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海野久実が掌編小説やら短編小説を書いています。タイトルの後に原稿用紙換算の(枚数)があるのが小説です。


by marinegumi
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<   2011年 05月 ( 10 )   > この月の画像一覧

その22
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扉が開いた。
町の一人暮らしの辛さに森の扉の前にやって来た。
父が「困った時はここに来なさい」と教えてくれた扉。
何度か来た事があったけれどその時は開かなかった。

潜り抜けると後ろで扉は閉じた。

同じ森の中だった。
何か変わったのかな?
町へ帰るのが怖くて森で暮らしている。
小さな翼を震わせて。




その23
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扉が開いた。
扉が閉じた。
扉が開いた。
僕はその音をベッドの中で聞いていた。
熱のためにぼんやりとした頭でたくさんの人が出入りする音を。

扉が開いた。
扉が閉じた。
僕はふらつく足で階段を下りて行った。
真っ暗だった。
誰もいなかった。
扉の音はまだ聞こえている。

それは僕の頭の中で響いていたんだ。




その24
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扉が開いた。
部屋は施錠もされず誰もいなかった。
家具等も一切なく荒れ果て最近まで人が住んでいた痕跡もなかった。

うそだ!
僕達は毎日のように逢っていた。
僕がこの部屋まで迎えに来て…。

思い出した。
それはもう何十年も昔の事だったのだ。
割れたガラスに映る自分の顔を見た。
深い皺が刻まれていた。




その22はオチの部分をガラッと変えました。
元の作品ではオチらしいオチはなかったのですが、結構くっきりとしたオチを思いつきましたよ。
その24ですが、画像がすでにオチをばらしていますよね。
でもまあ、こんな短い作品だからあっという間にオチですから、まあいいかなと。

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by marinegumi | 2011-05-27 23:22 | ツィッター小説 | Comments(6)
その19
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扉が開いた。
その車から降りて来たのは綺麗になった聡美だった。
彼女は僕の元カノって言う奴だ。
たった今、車同士が接触したのだった。
聡美は僕の方へ歩いて来るといきなり頬を平手打ちした。
「どこ見てんのよ!」
聡美は僕を覚えてなかった。

その車、僕がプレゼントした事さえ忘れちゃったのか?聡美。




その20
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扉が開いた。
そこは1階のリビングのはずが寝室だった
窓から見ると間違いなく2階の寝室だ。
混乱しながら隣の部屋のドアを開けると外に立っていた。

そこへ工務店の社長がやってき来て言った。
「どうも、うっかり玄関と寝室の扉を取り違えた様です」
窓から中へ入ったその数秒後、裏庭で落下音がした。




その21
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扉が開いた。
恐怖の大王は遂にその時が来たのを思った。
1999年7の月、空から降りて来たもののタイマーの不調で扉が開かず、船ごと落下。
地上に降り立つ事が出来なかったのだ。
そして今長い年月の後、やっと扉は開いた。
恐怖の大王は勇んで船を出た。
だがそこは深い海底だった。

彼は泳げなかった。




1999年が何事もなく過ぎ去ってから、僕は予言なんてものは信じない事にしました。
2012?マヤ文明の予言?またまたー。
本を売って儲けようたってその手にはのらねーよ。

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by marinegumi | 2011-05-22 23:43 | ツィッター小説 | Comments(10)

心霊写真 (5枚)

