再会 (2枚)
わたしは大学二年の時に病気になってしまった。
治療法のない伝染性の奇病だと言われ、山奥の病院の一室に隔離されてしまった。
数か月過ぎたけれど、親も兄弟も面会に来てくれなかった。
たぶん来てくれてはいても、会うことは出来ないと断られているのかも知れない。
そうとでも思わなければ自分がみじめだった。
それほどわたしの病気は怖い病気なんだろうか。
ただベッドの上で日々を消化していくだけの生活だった。
大学の友だちの顔が次々に思い浮かんだ。
その中にさよならさえ言えなかった恋人の健二の顔もあった。
病院では時間の流れるのがもどかしいほど遅かった。
そう、一日は気の遠くなるほど遅く過ぎ、それなのに十数年があっという間に過ぎていた。
それは色彩の無い希望のかけらもない日々だった。
ある日、病室のカーテンが明るい色に替えられた。
汚れていた窓はきれいに磨かれ、それだけで景色が明るく見えた。
いつも不愛想だった看護師さんが笑顔で入って来て言った。
「今日から新しい先生があなたの担当ですよ」
その後ろからなつかしい声が聞こえた。
「あれから医大に入り直して猛勉強したんだぜ」
それは恋人の健二だった。
「きみの病気を治すためにさ」
おわり
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by marinegumi | 2018-06-04 21:45 | 掌編小説(新作) | Comments(4)
いい話ですね。わたし、こういう話は大好きです。
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marinegumi at 2018-06-07 22:14
雫石さんありがとうございます。
これは元ツイッター小説で、140文字の作品でした。
その時はあまりにいいお話過ぎてちょっと滑稽感があったのですが、長くすることでよりいいお話になったように思えました。
はるさんの退院祝いにコメント欄に書いたんですが、はるさんが朗読するというのでさらに手を入れてこうなりました。
はるさんがいればこその作品ですね。
これは元ツイッター小説で、140文字の作品でした。
その時はあまりにいいお話過ぎてちょっと滑稽感があったのですが、長くすることでよりいいお話になったように思えました。
はるさんの退院祝いにコメント欄に書いたんですが、はるさんが朗読するというのでさらに手を入れてこうなりました。
はるさんがいればこその作品ですね。
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haru123fu at 2018-09-01 01:14
海野さんごめんなさい。てっきりもぐらさんが朗読するものだと思っていました。
あいかわらずのおっちょこちょいです。
いつまでも朗読されないので不思議に思っていました。
遅くなってしまいましたが朗読させていただきました。
またブログに小説をUPしてもらいたいなって思っています。
原稿用紙2枚ぐらいなら朗読できると思いました。
本当にごめんなさいです。
あいかわらずのおっちょこちょいです。
いつまでも朗読されないので不思議に思っていました。
遅くなってしまいましたが朗読させていただきました。
またブログに小説をUPしてもらいたいなって思っています。
原稿用紙2枚ぐらいなら朗読できると思いました。
本当にごめんなさいです。
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marinegumi at 2018-09-04 13:55