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偕成社のサイトで連載されている、高井信さんの「小学生のためのショートショート講座 第19回『オチなくたってオーケー』」です。
イラストは、僕が描かせていただいています。


『小学生のためのショートショート講座』記事一覧
第19回『オチなくたってオーケー』

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by marinegumi | 2016-02-24 18:35 | 写真や お絵かき | Comments(2)

はるさんが朗読の動画にしてくださいました。


その1 ブランコ

雨の公園で濡れるのもかまわずにブランコに乗っていた。
誰にも会いたくなくて、ゆらりゆらりとゆられている。
なんどもなんどもくりかえす。
弱く強く、またゆるやかに。
まるでカノンだね。
パッフェルベルの「カノン」だ。
あの優しいメロディーがどこかから聞こえるような気がした。
ただ優しく、同じメロディーをなんどもなんどもくりかえす。
ただくりかえすだけじゃない。
くりかえすたびにそのメロディーは違う表情をみせてくれる。
いつまでも聞いていたい。
いつまでもゆられていたい。
あたたかい雨に包まれて雨のカノンを聞いている。

でもやっぱり気がついてしまう。
わたしはこうやって雨に濡れながら。
ブランコにゆられながら。
カノンのメロディーに浸りながら待っているんだと。
ブランコの後ろから聞こえる誰かの足音を。



その2 ビニール傘

そろそろこの部屋の窓の外を、クラブ帰りの君が通る時間。
泥だらけになったユニフォームが入ったカバンを肩にかけて。
雨だからあの大きなビニール傘をさしているはずだ。
君がもうすぐあの道をやってくる。

わたしはピアノを弾きはじめる。
君のために。
明日には転校してしまう君のために、君の好きだったこの曲を。
パッフェルベルの「カノン」だよ。
同じメロディーが表情を変え、音色を変えしながら繰り返す。
この曲って君とわたしの過ごした短い時間のようだね。
同じメロディーが複雑にからみあい、また単純なメロディーで繰り返す。
君の姿が雨の街角に小さく見える。
そしてだんだん大きくなる。
わたしは涙を流しながらカノンを弾き続ける。
君にこの音色が届くよう。
そして君がこの窓を見上げてくれるよう。
雨のしずくが流れる透明な傘を通して、君と目が合えばどんなにいいだろう。

君はそのまま窓の下を通り過ぎる。
その足取りを緩めることもなく。
わたしはカノンを弾き終わり、電子ピアノのヘッドホンを外す。
アパートの部屋ではピアノの音が出せない。



おわり



ツイッター小説で一番たくさん書いたのは、タグ「#秋雨のカノン」じゃないかと思います。
その中から二編を長くしてみました。

はるさんのブログはこちらゆっくり生きる

はるさんの朗読を聞きながら、しっとり、ウルウルしていました。
雰囲気のあるとても好きな朗読になりました。

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by marinegumi | 2016-02-20 15:20 | 掌編小説(新作) | Comments(5)

こわいゆめ (1枚)

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こわいゆめからさめたとき、ぼくはあせびっしょりだった。
まだしんぞうがドキドキと、きもちわるいほどにはやくおおきくうっていた。
とけいをみるとまだまよなかだった。
きゅうにこころぼそくなって、ぼくはママをさがした。
あのこわいゆめのことをはなして、なぐさめてほしかったんだ。
ママのしんしつはドアがひらいたままで、ベッドにはだれもいなかった。
かいだんをおりて明かりがついているだいどころに行った。
テーブルの横にママが血だらけで倒れていた。
それはあの恐い夢と一緒の場面だった。
一緒だったのでかえって驚きはしなかった。
やがてすっかり記憶がよみがえった。
俺はもう大人になっている。
口うるさい、文句ばかり言うお袋を殺したのは俺だったのだ。
死んだばかりの様に見えていたお袋は、元の姿に戻った。
ドレスを着た白骨死体。
それが今のお前の本当の姿だ。




おわり



この作品を、ブログ「ゆっくり生きる」のはるさんが朗読してくださいました。
いつもありがとうございます。



イメージとしては、声が子供の物から大人に、徐々に変化した方がいいかなと思っていたのですが、このいきなり変わると言うのも迫力があっていいですね。
ドキッとしました。

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by marinegumi | 2016-02-08 17:12 | 掌編小説(新作) | Comments(4)

節分あれこれ (3枚)

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「玄関に何を飾ってるの?」
「節分にはねえ、これの頭を玄関の外に吊るしておくと魔よけになるって」
「そうなんだ?だけどよくそんなのが捕まえられたね」
「そりゃあ大変だったよ。このために猟銃の免許をとったりね」
「ちょっと失礼。それを見せてください」
「あなた誰ですか?」
「日本自然保護協会の者です。イヌワシは希少野生動植物種で天然記念物なんですよ」
「え?それで?」
「節分に玄関に飾るのはイワシの頭!」




「憎しみは新しい憎しみを生み出すだけです。形の上だけは戦うのもいいでしょう。豆の代わりにマシュマロやチョコレートを撒きましょう。キャンディーや甘納豆もいいですね。地面に落ちても、それを拾った鬼たちが食べられるように、ちゃんと個別包装されたお菓子を撒く事にしましょう」
毎年の節分には甘いお菓子が撒かれるようになり、鬼たちはその味を覚え、日常的に甘いものを食べるようになりました。
そして糖尿病や虫歯の鬼が増えて行ったのです。
鬼の国にはお医者さんがいません。

「にた~り。鬼退治はこうやらなくちゃね」 




「あ、いたぞ。あそこに鬼の親子だ」
「こいつらもやっつけてやろうぜ!ほら、豆の用意はいいか?」
「あ、ちょっと待って。見逃してやろうよ」
「なんでだよ?」
「あの鬼の親子、切り株に座って恵方巻を食べてるじゃん」
「かなわねーなあ。最近の鬼は」




鬼の棲む島に今日も爆撃機が向かいます。
爆弾はもちろん大豆です。
島全体に炒った大豆を大量に撒くのです。
何日も、何か月もそれが続きました。
いつしか、島全体が大豆に覆われ、生態系が完全に破壊され、まともに食料が採れなくなり、鬼たちは滅びました。
何年か後。
しっかり炒られてなかったいくつかの大豆が芽を出し、空高く伸びました。
それはどんどん伸びて行って雲の上まで届いたのです。

やがてその豆の木を伝い、天空の大鬼たちが仲間の復讐に大挙して降りてきました。




「玄関に何を飾ってるの?」
「節分にはねえ、これを玄関の外に吊るしておくと魔よけになるってさ」
「何それ」
「石清水(いわしみず)八幡宮のお札」
「それは節分でなくても魔よけになると思うけど。石清水じゃなくて、イワシなの!」
「じゃ~これにしようか?」
「それは岩津(イワツ)ネギ!だんだん無理やりになって来た」



おわり



これまでに書いたツイッター小説で、二月三日前後に書いたものを見てみると、節分テーマの物が結構ありました。
それを長くしたものです。

写真は「フリー写真・イラスト素材(ロイヤリティフリー)Photo Chips」さんからお借りしました。

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by marinegumi | 2016-02-02 22:09 | 掌編小説(新作) | Comments(2)