まりん組・図書係 marinegumi.exblog.jp

海野久実が掌編小説やら短編小説を書いています。タイトルの後に原稿用紙換算の(枚数)があるのが小説です。


by marinegumi
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万華鏡 (2枚)

画像は仙台万華鏡美術館ホームページからいただきました。
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万華鏡を作った。
ボール紙を筒にして、その中に三枚の細長い鏡を三角形に組み合わせて入れる。
片方は丸い小さな穴が開いた蓋をする。
もう片方には三角に切った透明なガラスをはめ込み、おなじ形のすりガラスを隙間を開けて取り付ける。
その透明なガラスとすりガラスの間に入れるのは君の写真だ。
君の全身が写った写真を2枚。
一枚は高校の制服姿。
もう一枚はワンピースの水着姿。
それを君の形のままに切り抜いて、少し眺めて、それから。
ハサミを入れてバラバラにする。
頭、手、腕やふともも、足の先から脛や胸から何から、なるべく小さな部品にしちゃう。
それを透明なガラスとすりガラスの間に入れて、ガラスをボンドでくっつける。
ボール紙の筒には赤い血の色の色紙(いろがみ)を張って出来上がりだ。
明るい窓の方へ向けて僕はその万華鏡を覗きこむ。
くるくると回すと、君の体の部品が色んな模様を作るんだ。
たくさんの君の手足が、頭が体が、くっついたり離れたり。
いろんな化け物に姿を変える。
笑っているけど、手が4本。
まじめな顔の頭から手が生えていたり。
足の作る六角形の中に顔があったりさ。
化け物だけど可愛い君。
そしてたまにちゃんとした人間の姿になる事もある。
おもしろいよ。
楽しいよ。
君にも見せてあげようか。

机の上に目を開けたままの君の頭がある。
さあ、覗いてごらん。
血の色をした万華鏡。



おわり



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by marinegumi | 2013-06-28 00:36 | 掌編小説(新作) | Comments(8)
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角川ツイッター小説の「どこまでも遥香」がついに300ツイートを超えました。
現在327ツイートです。
これを文字数だけで原稿用紙に換算すると82枚ですが、これは改行なしで詰め込んだ場合ですので、ちゃんと書きなおせば400字詰め原稿用紙では90枚ぐらいにはなるかもしれませんね。
もちろん今まで書いた一番長い作品です。
もう少し続きますから100枚越えは確実です。

どこまでも遥香

この作品は出来上がったものを分割してツイートしているわけではなく、考えたその場でどんどん
アップしているので、色んなところがバランスの悪い作品になっていますね。
最初に書いた所はこうした方がいいとか、あ、これでは矛盾が出て来てしまったとか、いろいろあります。
でもまあ基本的に結構面白い話にはなっている気がしますね。
ちゃんと書きなおせば初めての長編小説と言う事になるかもしれません。

まあ、この作品は主人公が自分の行動をスマホでツイートして行くのがそのまま物語になっていくと言う体なので、そのバランスの悪さもまた作品の趣旨ではあるんですよね。

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by marinegumi | 2013-06-25 00:29 | ツィッター小説 | Comments(0)
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グレーテルは魔女を後ろから思いきり突きとばしました。
火のついたかまどに転げ落ちた魔女は雷のような悲鳴を上げると、そのまま焼け死んでしまったのです。


グレーテルはヘンゼルが入れられている鳥かごのカギを開けました。
「ありがとう、グレーテル。さあ、早くお家に帰ろう」
「でもどうやって帰るの?お家がどっちにあるのかもわからないし」
「大丈夫だよ。何日かかっても、きっと帰ることが出来るさ。食べ物はいっぱいあるからね」
ヘンゼルはお菓子の家をゆび指しました。
グレーテルは魔女のお菓子の家の壁を細かく壊して袋に詰め込みます。
ヘンゼルは部屋の中を調べました。
薬草の束や瓶に入った粉や毒薬らしい物。
使い道の判らない色んな道具もありました。
その中からひとつだけ選んでポケットに入れました。

ヘンゼルとグレーテルは森を歩き続けました。
お腹が減ると袋の中のお菓子を少しずつ食べ、何日も何日もかけて歩き、やっと自分たちの家にたどり着いたのです。
お菓子がなければ、間違いなく森で飢え死にしていたことでしょう。

家のドアを開けるとやせ細ったお父さんとお母さんが大喜びで二人を迎えました。
「あれからお前たち二人のことが心配で、パンものどを通らなかったんだよ」とお父さんが言います。
「と言っても、もうパンも残ってないんだけどね」と、お母さん。
その夜は家族四人でヘンゼルとグレーテルが持って帰ったお菓子の残りを食べました。
するともう食べ物が何もないのです。
その夜、お父さんとお母さんは、またまたヘンゼルとグレーテルを森に置き去りにする相談をしました。
困ったことに他にいい考えがどうしても二人には浮かばなかったのです。
それを隣の部屋で聞きながらヘンゼルは考えました。
魔女の家にはお金になりそうな物が何もなかったのが不思議だったのです。
魔女なら何か宝物を持っているはずです。
どこか見つけにくい場所に隠していたのかもしれないと気がついたのです。

