カテゴリ:掌編小説(新作)( 245 )

こわいゆめ (1枚)

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こわいゆめからさめたとき、ぼくはあせびっしょりだった。
まだしんぞうがドキドキと、きもちわるいほどにはやくおおきくうっていた。
とけいをみるとまだまよなかだった。
きゅうにこころぼそくなって、ぼくはママをさがした。
あのこわいゆめのことをはなして、なぐさめてほしかったんだ。
ママのしんしつはドアがひらいたままで、ベッドにはだれもいなかった。
かいだんをおりて明かりがついているだいどころに行った。
テーブルの横にママが血だらけで倒れていた。
それはあの恐い夢と一緒の場面だった。
一緒だったのでかえって驚きはしなかった。
やがてすっかり記憶がよみがえった。
俺はもう大人になっている。
口うるさい、文句ばかり言うお袋を殺したのは俺だったのだ。
死んだばかりの様に見えていたお袋は、元の姿に戻った。
ドレスを着た白骨死体。
それが今のお前の本当の姿だ。




おわり



この作品を、ブログ「ゆっくり生きる」のはるさんが朗読してくださいました。
いつもありがとうございます。



イメージとしては、声が子供の物から大人に、徐々に変化した方がいいかなと思っていたのですが、このいきなり変わると言うのも迫力があっていいですね。
ドキッとしました。

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by marinegumi | 2016-02-08 17:12 | 掌編小説(新作) | Comments(4)

節分あれこれ (3枚)

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「玄関に何を飾ってるの?」
「節分にはねえ、これの頭を玄関の外に吊るしておくと魔よけになるって」
「そうなんだ?だけどよくそんなのが捕まえられたね」
「そりゃあ大変だったよ。このために猟銃の免許をとったりね」
「ちょっと失礼。それを見せてください」
「あなた誰ですか?」
「日本自然保護協会の者です。イヌワシは希少野生動植物種で天然記念物なんですよ」
「え?それで?」
「節分に玄関に飾るのはイワシの頭!」




「憎しみは新しい憎しみを生み出すだけです。形の上だけは戦うのもいいでしょう。豆の代わりにマシュマロやチョコレートを撒きましょう。キャンディーや甘納豆もいいですね。地面に落ちても、それを拾った鬼たちが食べられるように、ちゃんと個別包装されたお菓子を撒く事にしましょう」
毎年の節分には甘いお菓子が撒かれるようになり、鬼たちはその味を覚え、日常的に甘いものを食べるようになりました。
そして糖尿病や虫歯の鬼が増えて行ったのです。
鬼の国にはお医者さんがいません。

「にた~り。鬼退治はこうやらなくちゃね」 




「あ、いたぞ。あそこに鬼の親子だ」
「こいつらもやっつけてやろうぜ!ほら、豆の用意はいいか?」
「あ、ちょっと待って。見逃してやろうよ」
「なんでだよ?」
「あの鬼の親子、切り株に座って恵方巻を食べてるじゃん」
「かなわねーなあ。最近の鬼は」




鬼の棲む島に今日も爆撃機が向かいます。
爆弾はもちろん大豆です。
島全体に炒った大豆を大量に撒くのです。
何日も、何か月もそれが続きました。
いつしか、島全体が大豆に覆われ、生態系が完全に破壊され、まともに食料が採れなくなり、鬼たちは滅びました。
何年か後。
しっかり炒られてなかったいくつかの大豆が芽を出し、空高く伸びました。
それはどんどん伸びて行って雲の上まで届いたのです。

やがてその豆の木を伝い、天空の大鬼たちが仲間の復讐に大挙して降りてきました。




「玄関に何を飾ってるの?」
「節分にはねえ、これを玄関の外に吊るしておくと魔よけになるってさ」
「何それ」
「石清水(いわしみず)八幡宮のお札」
「それは節分でなくても魔よけになると思うけど。石清水じゃなくて、イワシなの!」
「じゃ~これにしようか?」
「それは岩津(イワツ)ネギ!だんだん無理やりになって来た」



