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偕成社のサイトで連載されている、高井信さんの「小学生のためのショートショート講座 第21回『プロットを作ろう(前編)』」です。
イラストは、僕が描かせていただいています。


『小学生のためのショートショート講座』記事一覧
第21回『プロットを作ろう(前編)』

ロボットだって十分進化すると夢を見たり寝ぼける事もあるんでしょうね~
ないない。
あるとすれば部品の劣化による故障でしょうね。

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by marinegumi | 2016-04-20 18:08 | 写真や お絵かき | Comments(0)

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咲き始めたばかりの桜並木の下を歩いている。
しとしと春雨の降る通学路。
ビニール傘を通して、過ぎて行く桜の花が見える。
僕は思い出す。
去年ここを由香と並んで歩いたあの日は、桜の花が盛んに散っていた。
僕の傘は透明のビニール傘で、由香の傘は普通の青い傘だった。
「わ。きれい!」
由香がそう言ったので傘を見上げると一面に桜の花びらが積もっていた。
由香は自分の傘をたたみ、僕の持っている傘の中に入って来た。
「きれいだわ。きれいよね」
そう言いながら僕に見たことのない笑顔を見せた。
傘の中の温度が急に上がったような気がした。

僕は立ち止った。
咲き始めたばかりの桜がビニール傘を通して見える。
じっとしていると傘の上に花びらが積もっているみたいだ。
しばらくそうやって見上げていた。
「まだあの子の事考えてるの?」
覚えのある声が後ろから聞こえた。
幼なじみの佳織だった。
「何言ってんだよ。おまえ」
自分でも顔が赤くなって行くのが分かった。
「好きな人が転校しちゃって。残念だったわね」
意地悪そうなその言葉と裏腹に、佳織の笑顔は優しかった。


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夜の公園。
満開の桜の下を歩いている。
一人で買い物に出かけての帰り道。
駅から我が家へはこの公園を通り抜けるのが一番早い。
今日は日曜日で、暖かくて天気もいい。
ぼんぼりには灯がともり、見事な桜を浮かび上がらせている。
一面の桜の木の下の芝生の上には場所取りのブルーシートがいくつもいくつも敷かれていて、その上には座布団が並び、たくさんのお酒のビンやごちそうの詰まった弁当が並んでいる。
違うブルーシートの上にはバーベキューの用意がされ、またある場所では鉄板の上で焼き上がったばかりの焼きそばが湯気を上げていた。
電源の入ったカラオケ装置とマイクもあった。
でもそこにいるはずの花見客が一人もいない。
公園には人っ子一人姿が見えない。
静まり返っている。
カラオケのアンプのノイズがかすかに聞こえるばかりだ。
私は足早に通り過ぎようとする。
だんだん足が速くなる。
次第に恐怖を感じ出していた。
どうして誰もいないんだろう?
こんな花見日和の日曜日の公園なのに。
今、後ろから誰かに声をかけられたらきっと悲鳴を上げてしまうだろう。


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桜の散るカフェの外テラスで、飲み物を前にして僕たちは向き合っていた。
初めてのデートだった。
喋るのが苦手な僕は、用意してきた話題が底をついてしまっていた。
「桜がきれいだね」
「そうだね」
ああ、もうそんな事を何度言っただろう。
さっきから気まずい沈黙が二人を隔てている。
こんなんじゃだめだ。
きっと君は退屈してるんだろう。
さっきから僕は、僕のコーヒーカップに桜の花びらが落ちてくれればいいのにと願っていた。
それをきっかけに、君が笑ってくれれば、また話が出来るかも知れない。
でも意地の悪い事に、何百と舞い落ちる花びらは僕のカップを避けている。
そんな時、君が沈黙を破った。
「あのね。わたし。無口な人が好きだよ」
もやもやがサイダーの泡のようにシュワ~っと消えた。
君の笑顔に涙が出そうだった。

その時、僕のコーヒーカップに桜の花びらが落ちた。


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死ぬのなら、桜の木の下がよかったと思う。
それもたくさんの花びらが盛んに散っている大きな桜の下だ。
殆ど風はないけれど、すでに散る時期が来てしまった桜の木。
無数の花びらが枝を離れ。
無数の花びらが降り注ぎ。
無数の花びらが私の死体を美しく覆い隠してくれるだろう。
血だらけの見るに堪えない無残な私の身体をそっと包んでくれるだろう。
こんもりと盛り上がった桜の花びらの下に死体が埋まっているとは誰も思いもしないだろう。