あくる日、ヘンゼルはお父さんとお母さんが二人を森に連れて行こうとする前に自分から言いました。
「僕たちはもう一度森へ行きます」
「そ、そうかい?お前たち、森へ行ってどうするつもりなんだ?」
三度も二人を森に置き去りにする事しか考えられない両親のあまりの知恵のなさにいやけがさしていた二人は適当な返事をして森へと出かけました。

森の奥深くの魔女の家はどこにあるのでしょう?帰って来るときも散々歩き回り、何日もかかったと言うのに、再びたどり着けるのでしょうか?

ヘンゼルは森の入り口を少し入った所で小鳥の死骸を見つけました。
「ほら、ここに小鳥が死んでるだろ?」
その死骸を拾うと、持って来た袋の中に入れました。
少し歩くと、また別の小鳥の死骸がありました。
それも袋の中へ入れます。

そうなのです。ヘンゼルは魔女の家から帰るときにポケットに入れた毒薬に、お菓子のかけらを浸し、落としながら帰って来たのでした。
その毒入りお菓子を食べた小鳥たちの死骸が道案内をしてくれていると言う訳です。
いつかパンくずを小鳥に食べられてしまい目印を失った事を思うと、ヘンゼルは、してやったりという気持ちになりました。
家に帰って来るときに迷いながら歩いた道をもう一度通るので、また何日もかかるのは覚悟の上です。
次々に死んでいる小鳥たちを拾い、おなかが減るとそれを焼いて食べ、残った骨を帰る時の目印に地面に突き刺しながら歩きました。
ヘンゼルは毒薬のラベルに「小動物用 人体無害」と書かれていたのをちゃんと覚えていました。

数日後、二人は魔女の住んでいたお菓子の家に戻って来ました。
そして家を壊し、そのお菓子を食べながら、まる一日かけて魔女の宝物を探しました。
見つかったのは床下でした。
絨毯の下に、見ただけではわからない隠し扉があったのです。
そこから宝石や金貨や銀貨がたくさん入った箱が出て来ました。

宝箱を持ち、さらにお菓子の家を壊して袋に詰め込み、二人はわが家を目指しました。
振り返るとお菓子の家はもう見る影もありません。
屋根も壁もほとんどなくなり、魔女が焼け死んだかまどが見えていました。

「さあグレーテル。この宝物があればこれから僕たち二人だけで暮らしてもいいと思うんだけれど、どうする?」
「わたしは家族四人一緒に暮らしたいわ」
「お前は優しい子だね。じゃあ、お家に帰る事にしようか?」

二人は小鳥の骨を目印に歩き出しました。




おしまい



公募ガイド第16回小説の虎の穴(課題:終わったところから始まる物語)に投稿していた作品です。
今回は没に終わりました。

お友達のりんさんの『慕情(その後のかぐや姫)』は没だったそうです。
同じく、かよ湖さんの『童話「うさぎとたぬき」(カチカチ山 後日談)』は佳作。

最近、ツイッターでフォローしていただいた村上あつ子さんの『 幸福 』が入選と言う事です。
おめでとうございました。

佳作作品一覧はこちらから読めます。
入選作品はネットでは読めません。
『公募ガイド7月号』を買って読んでください(笑)


 
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by marinegumi | 2013-06-10 20:25 | 掌編小説(新作) | Comments(7)
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応募していた「ツイッター小説大賞」でノミネートされていた僕の作品が優秀賞をいただきました。
応募総数2.383編。
ノミネートは128編でした。
発表ページ
ベスト6に入ったということになりますね。
今回は賞金があるのが何よりもうれしいですが(笑)いやいや、たぶん紙の本になって出版されるらしいのでその方がよりうれしいことです。

この作品を掌編小説にしたものがあります

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by marinegumi | 2013-06-09 12:39 | ツィッター小説 | Comments(8)

子猫救出作戦 (6枚)

わたしとダンシリーズ 3

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わたしはカノン。
船の事故で歩けなくなってから、パパが買ってくれた要人警護用のロボットと一緒に暮らしている。
わたしはそのロボットに「ダン」と言う名前を付けた。
パパは仕事で、ママは趣味でいつも忙しくて、殆ど私の事はほったらかし。
ダンに任せておけば安心だと思っているんだから。
しばらく休んでいた学校にまた行くようになって数カ月が過ぎた。