おわり



これまでに書いたツイッター小説で、二月三日前後に書いたものを見てみると、節分テーマの物が結構ありました。
それを長くしたものです。

写真は「フリー写真・イラスト素材(ロイヤリティフリー)Photo Chips」さんからお借りしました。

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by marinegumi | 2016-02-02 22:09 | 掌編小説(新作) | Comments(2)

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「その子、とってもかわいいんだ。顔がね」
と、マモル君は言う。
「でもさー、ことばづかいがねえ……」
「言葉遣いがどうしたの?」
マモル君は夢の話をしている。
毎晩の夢に出てくる女の子の話だ。
「その子さあ、不良かもしれない」
「不良なの?」
「今は家出しててさ、悪いやつらとつき合ってるみたいでさ。すぐに『うぜ~』とか『頭んくるぜ!』なんて言うんだよ」
「まあ、まあ」
私はニコニコして聞いていた。
夢の中の話だから、そんな子と遊ぶのやめなさいなんてことも言えないし。
「このあいだ『お前にこれやるよ』ってさあ、ナイフをくれようとしたんだ。ぼくがいらないって言うと『えんりょすんなって。どうせ万引きしてきたんだからさ』ってさ。ぼくそれでも断ったよ」
「さすが。私の子供!」
「でもね。やっぱりその子、女の子だね。花が好きなんだよ。でも、どこにも花が咲いてなくてさ。盗もうと思っても花屋さんもないんだ。その子が住んでる街は」
私はマモル君の机の上にある花束を見た。
「あ、わかった。それであれを買ってきたの?」

その夜、寝る前にマモル君の部屋をそっと覗いてみた。
かわいい寝息を立てて、あの花束を両手で持って胸の上に置いてマモル君は眠っていた。
夢の中のあの子へのプレゼント。
可愛らしい事を考える。
ドアを閉めようとして、ふと気がついた。
朝になって、あの花束がそのまま有ったらマモル君はどう思うだろうかと。
きっとあの子に渡せなかったと思ってしまうかも知れない。

私はそっとマモル君の手をほどき、花束を持ち上げた。
静かにドアを閉めると花瓶に水を満たし花束を入れ外へ出て、庭の花壇の花の中に紛らせた。

あくる日、いつもよりマモル君は起きて来るのが遅かった。
ドアを開けるとマモル君は眠ってはいなかった。
ベッドに上半身を起して座ったまま、あらぬ方向を見ている。
「どうしたの?」
マモル君はゆっくりと私の方へ目をやった。
「あの子が言ったんだ」
「え?」
一瞬何の話か分からなかった。
「あの子が言ったんだ。『あんたのおふくろは悪いやつだ』って。『自分の子供のプレゼントを取り上げるなんて、泥棒より悪いやつだ』って」
「あ、あの花束の事?」
「『そんなやつ殺してしまえばいい』って」
マモル君がゆっくり両手を持ち上げた。
その小さな手の中に何か黒い影が見えていた。
影はゆらりと揺れると冷たく光るピストルの形になった。
その銃口から、真っ赤に燃えた銃弾が私に向かって飛んでくるのが、スローモーションのように見える。
夢の中からの拳銃の弾丸が、現実に人を殺すなんて事があり得るだろうか?
私は半分恐怖心、半分好奇心でそれを待ち受けていた。



おわり



言わずと知れた、もとツイッター小説です。

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by marinegumi | 2016-01-24 23:16 | 掌編小説(新作) | Comments(4)

名探偵失踪 (2枚)

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画像は雑貨通販サイト「shipton」さんでお借りしました。「おしゃれな真鍮ルーペ」


近頃、街では殺人事件が頻繁に起きていました。
それもみな警察の手に余る複雑怪奇な事件ばかりでした。

しかしその殺人事件の謎を解き、ことごとく犯人を特定してしまう天才的な名探偵が現れたのです。
今日も今日とて……

「犯人はお前だ!」
事件関係者が集められた部屋の中で名探偵は声を上げました。
指さされた男は顔色を変え、逃げ出そうとしましたが、その場に居合わせた警官によって取り押さえられました。
「いやあ、お見事です。あなたの名探偵ぶりは後世まで語り継がれることでしょうな」
でっぷりと太った警部が名探偵に握手を求めました。

