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赤と青 (2枚)

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その朝はいつもと違っていた。
カーテンの隙間から差し込む光がなぜか赤っぽい。
窓を開けて見る景色もすべてが赤みがかって見えているのだ。
目がおかしくなったのかと思ってこすってみた。
しばらく閉じてもう一度外を見た。
何も変わっていない。
その見なれた街の風景は赤っぽいだけではなくどこか平板だった。
妙に立体感がないのだ。
行き交う人々も車も薄っぺらく見える。
町の家々やビルにしてもベニヤ板に描いた書割のようだ。
遠くに見える山影や空を流れる雲までも建物や人々と同じ画面に描かれたように見えている。
そしてすべて赤みがかっているのだった。
ふと、はるか上空を見上げるとそこには巨大な星が浮かんでいた。
それは地球のように見えた。
その地球は青かった。
いや普通に「青い地球」と言う時の青さではなく、全体がコバルトブルーなのだ。

あ、そうなんだ。
私はその時、気が付いた。
あの地球と、この地球とはいつも二重に、しかし少しずれて存在していたんだと。
赤と青が重なって存在していたのでこの世界は立体的に見えていたんだと。
青い地球は次第に小さくなって行く。
二つの地球はお互いに、ものすごいスピードで遠ざかっているのだった。



おわり



うーん、なんだか最近突然、あまり小説を書く気がしなくなったんですよね。
ツイッター小説も毎日書いていたのが、ふと、途切れたり。
月末締切りの応募原稿の20枚の短編も手がついていないし。
こういう状態はいつも突然にやって来ます。
なわけで、リハビリがてらこうやって、無理やりにでも一つ書いてみたりするわけです。

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by marinegumi | 2014-01-25 12:22 | 掌編小説(新作) | Comments(4)

冬のアリス (4枚)

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その朝は目が覚めると一面の雪景色でした。
アリスは食事もそこそこに暖かいファーのついた真っ白のコートを着て、耳あてをして家を飛び出します。
お姉さまにスキーを教えてもらうことにしたのです。
雪はまだ少ししか積もっていなかったのですが、川べりの土手の上からなので結構よく滑ることが出来ました。

アリスは何度も転ぶし、お姉さまは笑い転げるしで、いい加減いやになって来ていました。
お姉さまはとてもスキーが上手です。
そろそろアリスに教えるのも飽きて来たのか、自分一人で何度も滑っています。
アリスはスキーを履いたまま腕組みをしてしばらくそれを眺めていました。
朝はまだちらちらしていた雪も降り止み、空は晴れ、太陽が顔を出して暖かい日の光が差しています。
「これじゃあすぐに雪は解けちゃうわね」
アリスがそうつぶやいた時、一匹のウサギが通りかかりました。
真っ白な毛並みの、赤い目をしたウサギですが、驚いたことに服を着ているではありませんか。
ちゃんとしたタキシードにズボン、手にはステッキまで持っています。
そしてなんと人間の言葉をしゃべったのです。
「ああ、もう時間がない。急げや急げ」
言いながらウサギは内ポケットから懐中時計を出してそれを見ました。
「たいへんだ。なんてこったい。これじゃあ、間に合わないぞ」
そしてものすごいスピードで走り出したのです。
アリスは思わずスキーで追いかけました。
それこそ自分がスキーでうまく滑れているのにも気が付かないぐらい夢中でした。

ウサギは森の中へと入って行きます。
お母様に一人で入ってはいけないと言われていたのですが、ウサギを追いかけるのに一生懸命で、すっかりそんなことは忘れていたのです。
森の中入ると間もなく雪がなくなりました。
うっそうと茂る木々の枝に雪が降り積もっていますが、地面までは少ししか落ちてこなかったようです。
滑っているうちは追いつきそうだったのに、スキーを脱いで歩き出すと、みるみるウサギは遠く小さくなって行くではありませんか。
アリスは懸命に追いかけました。