学校からの帰り道。
わたしはいつものようにダンにお姫様抱っこされている。
10ブロック程歩いた所の車の行き交う十字路を、一匹の子猫が走り抜けるのが見えた。
わたしは思わず「危ない!」と叫んでいた。
何とか車に轢かれることなく歩道にたどり着いたと思うと、更に橋の方へ走り続けた。
わたしとダンは後を追いかける。
橋の上も交通量が多いんだ。
見ていると子猫は、なんと橋の手すりの外側のわずかなスペースを歩き出した。
歩いて行く先の方はさらに狭くなる。
そして、子猫は気が付いた。
体をひねってUターンが出来ないと言うことに。
立ち止まってあたりを見回している。
橋の向こう端ははるか何百メートルも先で、さらに狭くなっている。
もうそれ以上進めないようだ。
私たちは子猫のいる場所まで走り、手すりから下を覗き込んだ。
ダンは私を橋の上に降ろして手すりに掴まらせてくれると、子猫に長い腕を差し出す。
猫はダンの姿に驚いてじりじり後ずさりをして、後ろ足を踏み外し、落ちそうになった。
橋の下は川だけれど、それまでに橋の構造物がいくつも張り出している。
もしも落ちて加速度が付いてぶつかるといくら身の軽い猫でも助からないだろう。
奇跡的にどこかに引っ掛ればいいのだけれどそれはたぶん望めない。
橋は鋼鉄製なので爪が立たないと思う。
ダンではだめだ。
そう思った私はダンに私の服のベルトを持たせた。
そのまま体が横になった状態で猫の方へ降ろしてもらった。
あまりの高さに背筋が冷たくなった。
頭の中で自分と子猫が落ちて行く映像がフラッシュバックした。
でもダンは絶対私を落としたりはしないと思い直すと落ち着いた。
「さあ、いらっしゃい。猫ちゃん」
私は子猫に呼びかけた。
出来るだけ優しく話しかけた。
「うちにも猫ちゃんがいるのよ。名前はカノン。私と同じ名前のね」
すると子猫はまるで透明な紐が付いてでもいるように歩き寄って来て私の手の中に納まった。
橋の上に引き上げられて一安心すると子猫の小さな体がひどく震えているのに気が付いた。
「もう大丈夫よ。私のおうちに来る?」
子猫の耳元で囁くといくぶんその震えが治まったような気がした。

その時、一台の車がすぐそばに停まった。
中から出て来たのはわたしと同い年ぐらいの女の子だった。
運転席にいるのは、その母親のようだ。
「お前は本当に、しょうがない猫ね。何で逃げちゃうわけ?」
女の子はそう言いながらわたしの方へ近づいて来た。
ブランド物の子供服を着た、可愛いけれどちょっと生意気そうに見える女の子だ。
「捕まえてくれてありがと」
女の子はそう言うとわたしから子猫をひったくるようにして自分で抱え、車から降りて来る母親を振り返って言った。
「ママ~もういやだわ、こんな猫。ロボット猫に買い替えてもいい?」
頭にきた私はダンに抱っこされたまま、その子に近づいた。
「何、かわいそうなこと言ってるの?」
わたしはそう言いながら、女の子の顔を思いっきりぶってやった。
女の子は頬を手で押さえて、きょとんとしている。
「一度飼い始めたんだったら最後までちゃんと面倒見てやんなさいよ!その子は生きてるんだからね!」
わたしはそう言いながら、涙が溢れるのを止められなかった。
女の子は母親に駆け寄った。
わたしとダンの方を見て二人で何かを話している。
母親が近づいてきた。
「あなたたちカノンさんとロボットのダンですね」
と彼女は言った。
「ええ、そうですけど」
「あの子がテレビで見て、すっかりあなたたちのファンになったんですよ」
「わたし達の?!」
「ええ。ロボットと美少女探偵コンビのね。あなた達がそうだって、ぶたれてから気がついたんですよ。あの子、何て言ってたと思います?あなたにぶたれて」
「怒ってらっしゃる?」
「いえいえ、ますますファンになったって。『かっこいいわ!』何て言ってね」
わたしは呆れて、その女の子に手を振ってあげた。
「恥ずかしがらずにこちらへいらっしゃい」
と、母親は女の子を呼んだ。
「さ、お友達になっていただきなさいな」
女の子はおずおずと手を差し出した。
わたしはその手を握り返す。
「私はカノンよ。よろしく」
「私は花蓮(カレン)て言うの。ペケを大事にするわね」
ペケ。
それがその子猫の名前だった。




おわり




事故で足の不自由な少女カノンと要人警護用ロボットダンの物語の第三弾です。
この作品の元になったのはツイッターで毎日のように書いている物です。
この作品中に「ロボットと美少女探偵コンビ」と言う言葉が出てきますが、これはツイッターで書いたエピソードに、二人が殺人事件を解決したり爆弾テロから人々を救ったりと言うエピソードがあるからです。
二人はテレビのニュースで取り上げられたりして、ちょっと有名になっています。

このシリーズは何しろ毎日のように書いているので、どんどんエピソードが貯まっていますよ。
ちゃんと全部この作品の様に書き直せば単行本2~3冊ぐらいになるかもしれませんね。

わたしとダンシリーズ 1  わたしのロボットたち

わたしとダンシリーズ 2  猫のカノン

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by marinegumi | 2013-06-05 21:48 | 掌編小説(新作) | Comments(0)