その時、一人の少女が名探偵の前に歩み寄ります。
「犯人がわかっても死んでしまったパパは生き返らないわ!」
そう叫んで少女はその場に泣き崩れました。
「君はあの被害者の娘さんだね」
名探偵は優しく少女を抱き起します。
そして涙があふれたその瞳を見つめながら言いました。
「そうだね。私は少しも君の力になれなかったね。許しておくれ」

その日以来名探偵は姿を消しました。
探偵事務所にも明かりが点かず、ずっと鍵が掛かったままでした。
警部が何度も訪れましたが、ようとしてその行方は知れませんでした。

しかしその後、街では殺人事件が驚くほど少なくなりました。
喧嘩や強盗などによる単純な、突発的な殺人事件はあったものの、以前のような謎に満ちた警察の手に余る事件が全くなくなったのです。

人々はうわさをしました。
「あの名探偵が事件の起きる前に解決しているんだね」と。



おわり



きのう書いたツイッター小説を長くしてみました。

ブログ「ゆっくり生きる」のはるさんが朗読の動画にしてくれました。
いつもありがとうございます。


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by marinegumi | 2016-01-08 17:13 | 掌編小説(新作) | Comments(4)

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☆鶴の恩返し その1

ある雪の降る晩のことでした。
戸を叩く音がしたので男が出てみると、白い着物を着た美しい娘が立っていました。
「私の名前はつうと言います。道に迷っております。一晩泊めて下さいませんか?」
するとそれを見ていた女房がいきなり男の顔をこぶしで殴りました。
「あんたまた別の鶴を助けたね!このスケベおやじ!」
娘は呆気にとられて男を攻撃する鶴を見ていたと言います。



☆かさじぞう

「ただいま。傘が売れ残ってしまったので峠のお地蔵さんにみんなかぶせてあげたよ」
「まあ、まあ、それはよい事をしましたね」
「それで請求書を一番大きなお地蔵さんの前に置いてきたよ」
「まあ、まあ、それで?」
「金を払いに来なきゃ、預金でも差し押さえようかのう」
「ばちが当たっても知りませんよ」



☆一寸法師

「ちょっと、ちょっと、ちょっと法師さん」
「え?何ですか?(女子高生の三人組だ。なんかやな予感がする)僕は一寸法師だよ。これからお椀の船に乗って…」
「あんたの名前さ、スマホで調べると一寸(ちょっと)法師って出たのよね。つまり身長がちょっとしかないってこと?」
「いや一寸(いっすん)だから」
「え?ど、どゆこと?」
「あ~、説明がめんどくせ~」



☆浦島太郎

乙姫様は浦島太郎と別れるのがあまりにつらいので一緒に付いてきてしまいました。
太郎はあたりの様子を見渡し、驚きます。
「何という事だ。私の村はすっかり変り果て、知っている人が一人もいない。どうすればいいのだ」
太郎はしばらく呆然としていました。
「そうだ、この玉手箱を開けてみよう」
「そうするのが一番です」
「乙姫や。開けるからこっちにおいで。なんでそんな遠くに離れるんだ?」



☆さるかに合戦

カニ、栗、蜂、馬ふん、臼(うす)は力を合わせてサルをこらしめましたとさ。
めでたし、めでたし。

後日勝利を祝うために飲み会が開かれましたが、なぜか馬ふんだけが呼ばれませんでした。
「そりゃー僕は臭いかもしれないけれど、一緒に戦った仲間じゃないか!くそー、仕返ししてやる」
第二部の始まりです。



☆こぶとりじいさん

まあ、おじいさんたら。
きれいにこぶが取れたわね。
しかもお肌がピッカピカ。
そうなの?
鬼に取ってもらったの?
そこを紹介して頂戴。
しわを取ってもらいに行くからさ。