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僕のアパートの下の道路を救急車が走って行った。
サイレンの音がだんだん遠ざかって行く。近くに止まるかどうかドアの前に立って聞き耳を立てた。止まればすぐに部屋を出て見に行こうというわけだ。
でもそのまま聞こえなくなるまで止まらなかった。
ノックの音と同時に扉が開き、そこに岩崎が立っていた。開いたとたんに目の前に僕の顔があったので、彼も僕もびっくりするやら気まずいやら。
「なんだ?出かけるのかよ」と岩崎が聞いた。
「いやちょっとね」
「ははーん。救急車だな。お前は子供の頃から救急車の音が聞こえるといつも、一緒に遊んでいても飛び出して行ってたよな。俺をほったらかしてさ」
「そんなんじゃ…」と言う僕をさえぎって部屋に上がり込みながら彼は言う。
「大学生になってもその癖は直りませんでしたってか?」
「お前、何しに来たんだよ?」
彼は冷蔵庫から勝手に缶コーヒーを出してベッドに腰掛けた。
「今日はさー、面白いものを持って来たんだぜ」
と言いながら岩崎は1枚の写真を取り出した。
受け取って見るとなんだか見覚えのある写真だった。
ある古ぼけた旅館の一室で撮影された写真で、そこには僕が映っていた。僕のほかに友人が二人。
その中には岩崎は映っていなかった。
それは去年の夏におんぼろ車で旅行をした時の写真だったのだ。
僕と仲のいい友人達5人で行く約束をしていたのだが、そのうちの一人、目の前にいる岩崎の都合が悪くなり、4人だけで出かけたのだ。
そのシャッターチャンス違いの写真は、撮影した友人から僕ももらっていた。
「これさ、荒木がお前にもやるよってさ、旅行に行けなかったからって仲間外れにしたくないからってくれたんだよな」
「で、これがなんで面白いんだ?」と僕。
「これさ、心霊写真だぜ」
「ま、まさか?」僕は友人の顔と写真を交互に見て、またじっくりと写真を確かめた。どこにも霊らしいものは映っていなかった。
心霊写真の定番の、人物の後ろの窓に映る人の顔も何の影も見えない。
三人の手の位置も確かめ、肩に乗っているありえない手などもないのも確かめた。
点いてないテレビの画面にもそれらしいものは見えなかった。
「これがなんで心霊写真なんだよ?」
「よく見てみろよ。ほら、この辺に…」と言いながら写真の僕の右肩の上あたりを指差した。
特に何も見えなかった。彼はとてもいたずら好きな奴なので、今度もまた何か企んで来たのかと思い始めた。
そしてふと僕にもいたずら心が起きた。
「あ、本当だ。僕の後ろに人の顔がうっすらと見えてる」と言いながら友人の方へ写真を差し出した。
「ほら、この血まみれの…」
と言いながら、写真を渡そうとしたその時。受け取ろうと手を差し出した岩崎の体が透けて見えていたのだ。そう思った次の瞬間には最初からいなかったかのように、気配さえ残さず消えてしまった。
受け取る者のいなくなった写真ははらりと床の上に落ちる。
そのとき、携帯が鳴った。
震える指で受話ボタンを押さえると、荒木だった。あの写真を撮ったやつだ。
荒木が伝える内容は聞く前に分かっていた気がした。
「おい、驚くなよ。岩崎が死んだぞ。1時間ほど前だ。交通事故だったそうだ」
僕は足元の写真を見ていた。
その写真の僕の右肩の上あたりに血まみれの岩崎の顔がうっすらと映っていた。



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おわり



この作品は矢菱虎犇さんの作品「心霊写真」を読んで、コメントしている時に思いついたものです。
矢菱虎犇作品のオチの別バージョンと言う感じなんですが、コメントにこういうオチを考えましたよと書きかけて、ちょっともったいなくなって(笑)作品にしました。
写真はネットで拾った写真を2枚合成したものです。
こういう物を作る手際がだんだん良くなって来ましたね。

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by marinegumi | 2011-05-20 22:41 | 掌編小説(新作) | Comments(8)
その16
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扉が開いた。
闇よりも暗いゲル状の物体が溢れ出した。
私はそれを指でつついてみた。
すると私の指先から腕から遂には体全体がその黒い物に変化した。
私は飲み込まれ、それの一部になり、やがて世界が私たちの一部になった。

遠くに見える明かりは開いた扉だ。
扉の向こうの男の子が指を出そうとしていた。




その17
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扉が開いた。

私はその空に浮く扉を少し前に見つけた。
小松左京の小説に「空飛ぶ窓」という作品があるがそれの扉版と言う訳だ。
長い梯子を登り恐る恐るノブを回す。
窓なら開く前に確かめられるのに。
心を決めて思いっきり引いた。

「うわ!」
向こうでノブを握っていたもう一人の私がこちら側に落下した。




その18
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扉が開いた。
会社員風の男の人が駆けて来る。
入って来て息を切らし「間に合った…」と言いながら汗をふき、部屋の中を見回した。
私たち天使を見てその人はたじろいだ。
目をこすっている。
私たちはちょっと怖くなり、一斉に飛んだ。
男の人は目を丸くした。

そうか「電車」と「天使屋」を間違えたんだね。




ただいま、「その35」ぐらいまで出来ています。
第2弾も50本目が見えて来ましたね。
合計100本書いて、これからどういう展開に持って行きましょうか?
少々飽きかけています(笑)

