扉が開いた (ツイッター小説) 1~3

その1
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扉が開いた。
向こうから爽やかな涼しい風が吹いて来た。
気の遠くなるほどに暑い夏の太陽の下に囚われた彼の前にその扉は開いたのだ。
秋の海と青空が見えた。
彼の幼い頃の遠い思い出の風景に違いなかった。

その扉からはバックドラフトの炎が躍り出た。
炎の渦巻く火災現場で消防士が見た一瞬の幻だった。




その2
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扉が開いた。
わずかに数センチほど。
開いてしばらくの間は何も起こらなかった。
その扉のすき間から不吉な深い暗闇が見えた。
そして、私の目の前にあると思っていたその扉が実は遥か下にあるのに気がついた。
私は階段のそばに倒れて下を見ていたのだ。

船底のその裂け目から夜の海の水が押し寄せて来た。




その3
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扉が開いた。
ちゃんと閉じていなかったらしく、音もなく開いたので風を感じて初めて気がついた。
私は描きかけの漫画の原稿を置いて扉を閉めに席を立った。
その音に驚いた愛犬が水の容器をひっくり返す。
やれやれ…と思いながら扉に手をかけたその時だった。
突風が吹き込み、原稿が水にぬれた床の上へ…



「同じ書き出しによるツイッター小説連作 第二弾」の書き出しの文章が「扉が開いた」に決定しました。
「そして扉が開いた」に決まりかけて、何本か書いたんですが、中にはなんで「そして」なんや?と思う作品もあったので、単純に「扉が開いた」にしました。

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by marinegumi | 2011-05-04 22:09 | ツィッター小説 | Comments(4)

Commented by haru123fu at 2011-05-04 23:37
扉が開く。というのは、とってもステキですね。
良くも悪くも、現状とは違う世界が待っているような。
それを希望と思ったり悪夢と思ったり。。。
ふふふっ。しょせん人間とは勝手な生き物のようです。
でも、私は海野さんの扉の向こうに夢を見ます。
そこに希望のかけらがあるように思います。
そのかけらを見つけることが人が生きるということなのかと。
ありやりゃ。やっぱ私頭おかしーい!
ステキなツイッター小説、いつもありがとうございます。
出会いに感謝いたします。(o^-^o)アリガトデス!
Commented by marinegumi at 2011-05-05 22:18
haruさんこんばんは。
そうですね、本当の扉でも、象徴的な意味の扉でも違う世界、違う時間へと解放される感じがありますね。
反対に閉じ込められるというのも有りですし。
なかなか書きやすいテーマですね。
さらに「私は」が付いてないだけで、こんなにやりやすいとは思っていませんでした。
私でも、僕でも、俺でも、あたいでも自由自在と言うのはいいですね。
Commented by ヴァッキーノ at 2011-05-06 07:36 x
絶対にどこでもドアのお話しがあるはずだ!
と、思って読んだんですけど
結構シリアスなタッチ(あだち充じゃない方の)だったので、うなりました。
いやあ、扉の向こうには何があるんでしょう?
Commented by marinegumi at 2011-05-07 20:42
ヴァッキーノさんおはようございます。
どこでもドアタイプのお話は最初から書くつもりですので、よろしく。
なんか最初はシリアスなのが並んでしまいましたね。
これは2本から5本ぐらいをまとめて書くからでしょうか?
その時の思いが共通のアイデアになって表れるのかも。

扉の向こうになにがある、こちら側に何がある、あと、いろんなものに扉は付いていますよね。
車にも電車にも、テレビ台にも食器棚にも。
こんな書きやすいテーマはないのと違うかな。