☆桃太郎

おばあさんは八百屋さんで六個入りパックの桃を二パック買ってきました。
おじいさんと二人で食べようと切ってみると、なんと中から小さな男の子が生まれたのです。
「おお、これは可愛い男の子じゃ」
おじいさんとおばあさんは大喜びです。
「桃太郎と名付けて大事に育てましょうね、おじいさん」
二つ目の桃を切ってみるとまたまた同じように男の子が生まれました。
「なんと、二人目も生まれたか。お前の名前は桃二郎だぞ」
そんな感じで、三つ目は桃三郎。
四つ目は桃四郎。
五つ目は桃五郎と名付けました。
そしてなんと六つ目の桃からは男の子と女の子の双子が生まれたのです。
さすがにげっそりしたおじいさんとおばあさんは、まだ開けてなかった二つ目の桃のパックを八百屋さんに返品に行きました。
ちゃんとレシートを持って。



☆ねずみの嫁入り

「ねえ、お父さん。そろそろ娘にもお婿(むこ)さんを見つけなくてはいけませんね」
「そうだな、うちの娘は世界一頭の良い男と結婚させたいものじゃの」
「一番賢いと言えばあなた、ある大学に在籍しているネズミがいると聞きましたよ」
「よし!そのネズミに会いに行って来る」

「おお。ここが早稲田大学理工学部と言うところか?おや。あそこにネズミがいるぞ。あれがうわさの・・・」
「あなたはどなたですか?」
「私は私の娘を世界で一番頭の良いネズミと結婚させようと思っているんです。大学にいるるネズミさんなら賢いだろうと思ってね」
「こんな所に来ちゃだめですよ。ああ~!ほら、捕まっちゃった」

「なんだ?薄汚いマウスだな。どのゲージから逃げ出したんだ?」



☆花咲か爺さん その1

「枯れ木に花を咲かせましょう」
そう言っておじいさんが灰をまいた時、風が吹いておばあさんにかかってしまいました。
「あー、どうせわたしゃ枯れ木だよ」
「違うんじゃよ婆さんや」
二人は老年離婚してしまいました。



☆花咲か爺さん その2

「枯れ木に花を咲かせましょう~」
そう言ってお爺さんが灰を勢いよくまいたとき、突風が吹きました。
そして、灰はそれをまいたお爺さんの顔に嫌と言うほどかかったのです。
「いててて……」
お爺さんの唇には赤いぶつぶつが。
「うわあ。熱の花(口唇ヘルペス)が咲いた」



☆舌切りすずめ

「お土産は、大きなつづらと小さなつづらと、どちらがいいですか?」
と、すずめたちは言いました。
「今度はひっからないよ、両方もらってくからね!運送屋さん、こっちだよー」
悪いおばあさんはスズメのお宿の扉を閉めました。
「焼鳥屋さんも仕事を始めておくれ」



☆鶴の恩返し その2

吹雪の夜に誰かが戸を叩く音が聞こえた。
「ここを開けてくださいな」
おじいさんとおばあさんが戸を開けると、そこには美しい一羽の鶴が立っていました。
「とうとう開けてしまったのですね」
鶴は悲しそうにそう言うと、遠くの空へ飛び去ってしまいました。
「今のはなんなんでしょうおじいさん?」
「昼間助けた鶴に似ていたようじゃが、はて?」




おわり



あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。

大みそかにアップした「名作パロディー・西洋編」の続編です。
りんさんのブログ「りんのショートストーリー」でアップされた「名作パロディー」の作品のコメント欄に、僕も同じタイトルで書くのが恒例になってしまい、いつの間にかこんなに溜まっていました。
西洋編も日本編もごちゃまぜで書かれていたのを今回分けて、更にちょこちょこ手を入れて、しょーもないものは削除してアップしています。

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by marinegumi | 2016-01-01 10:40 | 掌編小説(新作) | Comments(5)

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☆マッチ売りの少女 その1

「おじさん一つ買ってくださいな」
「おやおや、かわいそうに。最近、こんな寒い夜にひとりマッチを売る少女がいると聞いたんだけど、あなたの事ですね。私がぜんぶ買ってあげましょう」
「ぜんぶですか?そんなにお金があるの?おじさん」
「え?たかがマッチだろ?」
「マッチもあるけど、今は主にライターを売ってるのよ。ジッポーの限定デザインばかり。ほら、このビートルズ来日記念モデルは15万円よ」