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by marinegumi | 2011-05-19 22:10 | ツィッター小説 | Comments(6)

街角の落し物 (8枚)

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街なかでよく見る光景がある。
それは道路のそばの電柱だったりガードレールだったり交通標識だったりする。
そんな所に、例えば冬ならマフラーとか、手袋が片方とか、かけてあるのを誰でも見た事があるのではないだろうか。
それはたぶん誰かの落とし物で、たまたま通りがかった人がとりあえず拾ってしまう。
交番へ届けるほどの物でもなく、持ち帰ってゴミとして処分するのもめんどくさい。
だが、それはまだきれいで、このまま放って置いて車に轢かれるままにするのももったいないような気がする。
そして、拾った人が同じ道を落とし主が探しに戻って来る事を想像し、見つけやすいように電柱の金具にかけたりした物なのだ。
「ちゃんと見つけてもらうんだぞ」と呟いたりする人もいたかも知れない。

ある日の事、あなたはとある町の歩道のない道路を歩きながら電柱の金具にかけてある帽子に目が行く。誰かの落とし物だなと思いながら、横目で見て通る。少し見覚えがある気もする。
しかしあなたは歩調を少しも変える事なく通り過ぎてしまう。

あくる日。同じ道を通ってあなたが仕事から帰って来ると、その電柱にはまだ帽子がかけられており、新しく紺色のマフラーが反対側にかかっているのだ。
その時は一瞬あなたは立ち止まってしまう。
そしてすぐに歩き出しながらやはり見覚えある気がするのを不思議に思う。
それから2~3日は変わった事は起こらない。ただ電柱には相変わらず帽子とマフラーが寂しげに引掛けられていて、風に少し揺れたりするのだ。

その落とし物たちが気にならなくなった頃に、あなたはまた新しい落とし物が増えているのを見つける。
今度は靴だった。なぜかちゃんと二つ揃っていて、それはたぶん拾った人がした事だろう左右の靴ひもが結ばれ、それが電柱にかけてある。
今度はあなたは立ち止まり、じっくりと観察する。
見覚えがあるような気がするのは、やはり思い過ごしだと思うし、それが自分の物だとは全く考えられない。
帽子は真っ赤なニット帽でリボンが付いていた。マフラーは紺色で飾り気のない男物。靴は小学生の男の子が履きそうなヒーローの絵のついたスニーカー。持ち主の顔を想像しても、それぞれ品物によって違う。でも何か共通する物をあなたは感じる。その感じがあなたに見覚えがあるような気持ちを抱かせているのかもしれない。

あくる日にも新しい落とし物をあなたは見つける。いや、すでに誰かによって見つけられた落とし物が展示されているのを見つける。
それはバッグだった。ベージュ色のショルダーバッグだ。
多分中には大した物が入っていなかったはずだ。現金でも入っていれば、拾い主は交番へ届けたはずだから。
さりげなくバッグを開き、中を確認するとハンカチらしい物が見えただけだった。
あなたは誰も持ち主の現れないそんな落とし物たちに少し寂しさを感じながら通り過ぎる。

数日が過ぎ、仕事帰りのあなたはまた同じ道のりを歩いている。
今日はいつもと何かが違っていた。
電車をいつもの駅で降りた頃から、その思いは大きくなって行った。
そして、あの落とし物がたくさんぶら下がっている電柱が見えてくる頃にあなたは歩きながら気が遠くなり、そのまま道に倒れてしまう。
いわゆる心不全だった。
「その人」があなたを見つけた時にはあなたはもう死んでいたのだ。そうでなければ「その人」は救急車を呼んだに違いない。
「その人」はあなたが完全に死んでいるのを確かめると、走って来る車に轢かれないようにずるずると引きずり、電柱までやってくる。そして電信柱を眺めて少し考えると、そこにかけてある物をみんな外した。
そしてあなたの服の後ろの襟を電柱の金具に引っ掛ける。あなたは一度電柱の周りを半周ほどぐるんと回って、すぐに落ち着く。
「その人」はそれまでに自分が拾って電柱にかけておいた物を一つ一つあなたに着せ始める。
あなたは帽子をかぶっていなかったので、ちょうど帽子は頭に。
もう暖かかったので、マフラーをしてなかったあなたの首にマフラーが。
バッグも何も持っていなかったあなたの肩に斜めにショルダーバッグが掛けられた。
そして、靴を履いていなかったあなたの足に、ちょっと窮屈なスニーカーが何とか収まった。
「その人」はちょっと不思議に思っている。
なんでこの人は靴を履いてなかったんだろうかと。

