転校生

「こえ部」で朗読していただきました。
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「転校生」こちらです
音楽、効果音まで入って、完成度の高さにびっくり。



転校生 (再掲載)


うちのクラス、5年3組に転校生が来た。
わたしのとなりの席が空いていたのでそこに座ることになったんだけど。
それが、なんかちょっと変わった男の子なんだよね。
どこが変わっているのかと言われても答えられないんだな。
何となく変わってるんだ。
妙に人なつっこくてさ。
放課後、わたしが教室を出ると一緒に帰ろうって言うんだよ。
いきなり初日からだよ。
まあまあ顔は可愛いかったので、いいかなってことで一緒に帰ったの。
ところがさ、家の前まで来るとさ。
「じゃあね。また明日」って言って、引き返していくじゃん?
なにそれ?あんたの家、こっち方面じゃなかったのかよ!って突っ込む相手ももういなくなってるし。
家の前で、しばし呆然というやつね。

三日後の日曜日に、その子が遊びに来た。
それもアポなしだよ。
しかも朝の6時だよ!
みんな寝てたわよそりゃ。
寝ぼけまなこのわたしの部屋に上がり込んでさ、お母さんが入れたお茶を飲んだり、お菓子を食べたり。
小脇にかかえて何を持ってきてるのかと思ったらアルバムだったのね。
それを見せるからわたしのアルバムも出して見せっこしようって言う事らしいの。
それでさ、見て行くと写真に写ってる風景が何となく日本の雰囲気と違うんだ。
「どっか、外国に住んでたの?」
そうわたしが聞くと。「そうだよ」と言ってにこにこしてるだけ。
そのアルバムの中の一枚に、学校の校門らしいところで撮った写真があったんだ。
「あ、これきみの入学式のときの写真?すごい桜吹雪だね」
「そだよ。入学式」
「でもさー、このあんたの顔、なんかひきつってるね」
「だって、真冬だもん。ぼくたちの星は1月が入学式なんだ。それ雪が降ってるの。大雪だったよ。入学式」
「ぼくたちの星って、あんた……まさか」
「そだよ。お父さんの任務でね」
「に…任務って。それって…」
その時カギをかけていたはずの窓がガラリと開いた。
そしてその窓から体にぴったりした上下つなぎの服を着た男の人が入って来たんだ。
そう、私の部屋って二階にあるのにさ。
男の人は入って来ると、転校生のそばまできてその頭をピシャンと叩いたんだ。
そして私の方に向きながらポケットから小さなペンライトみたいなものを取り出したの。
それが一瞬、私の目の前で、ものすごい光を出したんだ。

男の子が見せてくれたアルバムはどこの家にもあるような変わり映えのしない写真ばかりだった。
どこから転校してきたのか知らないけどさ、ここと同じような街みたいだね。
それから1時間半ほどどうでもいいような話をすると男の子は帰って行った。
「また来るね」と言いながら歩いて行くのは、あいつの家があるのと違う方向だった。
うーん。
何となく変な感じが残ったの。
難しい言葉でそう言うのあったでしょ。
何って言ったかなー
いじょう…、じゃなくて。
そうそう、『違和感』ね。
「イ~、わかんねー」と言う感じかな。
それでさ、何となくあの男の子、またすぐに引っ越して行っちゃうような予感がしたんだ。
今はまだ学校に来てるんだけどね。
また突然にいなくなっちゃうような気がするんだよ。

そうなると、ちょっとさみしいかな。
だってあの子、けっこうかわいい顔してるんだもん。




おわり




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by marinegumi | 2013-03-19 01:10 | 朗読 | Comments(6)

Commented by haru123fu at 2013-03-19 18:14
聴かせてもらいましたよ~!
可愛らしい少女の声、まるでアニメみたいです。
海野さんのイメージにピッタリな感じでしょうね。
けっこう長くても投稿すると、誰かが読んでくれるって、嬉しいですよね。
Commented by 平渡敏 at 2013-03-20 01:02 x
朗読、聞かせてもらいました。
作品の内容に声があっていて、魅力が倍増という感じですね。
違和感ないです。
Commented by marinegumi at 2013-03-20 10:10
haruさんこんばんは。
この作品に、声のイメージがぴったりというよりもですね、短い物を投稿したらアニメじゃん!と思う朗読に仕上がってるのがたくさんあって、それではその声に合わせてなんか長い物をとなったんですよね。
ツイッター小説から選んでちょっと長くして投稿していたんですが、なかなか読んでもらえず、その間にもう少し書きなおした方がいいかなとなって、更に長くなりました。
Commented by marinegumi at 2013-03-20 10:18
平渡さんこんばんは。
こんなに完成度の高い作品に仕上がるとは思ってもいませんでした。
>違和感ないです。
って言うコメントに「?」だったんですが、そうか。
作品の内容を踏まえたうえでのくすぐりですね。
コメントにまで考えオチをぶっこんでくる、さすが平渡さん。
Commented by 齊藤想 at 2013-03-20 19:47 x
朗読聞かせていただきました。
声優さんを目指しているひとなのでしょうか。
効果音もバッチリで、ラジオドラマのような感じで聞き込んでしまいました。
レベルの高さにびっくりです。

こえ部っていいですね~。
Commented by marinegumi at 2013-03-21 01:13
齊藤さんこんばんは。
この効果音はどうやってるんでしょうね。
みんなぴったり来ていますね。
何よりも朗読もすごいですし。

声優さんを目指していると言うか、「こえ部」にはすでに声優さんをやってる人もちらほらいる感じですね。
それから、「こえ部」を通じて声優の募集とか、オーディションみたいな事もあるようですね。
自分はこんな声を出せます見たいなアピールとか。
すごい時代ですね。