☆シンデレラ その1

「ああ、ガラスの靴がピッタリだ。あなたこそ、探し求めていたプリンセス。僕と結婚してください。そしてこれがダイヤの結婚指輪です。12カラットあります」
「まあ素敵!でもこんなに高価な物・・・」
「ほら、こっちの靴はガラスの靴をモデルにしてダイヤモンドを100個ちりばめて作らせたんだぜ。いやあ、お金がかかっちゃったなぁ」

二人は結婚したものの、王子様の王国は間もなく財政破たんに陥ります。



☆白雪姫

「♪ハイホー、ハイホー俺たちは♪みんな仲良し、ハイホー、ハイホー♫」
「あれ?なんだか俺たちの家の前にたくさん人がいるよ」
「でっかいカメラを持ってるやつもいるぜ」
「あいつはマイクを持ってる」
「おかえりなさ~い」
「白雪姫。この人たちは誰なんだい?」
「CM制作会社の人よ。あなたたちはプロバイダーHi-Ho(ハイホー)のCMキャラクターに決まったのよ。私がマネージャーをやるわね」



☆赤ずきん

「赤ずきんちゃ~ん。どこに行ったんだ~」
「赤ずきんや。もうすぐ結婚式が始まるよ~」
「新郎さんはもう用意が出来てますよ~」
「ここにいるわよ!白いウエディングドレスを着ちゃうと存在感ゼロね、わたしって」



☆白雪姫

「赤ずきんや。この毒りんごを持って白雪姫の所へ行ってきてちょうだい」
「お母さん。まだボケる歳でもないでしょ?」



☆おやゆび姫

チューリップの花が開くと、そこには小指ほどの小さな女の子がいました。
「私は小指姫です」
「なんだよ。普通、チューリップには親指姫でしょ?」
「いえ、この花はクルシアナペパーミントスティックと言う名前で、チューリップの原種と言われていて、チューリップより花が小さくて・・・」
「どうでもいいわよそんなこと!」



☆ピノキオ

ピノキオは、クジラのおなかの中でゼペットじいさんと再会しました。
「おじいさん!やっと見つけたよ。こんな所で何か月も何を食べて生きてたの?」
「何って、ほらクジラ肉が有り余るほどあるじゃろ」
「ああ、それでなんだね。このクジラは胃痛で病院に診てもらいに来たんだよ」



☆3匹の子ブタ

「ふう、やっとレンガの家が出来上がった。あれ?お兄さんたちが逃げてきた。オオカミに追われてるぞ。早く早く。ぼくの家に入って」
ガラガラグシャ!
「レンガの家がこわされちゃった~」
「早く早くこっちだよ」
「あ、あれは行方不明だった一番上のお兄さんだ」
「さあ、このコンクリート製の要塞は大丈夫だよ。機関銃も大砲も装備してるしさ」
子ブタたちは4人兄弟だったのです。

やっぱり一番年上のお兄さんが一番賢いね。



☆はだかの王様

「あっ、王様は裸だ~」
「わしのパソコンにウイルスバスターを入れてくれ。子供にハッキングされてウェブカメラで見られとるぞ」



☆美女と野獣

全ての魔法が解けました。
野獣に姿を変えられていた王子は元の姿に。
美女に姿を変えられていためすブタも、ちゃんと元の姿に戻りました。
めでた……



☆マッチ売りの少女 その2

「これが最後のマッチだわ。見えるわ。幸せそうにクリスマスを過ごしている家族が。みんな笑顔で、暖かそうな服を着て、ご馳走を前にして……」
少女の持っているマッチは最後まで燃え尽きようとしていました。
「あち~!!ばかやろ~!火傷しちゃったじゃねーか、くそったれ!」



☆シンデレラ その2

「あー、舞踏会楽しかったわねー」
そう言いながらシンデレラはガラスの靴を揃えて靴箱にしまいました。




おわり




これはりんさんのブログのコメント欄に埋もれていた短いお話です。
りんさんの書くパロディーに刺激されて、読んだ後にその場で書いたものがたくさんたまったのでまとめてみました。
「名作パロディー・日本編」は来年早々アップする予定です。

