人気ブログランキング |

<   2013年 01月 ( 1 )   > この月の画像一覧

金色のブレスレット (2枚)

a0152009_1855477.jpg



初めて出来た彼女の誕生日だった。
何をプレゼントすればいいのか判らなかったので彼女を呼び出し、食事に行く前にアクセサリー店に入った。
高額な指輪なんかをねだられても困るなと少しドキドキしていた。
でも彼女は僕の懐具合も考えての事か、選んだのは一万円弱の金色のブレスレットだった。
もちろんイミテーションゴールドだ。
腕にそれをはめて顔の横に持ってきて、僕に見せた。
「どう?似合う?」
眩しい笑顔だった。
でも僕はその笑顔のむこうに違う人の笑顔を見ていた。
突然思い出してしまったのだ。

小学校の3年生だった。
教室で隣の席に座っていた君に誕生日にプレゼントをした。
金色の色紙(いろがみ)にコンパスで円を書き切り抜いて、カッターナイフで切りこみを入れてブレスレットを作ってあげたのだ。
それを腕にはめると僕に見せて微笑んだ。
「かわいい?」
そう言う君の笑顔に僕はわけのわからない気持ちを感じた。

その君が、それからわずか二週間後、交通事故で死んでしまった。
その時の自分の気持ちを長い間思い出す事が出来ないでいたのだ。
悲しかったのは悲しかったのだろうが、たぶんそんな感情を超えていたのかもしれない。
子供の頃の思い出として、自分の気持ちは封じ込めて大人になって来たんだ。

アクセサリー店でブレスレットのお金を払いながら、食事に行く店までの道を歩きながら、僕は思い出していた。
僕は紙のブレスレットをプレゼントした君の事が好きだったんだと。
今まで好きになった誰よりも君の事が好きだったんだと。
その思いが胸を締め付けた。
「ねえ、そんなに早く歩かないでよ」
後ろから声をかけられた。
振り向くと、見覚えはあるけれどよく知らない女性が微笑んでいた。




おわり




ツイッターでツイッター小説(ついのべ)を書いています。
4本以上、ほぼ毎日。
それに満足してしまい、ともすれば掌編小説を書くのを忘れてしまいます。
ちょっと意識して長い物も書かないといけないのかな。
ついのべで掌編に出来そうなものは、いつになくいっぱいありますからね。


ランキング参加してます。
クリックであなたに幸運が(笑)
    ↓
にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

by marinegumi | 2013-01-09 19:05 | 掌編小説(新作) | Comments(8)