それが、何という事だ。
本当の私はと言うと道路の真ん中に横たわっているのだ。
そして、もう何台もの車に繰り返し繰り返し轢かれ、すでに人間の姿をしていない。


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長い年月、手入れもされず放置され、雑草に覆われた公園の跡。
金網のフェンスもすでに錆びて雑草の間に傾いている。
ブランコの支柱もまた赤く錆び、ちぎれた鎖の下の木の台座はもうなかった。
立ち入り禁止のために張られていたロープも切れて地面に長く伸びている。
私はその中へ足を踏み入れた。
公園跡のほぼ中央に、枯れて久しい桜の木がある。
いまはちょうど桜の満開の季節だ。
なのにその木は、いつかの台風で太い幹が折れ、背が低くなってしまっていた。
折れ残った幹には大きなうろが出来、そこに雑草が生えているのが却って無残だった。
私は、子どもの頃にはこの公園に毎年家族と花見に来たのを思い出していた。
青空を覆い隠してしまうほどの桜の花。
母と父の笑顔。
歓声を上げる兄弟たち。
粗末だったけれどとびきりおいしかった弁当の味。
それを思うと、今の自分が信じられなかった。
家族はすでになく、私は独り取り残されてしまっていた。

その木の下に座ってみた。
伸びた雑草に体が埋もれてしまいそうだった。
そっと目を閉じた。
するとその時、不意に目の前に女の子が現れ、無言でピンクの飴をくれた。
戸惑いながらも、包み紙を取り、口に入れた。
すると、一瞬にしてあたりは満開の桜だ。
そして懐かしい家族の顔もそこにあった。
あの女の子は誰だろう。
そう、それはあの日、一緒にお花見をした近所の家の子供だった。
名前は……思い出せなかった。
あの時もこのピンクの飴をくれたんだ。
私だけに。
ふと、私は自分が目をまだ閉じているのに気が付いた。
ずっと目を閉じたままだったのだ。
そっと開いてみる。
いつの間にかの夕焼け空の下に、雑草の公園跡がただ広がっていた。



おわり



ちょっと季節はずれかな?
まあ、まだまだ桜はこれからだよと言う地方もあるでしょうね。
最近書いた、桜の花をテーマにしたツイノべが七つほどあったので、そのうち五つを書きのばしてみました。

写真はフリー写真の『ぱくたそ』さんです。


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by marinegumi | 2016-04-18 00:57 | 掌編小説(新作) | Comments(2)

小さな郵便局 (2枚)

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小さな町の郵便局は、かわいい赤いとんがり屋根の建物だ。
それはなぜか町の中心から少し離れた森の入口にある。
自動扉の横には色とりどりの草花に埋もれるようにして三つのポストがあった。
左から青いポスト、赤いポスト、白いポスト。
青いポストにはこう書かれていた。
「淋しい、悲しい気持ちで書いた手紙はこちらへ投函」
赤いポストにはこう書かれていた。
「嬉しい、楽しい気持ちで書いた手紙はこちらに投函」
そして白いポストにはこう書かれていた。
「事務的な御用事の手紙はこちらへ投函」

ある日私は恋をした。
わくわくするような、でも泣きたいような気持だった。
楽しいようでいて、なんだか不安な気持ちだった。
自分でもよく解らないそんな気持ちでラブレターを書いた。
ちいさな郵便局に自転車で向かっている間、この手紙はどのポストに入れたらいいのかと、ずっと迷っていた。
自転車を降りてポストの前。
季節の草花に埋もれるようにしてポストは置かれていて、それは四つあった。
増えているのはピンクのポストだった。
それにはこう書かれていた。
「まだ不安定な恋をしているあなたの手紙はこちらに投函」



おわり




何か小説を書こうかなと思えば、最近のツイッター小説をごそごそ。
物になりそうなのを引っ張り出して気の向くままに肉付けをして出来上がり。

ブログ「ゆっくり生きる」の、はるさんが朗読してくださいました。


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by marinegumi | 2016-04-15 23:57 | 掌編小説(新作) | Comments(4)

シナモンの枝 (6枚)