ウサギを見失い、それでも見当を付けてしばらく歩いて行くと、懐中時計が落ちていました。
あのウサギが持っていた物に間違いありません。
そしてまたしばらく歩き続けると今度はステッキが落ちていました。
そしてまたしばらく歩き続けると次にはタキシードの上着が落ちていました。
拾い上げてみるとなんだか少し濡れているのでした。
そしてまた歩き続けるとさらに今度はズボンが落ちていました。
またしばらく歩いて行くとやがて、大きな木の根っこの部分に空いた穴が見えてきました。
「どうやらウサギはあの穴の中に入ったようね?」
アリスはそう思いながら近づいて行きました。
穴をのぞいても何の音も聞こえません。
「ウサギがこの穴の中を走っているとすれば足音が聞こえないはずはないわよね。ほら穴って音がハンキョウするって言うから」
アリスはそう声に出して言ってみて、覚えたての「反響」と言う言葉を使ったことが少々誇らしく思えました。
「穴に入ったのじゃないとすると……」
アリスは自分が走って来た方を振り返りました。
すると、そこには小さな水たまりがあったのです。
その水たまりの中に何か赤い小さなものが二つ落ちています。
拾い上げるとそれはナンテンの実でした。
アリスはそれを手のひらに載せてじっくりと見ました。
そして思い出したのです。
今朝、自分の家の庭にあるナンテンの実を採ったことを。
その実を二つの目にして雪ウサギを作ったことを。

「そうなのね。溶けちゃわないうちにこの穴の中に入りたかったのね」



おわり



ひさびさの暇な日曜日。
仕事中にもかかわらず、2本も書いて画像を用意してアップすることが出来ました。
これも、元はツイッター小説です。

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by marinegumi | 2014-01-12 15:13 | 掌編小説(新作) | Comments(4)

お年玉 (2枚)

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まだ1月も半ばだと言うのに生活費が心細くなってきた。
ちょっと贅沢しちゃったかもしれない。
一月は毎年そうなんだけど、判っていながらつい使いすぎてしまう。

引き出しを開けるとそこには、お年玉のぽち袋の束が入っている。
輪ゴムを外して広げると、表にそれぞれ名前が書いてある。
ともかちゃん。しげるくん。りょうすけくん。しずかちゃん。けんたくん。りょういちくん。
それぞれの親戚の子供たちの笑顔が浮かんでくる。
しずかちゃんのぽち袋を取り、あとは再び輪ゴムをして引き出しにしまった。
裏返して見ると、しずかちゃんへのお年玉は五千円だった。
他のぽち袋にもちゃんとお金が入っている。
子供たちそれぞれの年齢に合った金額が。
お金を取り出して財布に入れるとぽち袋はごみ箱に捨てる。
「ごめんね子供たち」

私は毎年子供たちにあげるお年玉を用意する。
そして、どこにも年始のあいさつには行かず、あげたつもりで引き出しにしまっておくのだ。
もし、顔を合わせる事があればちゃんとあげるつもりではいる。

あと半月は何とかこれでしのげるかな。
私はもう一度小さく声に出して言った。
「ごめんね子供たち」




おわり




なんでこんなの書いちゃったんでしょう?(笑)
なんていう感じのお話です。
ツイッターで短い小説を書いていると、自分でも思わない、ふだんなら小説にしようとは思わないアイデアが出てきたりします。
気軽に書けるからでしょうね。

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by marinegumi | 2014-01-12 11:38 | 掌編小説(新作) | Comments(4)

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え~毎度ばかばかしいお話ばかりで恐縮でございますが、あれですよね。
今年はなぜかUMA年だと言う事らしいですな。
UMA(ウーマ)と言えばそう、ご存じない方もいらっしゃるかもわかりませんがいわゆる未確認生物と言うやつですな。
未確認飛行物体のUFO、アンアイデンティファイド・フライング・オブジェクトでしたかな。
それに対して未確認生物がUMAと言われております。
アンアイデンティファイド・ミステリアス・アニマルと言うらしいのですが、ま、これは日本で出来た略称だと言う事です。
UFOと違って日本でしか通じないとか。
日本でしか通じないと言う事ならば今年が午年と言うのもそうかもしれません。
あ、外人さんがいてはる。
「アナタワカリマスカ?コトシハ午年デンネン」
「ウマドシ?」
「ソウソウ。イヤーオブホースネ」
「オー、アイアンダスタンド」
どうやら外人さんは水道につなぐホースが発明された何十周年かの記念の年だと誤解してるようでんな。
さて、新年の街を歩いていますと、何と人ごみの中に雪男らしい姿が。
これぞ正真正銘のUMA。
道頓堀川の橋の上から見下ろせばそこには恐竜らしい生物が泳いでま。
それを見た人が早速「ドッシー」なんちゅうニックネームをつけます。
そして更に大阪の街中には誰も見た事なないような動物たちがあふれる訳でんな。
なるほどさすが今年はUMA年と感心していると、その中にひときわ速く走る動物がおります。
たてがみをなびかせて、アスファルトに蹄の音も高らかに御堂筋を疾走するそのUMAは、ちゃんと確認すればただの「馬」でした。




おわり




はい。
お察しの様に、馬のネタで落語らしくでっちあげてみました。

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by marinegumi | 2014-01-01 18:44 | 落語 | Comments(6)