クリスマスの朝。
いつもと違って目覚ましが鳴るよりも早く目が覚めた。
そりゃそうだろ。
サンタさんからのプレゼントがなんなのか、昨日の晩はそれが楽しみで、わくわくして、なかなか眠れなかったぐらいだったんだからさ。
起き上がってベッドから降りて、プレゼントがあるはずの枕元を見た。
でも、そこには何もなかったんだ。
「え? どゆこと?」
一瞬何も考えられなくって、やっと思いついたのはクリスマスの日を間違えてるんじゃないかと言う事だった。
そう、ぼくのかん違いで、今日はまだクリスマスイブだったりしたりして。
いやいや、だって昨日の夜はみんなでごちそうを食べたし、クリスマスケーキは二切れペロリさ。
お母さんやお父さんまで間違えるはずないもんな。
よく見ると、枕元の壁に下げてあったはずの靴下がなくなっていた。
それはぼくが昨日寝る前に自分でぶら下げたので、間違いなくそこにあったはずだ。
大きなプレゼントでも入るように、なるべく大きくてよく伸びる靴下をわざわざ買ってきたやつなんだからさ。
プレゼントがないだけじゃなく、その靴下までなくなってるなんてサイアクっていうやつだ。
誰かに盗られたんだろうか?
まさかドロボー?
サンタさんが来て、ちゃんとプレゼントを入れてくれたのにそれをまたドロボーがやって来て持って行っちゃったのか?
あんまりのショックで、ガックリ来て、ため息をつきながらカーテンを開けた。
何だか窓の外がぼんやり見えている。
いつものぼくの家の庭が、霧がかかったように見えているんだ。
下へ降りて玄関のドアを開けようとしたけれど、なんか変。
ドアを押すと向こうから押し返される感じなんだよな。
何か柔らかい物が外から押さえているみたいだ。
開いたドアのすき間からのぞいてみると何かがそこにあった。
手で押してみるとなんだか目の粗い布のようなものがそこにあるんだ。
わけが分からなかった。
ちょっと考えて、引き出しからハサミを持って来てそれをチョキチョキと切り開いてやった。
外へ出てみてびっくり。
めちゃくちゃ大きく伸び切った靴下が、ぼくの家にすっぽりとかぶさっていたんだ。
その靴下の柄を見ると、ぼくが買ってきたものに間違いなかった。
そしてその靴下の中の家は、ま新しいピカピカの新築の家だったんだ。
あんな小さな靴下がよくもこれだけ伸びたもんだと思ったけれど、いやいやそれよりも新しい家が今年のプレゼントだったと言う事がびっくりだよね。
まあ、プレゼントは靴下の中に入っていたんじゃなくて靴下がかぶせてあったわけだけどさ。
家の中に戻ってみた。
何で気がつかなかったのかと思うぐらい家の中も新しくなっていた。
家具も窓枠も、カーテンも、天井も照明もみんな真新しくて輝いていた。
僕が寝ていたベッドも布団もクッションもみんな新しくなっていた。
「ぼうや。どうしたの?」
お母さんが部屋に入って来た。
「今年のプレゼントは何だったんだ?」
と、お母さんの後ろから入って来たお父さんが言った。
そう言うお父さんもお母さんも、何となく前と違っているのはどうしてだろうか。
着ている服も新しくて立派だし、いやいやそれよりもその顔だった。
お母さんは前より絶対にきれいになっている。
ぼくのお母さんに間違いはないんだけれど、だいぶ若くてきれいで、そう、なんだか上品なんだ。
お父さんも、服もそうだけど、すごいイケメンになっている気がする。
お父さんに間違いはないんだけれどなんだか新しくなったような感じなんだ。
え?
まさか?
新しい家と一緒に、新しいお父さんとお母さんもクリスマスプレゼントってわけ?
ま、まじでか~?
ぼくは恐る恐る、壁にかかっている鏡に映る自分を見た。
おわり
毎年恒例の「
もぐらとはるのクリスマスパーティー」用に書いた作品です。
いやいや、招待状が届くとどうしても書いてしまうんですよね。
困ったものです。
いやいや、毎年思いきり楽しんで書いていますよ(ゲホゲホ)
書きたくて書きたくて待ち遠しいほどなんです。
いやほんと。
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