6月は雨降りしきる国  [ 追悼詩 ]

a0152009_1261635.jpg

もしもあなたが亡くなる日が
満月の夜だとすれば
それから後の人生で
満月を見上げる事はないでしょう

もしもあなたが亡くなる日が
雲ひとつない快晴なら
晴れた日には閉じこもり
雨の物語を書くでしょう

もしもあなたが亡くなる日が
しんしん雪の降る日なら
冬の来るのがうとましく
雪の降る日を憎むでしょう

6月6日
金星の太陽面通過の日
その日にあなたが逝くなんて
雨降りしきるあの金星の上
きっとあなたはいらしたのです
太陽の黄金の林檎を手に入れて
通り過ぎて行ったのです

105年後のその日まで
あなたを失くした悲しみに
さいなまれなくても済むように
きっとこの日を選んだのでしょう
そんなにもあなたは優しい人でした
レイモンド・イカロス・ブラッドベリ

a0152009_219642.jpg

ブラッドベリが亡くなった。
心にぽっかり空洞が出来た様な気がします。
ちょうど昨日、彼の未読の本「塵よりよみがえり」を、倉庫から出して来て読みかけた所でした。
なんか予感でもあったのでしょうか。
もっとも多感な少年期に彼の小説に出会った事はとても幸運でした。
僕の半分はブラッドベリで出来ている気がします。
あと半分は手塚治虫でしょうか?
高井信さんのブログでは亡くなったのは6月6日と書かれていたので、こんな詩を書いてみましたが、それは現地時間で、日本時間では6月5日に亡くなられたようですね。
まあ、5日に亡くなって、6日に金星に降り立ち、そして通り過ぎて行かれたという事なのでしょう。




ランキング参加しています。
    ↓
にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ
[PR]

by marinegumi | 2012-06-08 01:29 | | Comments(8)

Commented by 雫石鉄也 at 2012-06-08 10:14 x
このイラストは東京創元社から出た「10月はたそがれの国」のカバーですね。昔、読みました。中身も良かったけど、このイラストもいいですね。
ブラッドベリが亡くなって、私も大きな柱が無くなったような気がします。
>僕の半分はブラッドベリで出来ている気がします。
これ納得です。大変判ります。
私、40年前から海野さんのショートショートの読者でしたから、なるほどと思いました。
Commented by haru123fu at 2012-06-08 10:37
これは追悼詩ですね。もしもよろしければ、私に朗読させていただけませんか?
お願いします。
Commented by りんさん at 2012-06-08 19:05 x
なんて優しくて切ない詩なんでしょう。
海野さんの想いが詰まっていますね。
私も今日の新聞で知りました。
91歳だったそうですね。
Commented by marinegumi at 2012-06-08 20:13
雫石さんおはようございます。
このカバー絵はいいですよね。
最初に買った本は、この絵を切り取って机の前に貼っていました。
もう一冊買いましたね。
「よろこびの機械」などはちょっと難解な作品もあったのですが、この「10月はたそがれの国」にはのめりこみました。
もう、バイブルですね。
>40年前から
そうですねー
生まれて間もなくショートショートを書き始めたので、僕ももう40歳を超えたと言う事ですねー(笑)
Commented by marinegumi at 2012-06-08 20:16
haruさんおはようございます。
朗読お願いします。
ちょこっと手直ししました。
ところで、朗読する上での注意事項ですが。
「太陽の黄金の林檎」は「たいようの きんの りんご」ですのでお間違いないように。
Commented by marinegumi at 2012-06-08 20:27
りんさんこんばんは。
ブラッドベリが亡くなって、ちょっとメランコリーです。
何かを書かなくちゃと思って、普通に「大好きだったブラッドベリが亡くなった…」と書き始めては見たもののなんか違うなーと思っていろいろ考えているうちに出来たものです。
僕はブラッドベリはもう100歳まで長生きするものと思っていました。
ずっと新作を書き続けていたので、まだまだ頑張ってほしかったですね。

Commented by ヴァッキーノ at 2012-06-09 21:42 x
ブラッドべりが死んじゃったっていうか
あんまり知らないボクとしては
生きてる人だったんだあっていう感じです。
ボクは、「火星年代記」という、よくわからないけど
とっても詩的な火星の日常を描いたお話の本(これは枕元の小さな本棚にあります)と
SFの傑作「華氏451」(こっちは映画で)を
見ただけです。
だから、私的なSFを書いた人なんだなあって。
で、もうこの世にはいない人なんだろうなあと
思っていたわけです。
ボクは、まだまだ生きてます。
海野さんもまだまだ生きてます。
ずっといろいろ書き続けましょう。
あと105年は書き続けましょう!
Commented by marinegumi at 2012-06-09 22:54
ヴァッキーノさんこんばんは。

そうですね。
書き続けましょう。
105年後の金星の太陽面通過のその日まで。
確かにブラッドベリが亡くなって、落ち込んでいる自分がいます。
こんな気持ちになったのは手塚治虫が亡くなった時以来ですね。
あの時は無性に寂しくなり、手塚治虫がこの世からいなくなったのではなく、僕が手塚治虫のいない世界に来てしまったという気がしてしょうがありませんでした。
あの時と比べるとこの寂しさはずいぶんましです。
60歳で逝った手塚治虫と91歳のブラッドベリの違いでしょうか?

ジョン・バリーが亡くなって一時落ち込んでいた矢菱虎犇さんほどには落ち込んでいません。
大丈夫です。