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ゆったりと目が覚めた。
目覚ましの音に起こされるのではなく、自然に目がさめたんだ。
きょうは学校はおやすみ。
とてもいい気分。
さっきまで何だかふんわりした夢を見ていたような気がしたけれど何も思い出せなかった。
起き上がってベッドから床に足を降ろした時、スリッパの横に何かが落ちているのが見えた。
拾い上げるとどうやらパンくずみたいだった。
指先で押さえてみるとまだやわらかだった。
変なにおいもしなかったからそんなに古いものじゃないようだ。
でもわたし、寝室でパンなんか食べたりしたことはなかったはずだよ。
部屋を出ようとしてドアノブに手をかけた時、そこにもパンくずが落ちているのに気がついた。
ドアを開けると廊下にもパンくずが転々と続いている。
パン屑に誘われるようにして階段を降り、外へ出る玄関のドアの前まできた。
ドアには鍵が掛かっている。
パパもママもまだ眠っている時間だからね。
ドアを開くと庭の敷石の上にもパンくずは続いていた。
それをずっとたどって庭を出て、街へ出て、たくさんの自動車の通る道路の歩道を何ブロックも歩いた。
まだ寝起きの目にはお日様がまぶしかった。
歩いて歩いて、歩き続けた。
これまでのパンくずをひとつにまとめると、多分もうコッペパン5個ぐらいにはなったかもしれないぐらい歩き続けた。
建物が少なくなり、パンくずは緑の木々の間の道の上に続いていた。
道はだんだん細くなって行って、とうとう大きな森の中へやって来てしまった。
その森を奥へ奥へと歩くうちにわたしはぼんやりと思い出していた。
昨日見た夢の中の出来事を。
夢の中におばあさんの住む家があったんだよね。
わたしが通りかかった時、おばあさんが急に家の中から飛び出してきたんだ。
「ああ、困った困った。シナモンの枝がなくなってしまった」
そう言いながら頭を抱えているおばあさんとわたしの目が合った。
「だれだい?あんたは」
わたしは正直に自分の名前を言った。
「ふん。そんなへんてこな名前の女の子なんて知らないね」
「何に困ってるんですか?」
と、わたしは聞いてあげた。
「魔法を使うのに絶対必要なシナモンの枝がなくなったのさ。たぶん小鬼の奴が持ってったに違いない。シナモンの木はこの森には生えていないと言うのにさ。ああ、困った困った」
「シナモンの木ならうちの庭に生えてたわよ」
「そ、それはどこなんだい?お前の家はどこだ?」
わたしは家の所番地を言ったけれど全然わからないみたいだ。
だって今わたしは夢を見てるんだから。
おばあさんは夢の中の住人だし、わからなくても仕方がない。
「おお、どうかそのシナモンの枝を一本切って来ておくれ」
わたしは自分が今、夢を見ているんだと言う事を説明した。
「そうか。それならば歩いて帰ればいいさ。このパンを持ってお行き。小さくちぎりながら道に落として行って、帰って来るときの目印にするんだよ」
そう言っておばあさんはわたしの背の半分ぐらいある大きなパンを渡してくれた。
「でも帰り道がわからないわ。まあ、目が覚めれば自然と帰れるとは思うけど」
「だめだめ。目が覚めて帰ったんではここに戻って来られないのさ。歩いて帰らなくちゃね。このまま森のはずれまで行って、そこから先は目をつぶって時々パンくずを落しながら歩くんだよ。必ず帰れるから。そしてちゃんと帰れたらシナモンの枝を持ってパンくずを目印にもう一度来ておくれ。頼んだよ」
そうなんだよね。
そんな夢を確かに見たんだよ。
森の中の道をおばあさんの家の前まで来た時にはすっかりその夢を思い出していたんだ。
そしてシナモンの枝を持って来るのまで忘れていたことを。
その時、おばあさんが足音を聞きつけたのか、家から飛び出してきた。
「シナモンの枝はあったかい?!」
「そ、それが……」
わたしはおばあさんに今までの事をお話しした。
「そうかいそうかい。それはしかたがないね。もう一度、今度は忘れないようにメモを書いて持って行けばいいよ」
そう言うとお婆さんは羊皮紙にインクをたっぷり付けたペンでこう書いたんだ。
『シナモンの枝を一本。森の中の家へ』
わたしはそれを手に持ってもう一度家に歩いて帰る事になった。
今度はパンくずを落としながらではなくてね。
そして森の外れまで歩いて来ると……

ゆったりと目が覚めた。
目覚ましの音に起こされるのではなく、自然に目がさめたんだ。
きょうは学校はおやすみ。
でもなんだかまだ眠い。
さっきまで長い長い夢を見ていたような気がしたけれど何も思い出せなかった。
ふと手を見ると何か紙のようなものをわたしは握っていた。
広げてみる。
『シナモンの枝をありがとう。一生恩に着るよ』
何のことやら訳がわからなかった。
それに、ぐっすり眠ったにしては足が痛くて、なんとなく疲れていたんだよね。

すぐに二度寝しちゃって、昼ご飯に呼ばれるまで目が覚めなかった。



おわり



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by marinegumi | 2016-04-03 00:49 | 短編小説(新作) | Comments(0)