢の中で絵を描いていた
とてもへたくそな絵だった
クレヨンで描いた落書きみたいな絵だった
でもそれは僕にとってはかわいい少女の絵なんだ

ずっと同じ絵を描き続けた
夢の中なのでいつまで描いても疲れはしない
描いているうちに気が付くと、いつの間にか水彩絵の具で描いている
君の絵はだんだんかわいく写実的になっている

その絵をぼくはもう何年も描きつづけている
夢の中なので時間もとても早く過ぎる
夢の中なので寝ずに書いても眠くはならない
ぼくはいつの間にか同じ絵を油絵具で描いている
それはまるで君がそこにいるように見える素晴らしい絵だった
ぼくはその絵の少女に恋していた

そしてふと気が付く
君はいったい誰なんだ?





香り

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海の見える丘の上に停めた車の中。
彼は遠くを見ていた。
こうやって一緒にいても、見つめ合っている時でさえ、その目は私を見ていない。
遠くの誰かを見ているんだ。
車の窓を彼が少し開ける。
風が吹き込み、彼の長い髪の毛がなびく。
そして覚えのある香水が香った。

あの子がつけてたのと同じ、ベビードールの香りだった。





ドーナツの穴

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冬の公園のベンチに座って
きみと一緒にドーナツを食べたよね
そのときわたしが食べかけのドーナツを落っことしてさ
コロコロ転がってさ
それをきみが面白がって
笑って笑って笑い転げて
あんまり笑うものだからわたし反対にしらけちゃって
拾ったドーナツの穴から君の笑い顔を見ていた
見ているうちに思ったよ
きみの事が好きなんだって

あれからもう何年も過ぎたけど
ドーナツの穴をのぞくと今でも君の笑顔が見えるんだ





朝のテーブル

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美しい朝の光が 窓から差し込むテーブルの上
おいしいお茶と クッキーを用意して
あなたに この世界の素晴らしさを語る
そして 私たちがどんなにあなたを愛しているのか
どんなにあなたの事を 必要としているのかと
心をこめて 私たちは伝えました
それでもあなたは行ってしまうのですね
わかりました
もういいのです
それならば
それであなたの気が済むのなら
いちど 生れて来なさい 地上とやらへ






帰れない

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異星人は壊れたUFOの前で泣いていた。
三輪車で通りかかった男の子が異星人の顔を覗き込む。
そして、「お家に帰れないの?」と聞いた。
一瞬異星人は泣きやみ、男の子の顔を見るとまた泣き出した。
「こまったちゃんですねー」
男の子は異星人の頭をなでなでしながらそう言った。
だけど、泣き止む様子はない。
異星人の本当に悲しそうな様子を見ているうちに男の子は、自分もだんだん悲しくなってしまった。
そしてとうとう二人は仲良く並んで、大声で泣き続けた。





食後

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食後に眠くなるのは当たり前なのだろう。
食べた物を消化するのに大量の血液を使うからだとあいつが言ってたような記憶がある。
いや、酸素を使うからだったかな。
そうか、胃が食べ物を消化するのに血液中の酸素を消費するということかもしれない。
いやいやそんなことは今はどうでもいい。
いい加減な説ばかりひけらかす奴だったからな。

とりあえずライオンはあいつを食って満腹で眠っている。
今のうちに逃げなければ。





おわり





「ツイッター小説プラス」と言うのは、最初に書いたツイッター小説の140文字のままではちょっと書き足りないなと言う所を最小限修正したものです。
この7本は全て「こえ部」に投稿したものです。

「こえ部」で朗読していただいた作品

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by marinegumi | 2013-03-04 23:30 | ツイッター小説プラス | Comments(2)

青い傘 (1枚)

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わたしはずっと電話がかかってくるのを待っていた。
雨が降り続く中、雨宿りもせず公園のベンチに座っていたのでもうずぶぬれになっていた。
ポケットに入れた携帯が壊れても知らないからね。
この携帯、防水じゃないんだから。
こっちからかけなくても、傘があるかどうか心配して電話をかけて来ないあんたが悪いんだからね。

雨が急に止んだ。
同時にあたりが青くなった。
青い傘をさしかける彼の笑顔があった。


おわり


これはツイッター小説「私は電話を待っていた」シリーズのひとつを「こえ部」に投稿するために少し長く書き直したものです。
現在3人の方が朗読してくださっています。
いいですねー!アニメ声。

青い傘

それからもうひとつ、同じくツイッター小説「扉が開いた」シリーズのひとつを朗読していただきました。
こちらはツイッターで投稿した時のままです。

扉が開いた

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by marinegumi | 2013-02-25 20:29 | ツイッター小説プラス | Comments(6)