今年は一年間ありがとうございました。
ちょっと更新のスピードが後半落ちてしまいましたが、来年は頑張ろうと思います。
よろしく~

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by marinegumi | 2015-12-31 18:47 | 掌編小説(新作) | Comments(0)

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1 トナカクロース

サンタクロースはすっかり歳を取ってしまいました。
今ではもう世界中の子供たちにプレゼントを配りに行くことは出来ません。
だからこの時代では子供たちのお父さんお母さんがサンタの代わりにプレゼントを贈るようになっていたのです。
しかし、とサンタクロースは思います。
親のない子供たちもいるではないかと。
そんな子供たちにだけにでも、以前のようにプレゼントを配ると言うのはどうだろうかと。
そうは思っても体が付いて行きそうにありませんでした。

そこでサンタクロースは相棒のトナカイに行かせてはどうかと気が付きました。
あの頃のトナカイはサンタクロースと同じように年老いてはいましたが、子供や孫たちが大勢生まれ、数に不足はありませんでした。
暇を持て余していたトナカイたちもその話に大乗り気でした。
世界中の親のない子供たちの枕もとにそっとプレゼントをしのばせる。
それはとっても幸せな事でした。
プレゼントをもらう子供以上に幸福な気分になれるのです。
それはトナカイたちも一緒でした。

クリスマスも終わり、数日過ぎた頃から子供たちのお礼の手紙がサンタクロースの元へ届きはじめました。
その手紙をサンタクロースは目を細めながらトナカイたちに読んで聞かせました。
そしてその中にちらほらこういう手紙が混じっていました。
「プレゼントのおもちゃ、とってもうれしかったです。でも部屋の中が少し、けもの臭かったのはどうしてでしょう?」

もちろんそんな手紙はトナカイには読み聞かせはしませんでしたけどね。




2 プレゼント

わたしの彼ってさあ、ちょっと変わってるんだよね。
クリスマスに仕事が入ってさ、プレゼントが間に合わなかったのは、それはそれでしょうがないかも知れない。
その仕事がトラブっちゃって、しばらく会えなくって、渡すチャンスがなかったと言うのもあるかもしれない。
そのプレゼントを次の年のクリスマスのプレゼントに回すと言うのもまあ、百歩譲って許すとしてもさ。
食べ物には賞味期限と言うものがあるんだよね。

このスイートポテト、カビだらけじゃん。




3 サンタを訪ねて

誰だねそこに立っているのは?
ほら、雪が吹き込むからドアを閉めて入ってきなさい。
どうやってここまで来たんだい?
外はずいぶんひどい吹雪だったろ。
ああ、そうだよ。
私がサンタクロースだ。
正真正銘、本物のサンタクロースだよ。
え?なんだって。
君はプレゼントをもらえなかったと言うのかい。
それではるばるこんな所まで来たと言う訳か。
そうか、そうか、ご苦労だったね。
ふふふ、実は君へのプレゼントはここにあるんだよ。
君が来ることはちゃんと判っていたからね。
ほら、これだ。
メリークリスマス!

どうしたんだ?
こんなに大きなプレゼントの箱は見たことがないって?
そりゃそうさ。
これは特別なプレゼントだからな。
本当は君のパパとママがちゃんと用意してくれるはずだったものなんだよ。
君がクリスマス前に死んじゃったものだから渡せなかったのさ。

特別な、最後のクリスマスプレゼントだよ。




4 取扱注意

クリスマスの朝。
目が覚めてびっくりこん。
枕元にプレゼントの箱があった。
それも僕の背ぐらいある大きな箱だった。
持ち上がらないほど重い。
わくわくしながら開けてみると箱の中には半分ほど水が溜まっているだけだった。
包装紙にはさんであったメッセージカードを読んでみた。
「取扱注意。今年のプレゼントは雪だるまです。早めに冷凍庫に入れて下さい」

サンタさんお金がなかったの?
それともなにかの冗談?