あなたは電柱にぶら下がり死んでいる。
あなたは気が付いているのかも知れない。あなたもこの街の落とし物なんだと。誰も探しに来てくれない寂しい落とし物の一つになってしまったと。
それだからあなたは同じ落とし物たちに親しみを感じていたんだと。

落とし物たちを拾って誰かが探しに来てくれる時のために電柱にかけておいてくれる優しい「その人」は、しばらくあなたを見ていたが、やがて歩き出す。
その歩いて行く道の、次の電柱にも少し落とし物がかけられている。そしてそのまた向こうの電柱にも。
でもあなたにはそれがもう見えなかった。




おわり



常になんか、変わったものを書いてみたいと思っています。
変わったというか、奇妙な発想の作品ね。
これはどうでしょうかその辺、成功してるかなあ。

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by marinegumi | 2011-05-14 23:48 | 掌編小説(新作) | Comments(15)
その13
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扉が開いた。
僕が開けと思うとそれは開く。

男が死んだ。
僕が死なせようと思えばどんなに強い男だって死ぬ事になる。

世界が滅びる。
僕がそういう物語を作れば世界さえ滅びるのだ。

君が泣いた。
君が僕から去って行った。
もう二度と会えなかった。
僕の中の君の思い出は、どうにも書き変えようがなかった。




その14
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扉が開いた。
その扉の向こうにも扉があった。
開くと更にもう一つの扉が現れた。
更にもう一つ。
更に…。

意地になって扉を開け続けた。
次第に開ける手際が良くなり、調子に乗って開け続けた。
次の扉を開けた勢いで扉の向こうに落下した。
底なしの奈落だ。

もう扉が無限に続くような気がして来た所だった。




その15
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扉が開いた。
開くはずのない扉だった。
僕が部屋の天井に冗談で取り付けたベニヤ板にドアノブを付けただけの偽物の扉だ。
それがなぜか今、開いている。
僕は理解していた。
このどうしようもない世界から逃げ出す時が来たんだと。
ここは僕のいる世界ではないんだと。

一瞬ためらった。
もう扉は閉じていた。




さてさて、この時点で在庫は15本ぐらいかな?
と言う事は「その30」までだね。

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by marinegumi | 2011-05-13 23:27 | ツィッター小説 | Comments(6)
その10
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扉が開いた。
青空に最初はごく細い黒い線が現れたと思うと、みるみる広がり、長さ数百メートル、幅が数十メートル程の星空になった。
亜空間扉が開き、恒星間宇宙船の船首が現れた。
しかし通り抜けるにはスピードが遅すぎた。
エンジンの不調だろうか。

扉は閉じながら宇宙船を地球と外宇宙に切り分けた。




その11
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扉が開いた。
青ざめた妻が立っていた。
「どうした?」
妻は横を見た。
「誰か来てるのか?」と聞くと扉を閉めて入って来た。
「いつもの薬飲んだの?」
「忘れてて今飲む所だよ」
コップの水で持病の薬を飲んだ。
妻が止めようとした。

薄れゆく意識の中で理解した。
今死んだらアリバイが成立しないんだなと。




その12
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扉が開いた。
タイムマシンの外には20年過去の私の家があった。
多くの貴重な書物が火事で失われる前の我が家。
鍵を開けて入ろうとすると体がつかえた。
横にならないと入れなかった。
「そうか、宇宙が膨張しているという事は物質その物も膨張しているんだ!」

助手が言った。
「博士が太っただけでしょ」




昨日ツイッター小説が100本に達しましたが、この「扉が開いた その12」が90本目になります。
書いた順番通りにアップして行きますよ。

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by marinegumi | 2011-05-09 23:33 | ツィッター小説 | Comments(10)
その7
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扉が開いた。
私はノブを回しただけだったけど、扉は内側から強い力で押されていたので勢いよく開いた。
中から光の塊が飛び出し、空へと昇って行く。
それを見ながら私は森の中を走った。

