桃太郎

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おばあさんは八百屋さんで六個入りパックの桃を二パック買ってきました。
ゲートボールから帰って来たおじいさんと、二人で一緒に食べようと思い、切ってみてびっくり。
なんと中から小さな男の子が生まれたのです。
「おお、これは可愛い男の子じゃ」
おじいさんとおばあさんは大喜びしました。
「この子は桃太郎と名付けて大事に育てようじゃないか」
「そうですね、おじいさん。私たちに子供は出来ませんでしたからね」
二つ目の桃を切ってみると、これもまた同じ様に男の子が生まれました。
「なんとまあ、二人も生まれおったか。まあいい、お前の名前は桃二郎だぞ」
三つ目は桃三郎。
四つ目は桃四郎。
五つ目は桃五郎。
そしてなんと六つ目の桃からは男の子と女の子の双子が生まれたのです。

さすがにうんざりしたおばあさんは、まだ開けてなかった二つ目の桃のパックを八百屋さんに返品に行きましたとさ。





ねずみの嫁入り

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「ねえ、お父さん。そろそろうちの娘にもお婿さんを見つけなくてはいけませんね」
「そうだなあ。うちの子は世界一器量よしだから、世界一賢い男と結婚させたいものじゃの」
「世界で一番賢いと言えばあなた、大学に行ってるネズミがいると聞きましたよ」
「よし!わたしが今から、そのネズミに会いに行って来る」

「おお。ここが早稲田大学理工学部と言うところか。おや?あそこにネズミがいるぞ。なるほど。なかなか毛並みのいい賢そうなネズミではないか!」
「あなたはどなたですか?」
「私は私の娘を世界で一番賢いネズミと結婚させようと思っているのです。大学に行っているネズミさんなら賢いだろうと思ってね」
「こんな所に来ちゃだめですよ。ああ~!ほら、捕まっちゃった」

「なんだ?薄汚いマウスだな。どのケージから逃げ出したんだ?」





ピノキオ

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「ぼくは頭がいいんだぞ。ケンブリッジ大学を首席で卒業したし。ノーベル賞候補と言われてるしね。女の子にもモテモテさ。毎日4~5人はふってるかな。研究成果の特許料でお金には不自由しないぜ。五つの銀行に、分けて預けてある預金はたぶん15億円ぐらいかな?あとはもう寝てても自然とお金が入って来る。ゼベット爺さん?ああ。あの人は僕のマネージャーさ。月給100万円で雇ってやってるんだぜ」
地面に突き刺したピノキオの鼻はどんどん伸びて行き、彼の体を空高くどこまでも押し上げて行きました。
そしてとうとう雲の上にまで伸びたのです。
そこには大きなお城がありました。
ピノキオはジャックから聞いて知っていました。
そこに住む大男は宝物をたくさん隠し持っていると言う事を。
「さて、これで大男の倉庫からお宝をいただいて帰れるぞ。うひひ」
しかしピノキオは鼻があまりに伸びすぎて身動きがとれません。
彼の鼻の先はまだ、雲のはるか下の地面に突き刺さっていたのです。
「さあ、今からホントのことをたくさん言って鼻を縮めなくちゃな。う~んと」
嘘を言いすぎたピノキオはホントの事を思いつきません。

必死で考えるピノキオには、せまり来る大男の足音が聞こえませんでした。




おわり



この作品は、りんさんのブログ「りんのショートストーリー」の作品「おとぎ話(笑)10 [名作パロディー]」を読んで触発されてコメント欄に同じお題で書いたものです。
元の形に少々手を入れています。
いやいや楽しいですね、こう言うの。

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by marinegumi | 2014-05-29 22:36 | 掌編小説(新作) | Comments(0)

水族館 (3枚)

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ゆうりと二人っきりで水族館へ行った時だった。
大水槽の前でアクリルガラスに顔をくっつけるようにして魚たちを見ていたゆうりがポツリとつぶやいた。
「お魚って化けて出ないのかな?」
「え?どういうこと?」
ぼくが聞くと、ゆうりは水槽を見たままで答えた。
「お魚さんってさ、わたしたちにたくさん食べられて、きっと恨んでると思うんだ」
ぼくは吹き出してしまった。
「そんなこと思ってたらお魚食べられなくなっちゃうじゃん」
ゆうりは水槽の上の方を見上げた。
ジンベエザメのえさの時間だった。
水面に投げ込まれたえさを、ジンベエザメが大きな体をたてにして泳いで食べていた。
「ジンベエザメが食べてるのはオキアミとかの小さなエビだよ。オキアミがみんな食べられたのを恨んでお化けになって出てきたらうるさくてしょうがないよね」
ゆうりはぼくをにらんだ。
でもすぐに笑顔になってぼくの手をつかむとそのまま歩き出した。

