扉が開いた (ツイッター小説) 4~6

扉が開いた。
教室の生徒の目が一斉に向いた。
入って来たのは北京原人だった。
教室は世界史の時間で、今まさに北京原人の所を勉強をしていた。
人の多さに一瞬うろたえた北京原人は気を取り直すと教壇に立っていた女性教師をこん棒で殴り、扉の向こうに連れ去った。
間もなく教科書の内容が変わり始めた。
その5

扉が開いた。
僕はその古い洋館の高い塀に隙間を見つけ入り込んだ。
そして荒れ果ててはいたが、その庭の立派さに言葉を失っていた。
ポーチの石段に腰かけ、静かな庭を眺めていた。
その時僕の後ろで扉が開く音がした。
振り向けなかった。
扉から全ての悪い物が姿を現す所を想像しながら待つ他はなかった。
その6

扉が開いた。僕の背中で。
誕生日も間もなく日付けが変わる。
僕は僕ではない何かを受け入れ、僕だった物を少しづつ捨て去りながら生きて来た。
12時の時報と共に僕の背中にある開いた扉から誰かが入って来た。
そいつは強引に僕を追い出そうとした。
すっかり入れ替わるために。
悲鳴を上げる暇もなかった。
「扉が開いた」は、自分ではだんだん調子が上がってきてるように思いますね。
その1からその6までぐらいはちょっと肩慣らしかな。
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by marinegumi | 2011-05-05 22:11 | ツィッター小説 | Comments(8)

ボクとしては、だんぜん北京原人のお話しが好きですね。
なんとも生命力に溢れた、それでいて淡々と生きてる感じ。
たまりません(笑)

どんなふうに歴史が変わったのか、想像すると楽しいですね。
その6は、怖い話ですね。
入れ替わったことにまわりは気づかず、いつもの生活が続くのかな~なんて思うと、余計に怖いです。

写真よく見ると笑福亭仁鶴さんに似ているような。
どんなんかいな~!
文章、ラストのが好みかな。
こういう、自分が別の自分に入れ替わっているっていうボディ・スナッチャーな感じ。自己存在を揺らすような。
それがついのべでできちゃうところがスゴイっす。
ありがとうございます。
>どんなふうに歴史が変わったのか
ですよね。
これを短編にしようかと、いろいろ調べたんですが、なかなか難しそうです。
北京原人は我々の直接の祖先ではないので、過去が変わると、人類は存在しなくなっちゃうのかなー?
人類と北京原人のハーフの頭のいい別の人類が地球に蔓延?
いろいろ考えすぎてまとまりません。
ちゃうちゃう。
仁鶴兄さんはねー
「どんなんかな~」
「四角い世の中をまあるく収める仁鶴です」
ちょっとちがうか。
「おばちゃーん。がんばってやーおばちゃん」
>自分が別の自分に入れ替わっているっていう
このテーマはよく書きますね。
なんか人間はどんどん細胞が新しくなって、古い細胞が死んでいくと言うじゃありませんか。
何十年か経てば完全に入れ替わってしまうとか。
すでに僕は僕じゃないよなーなんて。