走り続け、もう一つのドアを見つけた。
ノブを回すと、その扉からも光が勢いよく伸びて空高くで繋がり、虹を作った。




その8
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扉が開いた。
幼い頃、初めて手に入れた絵本の中の古い洋館が好きだった。
ずっと大事にしていた絵本だ。
久しぶりに開いてみて思い出した。
その家の扉が見るたびに少しづつ開いていたのを、幼い私は不思議に思ってなかった。
今見ると扉は完全に開いていた。

私の死神が出て来たのだとベッドの上で悟った。




その9
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扉が開いた。
それは冬を過ごしている私達とは季節が反対の、時間を超えた夏への扉だった。
扉はかなり標高の高い場所に開いたらしく気圧の差のために激しい突風が生じ、それによって扉が破壊されて吹き飛んでしまった。
閉じる事が出来なくなったわけだ。

地球には壊滅的な異常気象がやがて起きるだろう。




「その8」は掌編小説絵本の扉のもとになった物です。
このついのべを書いたその日に「絵本の扉」を書いて、先にブログにアップしました。

ところで、ついさっきツイッターで書いたツイッター小説が記念すべき100本目でした。
「死神にあと5分で死ぬと告げられた」「私は電話を待っていた」「扉が開いた」と、それ以前の単発物も入れてです。

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by marinegumi | 2011-05-07 22:22 | ツィッター小説 | Comments(6)
その4
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扉が開いた。
教室の生徒の目が一斉に向いた。
入って来たのは北京原人だった。
教室は世界史の時間で、今まさに北京原人の所を勉強をしていた。
人の多さに一瞬うろたえた北京原人は気を取り直すと教壇に立っていた女性教師をこん棒で殴り、扉の向こうに連れ去った。

間もなく教科書の内容が変わり始めた。




その5
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扉が開いた。
僕はその古い洋館の高い塀に隙間を見つけ入り込んだ。
そして荒れ果ててはいたが、その庭の立派さに言葉を失っていた。
ポーチの石段に腰かけ、静かな庭を眺めていた。

その時僕の後ろで扉が開く音がした。
振り向けなかった。
扉から全ての悪い物が姿を現す所を想像しながら待つ他はなかった。




その6
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扉が開いた。僕の背中で。
誕生日も間もなく日付けが変わる。
僕は僕ではない何かを受け入れ、僕だった物を少しづつ捨て去りながら生きて来た。

12時の時報と共に僕の背中にある開いた扉から誰かが入って来た。
そいつは強引に僕を追い出そうとした。
すっかり入れ替わるために。

悲鳴を上げる暇もなかった。




「扉が開いた」は、自分ではだんだん調子が上がってきてるように思いますね。
その1からその6までぐらいはちょっと肩慣らしかな。

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by marinegumi | 2011-05-05 22:11 | ツィッター小説 | Comments(8)
その1
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扉が開いた。
向こうから爽やかな涼しい風が吹いて来た。
気の遠くなるほどに暑い夏の太陽の下に囚われた彼の前にその扉は開いたのだ。
秋の海と青空が見えた。
彼の幼い頃の遠い思い出の風景に違いなかった。

その扉からはバックドラフトの炎が躍り出た。
炎の渦巻く火災現場で消防士が見た一瞬の幻だった。




その2
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扉が開いた。
わずかに数センチほど。
開いてしばらくの間は何も起こらなかった。
その扉のすき間から不吉な深い暗闇が見えた。
そして、私の目の前にあると思っていたその扉が実は遥か下にあるのに気がついた。
私は階段のそばに倒れて下を見ていたのだ。

船底のその裂け目から夜の海の水が押し寄せて来た。




その3
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扉が開いた。
ちゃんと閉じていなかったらしく、音もなく開いたので風を感じて初めて気がついた。
私は描きかけの漫画の原稿を置いて扉を閉めに席を立った。
その音に驚いた愛犬が水の容器をひっくり返す。
やれやれ…と思いながら扉に手をかけたその時だった。
突風が吹き込み、原稿が水にぬれた床の上へ…



「同じ書き出しによるツイッター小説連作 第二弾」の書き出しの文章が「扉が開いた」に決定しました。
「そして扉が開いた」に決まりかけて、何本か書いたんですが、中にはなんで「そして」なんや?と思う作品もあったので、単純に「扉が開いた」にしました。

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by marinegumi | 2011-05-04 22:09 | ツィッター小説 | Comments(4)