あれから二年が過ぎた。
ゆうりが海でおぼれて死んでからも、もう一年だった。
窓の外には大雨が降っている。
夏休みに入ったばかりだと言うのに、これでもう三日降り続いている。
机のスタンドに付けているジンベエザメのキーホルダーが目に入った。
水族館であの日買ったものだ。
「お魚って化けて出ないのかな?」
ゆうりの言葉を思い出した。
思い出すと言うよりも、声が聞こえた気がした。

そのとき、コツンと、音がした。
窓ガラスを何かがたたく音だ。
梅雨時に伸びた木の枝だろうかと思った。
コツン、コツン
窓に近づいて外を見た。
あんなに激しかった雨はもう降っていなかった。
そのかわり外の街の景色はどこまでも青く、まるで海の底のようだった。
いや、あの日の水族館の水槽みたいだった。
コツン、コツン、コツン。
窓をつついているのは魚だ。
魚たちはどんどん増えて行き、群れを作ってものすごい速さで泳ぎ、窓ガラスをかわりばんこにつつき始めた。
バラバラバラとまるでヒョウでも降るように窓ガラスに当たった。
やがてガラスにひびが入った。
このガラスは水族館のような分厚いアクリルガラスじゃない。
「お前たちは、ぼくが食べた魚の幽霊なのか?」
ガラスが窓枠ごとこわれ、たくさんの魚と一緒に水が流れ込むのを見ながら、ぼくは身動きできなかった。




おわり




5月16日に書いたツイッター小説を書きのばしたものです。
この作品は「窓枠水槽」と言うタグで書いたいくつかの作品の一つになります。
「窓枠水槽」のタグ作品はこちら

ところで、作品に出てくる「ジンベエザメ」ですが、最初は「ジンベイザメ」にしていましたが、調べたところ「ジンベエザメ」が正式名称だと言うことで直しておきました。
ネットで使用されている割合では「ジンベイザメ」の方が優勢らしいですが。

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by marinegumi | 2014-05-18 11:56 | 掌編小説(新作) | Comments(6)

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ヘンゼルとグレーテルは魔女をやっつけました。
でも帰り道が判らないのでしばらく魔女のお菓子の家で暮らすことにしました。
食べ物には困りません。
お菓子の家を食べればいいからです。
クッキーやチョコレート、ドーナッツ、ショートケーキにプリン。
お菓子ならなんでもありました。
おまけに何と言う事でしょう、いくら食べてもあくる日には元通りになっているのです。
二人は毎日毎日お菓子を食べて暮らしました。

ある日のこと、二人が寝ていると、お菓子の家をノックする音がしました。
板チョコの扉を開けるとお父さんとお母さんでした。
ヘンゼルとグレーテルを森に捨てたとはいえ、やっぱり心配になって探しに来たのでした。
「お前たち生きていてくれてうれしいよ」
「お父さんお母さん。ここで一緒に暮らそうよ。もう食べ物には困らないから」

しばらく家族は毎日お菓子ばかり食べて暮らしましたが、ある日お父さんが言いました。
「こうも毎日お菓子ばかりではいやになってしまうなあ。お前たち。この家は魔女の住んでた家だと言ったな?」
「そうだよ。悪い魔法使いさ」
「それじゃあ、魔法の杖とかないのか?」
みんなで探すと出て来ました。
引き出しの中に呪文を書いた本と一緒に魔法の杖は大事にしまわれていたのです。

お父さんは呪文の本を読んで杖の使い方を覚えました。
そして新しい家を作ったのです。
野菜とお肉の家でした。
そして自分用に、お酒の家も作りました。

「ヘンゼル、グレーテル。お菓子ばかり食べててはだめだよ。ちゃんとお肉やお野菜も食べなさい」
ヘンゼルとグレーテルはお母さんが毎日ごちそうを作ってくれましたが、あまり食べずにやっぱりお菓子ばかり食べていたので、とうとう虫歯になってしまいました。
それを聞いたお父さん。
「なあに、大丈夫さ。歯科医院を作ろう。森のクマさんを魔法で歯医者さんに変えてと」
そう言うお父さんはアルコール中毒になっていました。
「なあに、大丈夫さ。アル中専門の病院を作って、お医者さんは森のお猿さんだ」

そうやって森の中にはいろんな建物が増えて行きました。
郵便局、水道局、市役所、警察、スーパーマーケット、放送局。
森はもうすっかり姿を消し、大きな都会になっていました。

大きなお城を作ったお父さんは豪華な玉座に座り、ワインを飲みながら考えています。
「今度は強い軍隊を作るとしようか?」




おわり



うーん。
ツイッター小説はますます快調です。
この連休中に書いたツイッター小説を長くして投稿用作品に仕上げる事が出来ましたよ。
この作品は5月5日に書いたツイッター小説が元になっています。

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by marinegumi | 2014-05-07 10:55 | 掌編小説(新作) | Comments(4)