5 使命

私がまだほんの子供だった頃。
クリスマスの朝、目覚めると枕もとには大きな靴下が片方だけ置いてあった。
毛糸で編んだ帽子にでもできそうな大きな大きな靴下だった。
その意味も解らず、かと言って捨てるわけにもいかず、なんとなく枕元の壁に掛けておいた。

その靴下はいつもそこにあった。
何度か家族は引っ越しをしたけれど、新しい家の私の部屋のベッドの枕元にはその靴下がずっと掛かっていた。
父を亡くし、母を見送り、子供たちはそれぞれ新しい家庭を作った。

ある日の鏡の中には白いひげを蓄えた私の姿があった。
ずいぶん年老いておかしいほどしわだらけだった。
自分でも驚くほど生気のない目をしていた。
その時、窓の外から鈴の音が聞こえて来たのだ。
今日はクリスマスイブだったのを思い出した。
枕元の大きな靴下がなぜか気になった。
孫が忘れて行った車のおもちゃを無意識のうちにその靴下の中に入れると、靴下は待ちかねたように消えた。

その時私は悟ったのだ。
これまでの人生が終わり、人のために尽くす新しい使命が始まるのだと。
ふわりと赤い防寒着がベッドの上に現れた。




6 いまどきのサンタ

雪深いフィンランドから世界中の子供達にプレゼントを発送する。
昔は世界中にいたサンタたちも今は私一人だ。
便利な世の中になったもので、すべての配達は赤く塗られたドローンが済ませてくれる。
私はプレゼントの発注をするだけだ。
運ばれてきた夥しい数のプレゼントはバーコードシステムで自動仕分けされ、自動でドローンに装着される。

おや?警報が鳴っている。
なに?ドローンが一機行方不明?
こんな時は赤外線カメラ搭載のトナカイドローンの出番だ。




7 クリスマスケーキ

クリスマスに残業だなんてほんとにもう嫌になっちゃう。
まあ、彼氏がいないのが幸いだね。
もしもいたとしたら喧嘩になっちゃうかもね。
寒~い。
早く帰ってテレビでも見て寝ちゃお。

あ、ケーキ屋さんがまだ開いてる。
そうだね。
今日は稼ぎ時だもんね。
この店でアルバイトしてたから知っている。
クリスマスには夜の十時まで開けてるんだよね。
そして、あのショーケースの中のたった一つ売れ残ったクリスマスケーキは、閉店後、つまりあと5分後には廃棄処分になるんだ。

気が付くと店の前にいた。
店員さんは見覚えのない人。
「これください」とクリスマスケーキを指差しているわたし。
どうしよう。
一人暮らしでは食べきれやしないのにさ。

ケーキの箱を持ってしばらく歩いて行くと後から覚えのある声が聞こえた。
「相変わらず優しいんだね、なっちゃん」
名前を呼ばれて驚いて振り返った。
あのケーキ屋さんで一緒にアルバイトをしていたケンジだった。
「そのケーキ。一緒に食べてやろうか?」
「あんた、彼女いたでしょ?」
「残念でした。去年のクリスマスに振られてさ」
「部屋に上がっても変なことしないでよ」
「しねーよ」


「あ、雪が降って来たよ」




おわり



おくればせながら、メリークリスマス

このクリスマスストーリーはツイッターで書いたものです。
クリスマスイブ、クリスマス、クリスマス明けと三日間で書きました。
どれも4~5分で考えて書いたものですが、今回長く書きのばしながら結末が違う物になったり、途中のエピソードがあれこれ浮かんで来たりして楽しく書けました。
一気に書き上げてしまいましたね。

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by marinegumi | 2015-12-29 01:07 | 掌編小説(新作) | Comments(5)

暖炉 (1枚)

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ぼくは今夜もまた ぼくの絶望を暖炉で燃やしている
孤独なやりきれない思いなら いくらでもぼくには持ち合わせがある
その炎は まるで血のような色で燃えるのだ
ともすれば黒ではないかと見間違う赤い炎だ

そんなぼくの前に美しい少女が現れた
ぼくたちはお互いに孤独で 絶望をそれぞれ抱えていた
ぼくたちは愛し合い 二人から絶望は消え去り 夢と希望が暖炉の薪(まき)になった
夢はオレンジ色に燃え 希望は黄色く燃えた

ぼくたちはその炎を見つめながら震えていた
いつか二人に来るはずの 絶望の予感に怯(おび)えていた




おわり




きのう書いたツイッター小説を少し長くしたものです。
何となく表現が気に入ってしまったので。

この作品をはるさんが朗読の動画にしてくださいました。
こちら→ブログ「ゆっくり生きる」



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by marinegumi | 2015-12-06 17:17 | 掌編小説(新作) | Comments(6)

冬の図書館 (3枚)

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きんと冷え切った冬の空気の中を歩いている。
でもちっとも寒くはない。
ボクの吐く息が白くけぶることもない。

うっすら霜の降りたメタセコイアの林の小道を抜けるとレンガ造りの図書館がある。
鬱蒼とした木々に囲まれてまだ眠っているように見える冬の図書館だ。

玄関を抜け、薄暗い廊下を歩き、貸出しカウンターの中に入る。
上にある小さな照明を点ける。
この図書館にボクが最初に明かりを灯すのだ。
そしてしばらくカウンターの向こうの書架を眺める。
世界のありとあらゆる事象が記された、たくさんのたくさんの本が納まっている。
そう考えるとボクはいつもわくわくする。
そう。
ボクはこの図書館の司書になるのが夢だった。
そのためにはどんな勉強をすればいいのか調べたり、先生に聞いたりもした。

「司書の資格を取るのは簡単です」
と、先生は言った。
「でも、資格があっても司書になれるとは限りません」
と、先生は続けた。
「司書の仕事はあまり募集がないからなんです。でもきっとあなたならなれると思いますよ」

その先生の目を今でも覚えている。
その目は本当にボクを信じてくれている目だと思った。

先生、ごめんね。

ガチャガチャと玄関のドアのカギを開ける音がした。
そして廊下を歩く足音。
黒い鞄を持って、メガネをかけた女の人が入って来る。
事務所から貸し出しカウンターの方を見て不思議そうな顔をする。
前の日、確かに消したはずの照明が一つだけ点いているからだ。
ボクは女の人に手を振る。
でも気づいてもらえない。
女の人はボクの同級生で、むかし一緒に図書係をしたことがある。

ごめんね、ゆうみ。
ボクはずっと最初の明かりを点けに来てもいいだろ?




おわり



この作品は、今日書いたツイッター小説を長くしたものです。
140文字に満たない小説でも、生まれながらにして広がりを持っているものがあります。
無理やり書きのばさなくても、自然にストーリーになるんですね。

この作品をはるさんが朗読の動画にしてくださいました。
こちら→ブログ「ゆっくり生きる」



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by marinegumi | 2015-11-22 21:56 | 掌編小説(新作) | Comments(4)

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ニュースをお伝えします。
5年前に始まり、根強い人気の一般向け月世界旅行ですが、お土産として人気の『地球見だんご』の産地偽装が問題になっています。
パッケージには「MADE IN MOON」と明記されているにもかかわらず、実際は地球の工場で生産されていたと言う事が元従業員の内部告発で明らかになりました。
この『地球見だんご』は月世界旅行参加者が主に宿泊するホテル、『静かの海ロイヤル』の売店でのみ販売されているものです。
製造会社のパンフレットには材料だけは地球から輸送して、製造及びパッケージは月面工場で行われているとうたっていました。
また宣伝のコピー文の「地球を思い、地球を見ながら生まれました。地球に連れて帰ってね」と言うフレーズが有名でした。
この『地球見だんご』を購入した旅行客の声をお聞きください。

「いやあ、人を馬鹿にしてるわね。そりゃあ、原材料は仕方ないとして、作るのも地球だったんでしょ。わざわざ月まで買いに来なくても……。ええ、まあ、お土産が目的じゃないにしてもねえ」

「ダメだねこりゃ。聞くところによると我々が乗って来た月世界旅行用の宇宙船に乗せて運んでたと言うだろ?いや、この『地球見だんご』をだよ。そうだよ。われわれが月に来る同じ宇宙船に『地球見だんご』がわんさか乗ってたって聞いたよ。いい加減にしろって言ってやりたいね」



おわり



これもごく最近書いたツイッター小説を膨らませて書いたものです。

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by marinegumi | 2015-10-18 12:00 | 掌編小説(新作) | Comments(4)