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今日はブログのお友達、もぐらさんの提唱する「空見の日」です。
全国の、全世界の人々が一緒に空を見上げようと言う、ただそれだけの日…なのだと思います(笑)

上の写真は先ほど撮影したわが町の空です。
程よく雲が浮いていて、雲一つない快晴よりはこんな空が好きです。

それでは空に関するお話を一つ。



丸い小さな空 (2枚)


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ボクは毎日空を見上げている。
それは丸く切り取られたちいさな青い空だ。
そう。
その小さな丸い空はいつも青空だった。
たまに小さな雲が通り過ぎる事もあるけれど、だいたいいつも青空で、夕方にはオレンジ色に染まり、夜には星が輝く。
ボクは深い深い穴の底からその小さな空を見上げている。
毎日毎日、数えきれない長い日々。
あきちゃうこともなく、あこがれに似た気持ちで見上げている。

ある日ボクはあの空がある穴の「外」に行ってみたくなった。
そう、たぶんボクはそんな希望を持ってはいけなかったのかもしれない。
穴の外の世界の事を考え始めた頃から空に雲が増え、白い雲が灰色に変わり、やがてたくさんの水が落ちて来はじめた。
それはきっと雨と言う物らしかったけれど、ボクは初めてそれを見たのだ。

丸い小さな空はずっと灰色で日増しに雨は強くなっていった。
上を見上げているのも、目を開けているのもつらいほどたくさんの雨が降ってくる。
そしてボクがいる穴の底の水がどんどん増え、ボクの体も上に上にと浮き上がって行くのだ。
丸い小さな灰色の空がどんどん大きくなっていく。
いや、ボクがどんどん穴の上の方、「外」に近づいているのだ。
もう少しで外に出られそうだ。
このまま雨が降り続き、もしもボクが穴の「外」に出られたとして、ボクはそこで生きて行けるのだろうか。
そこは小さなお魚のボクが生きて行ける世界なんだろうか。



おわり


大阪府枚方市津田山手2丁目に空見の丘公園というのがあるそうですね。
いつ出来たんでしょうか。
今まで毎年「空見の日」のブログ記事を探すのに、「空見の日」で検索していたのですが、見なかったような気がするのですが。
そうだ。
来年の空見の日にはこの「空見の丘公園」にみんな集まると言うのはどうでしょう。
きっと誰も来ないでしょうね(笑)

もぐらさんの「空見の日」関連の記事一覧はこちらです。

「ゆっくり生きる」のはるさんの記事はこちら。空見の日です

「りんのショートストーリー」のりんさんの記事はこちら。ケンカのち、青空


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by marinegumi | 2018-03-23 16:21 | 掌編小説(新作) | Comments(2)

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春の雨の降る道を歩いてきた。
公園の芝生を横切ってレンガ造りの図書館の前。
ドアを開き、廊下を歩き、たくさんの本棚の前に立つと、もう雨の音は聞こえない。
ただでさえ優しく静かに降る春の雨だから。
図書館はしんと静まりかえり、外からの音も何も聞こえない。
壁に架かっている大きな時計さえ、その秒針は音もなく回り続けている。

時々、君が本のページをめくる音だけが聞こえる。
君がいつも読んでいたのは不思議なお話ばかりだったね。

「指輪物語」
「ライオンと魔女」
「霧の向こうのふしぎな町」
「モモ」
「龍のすむ家」
「だれも知らない小さな国」
「飛ぶ教室」

僕は君に読むのを勧められたけれど、とうとう一冊も読まなかったね。
本なんて嫌いだったんだよ。

またページをめくる音がした。
そのページが巻き起こすわずかな風の記憶がよみがえる。
そう、本を読んでいる君のそばで君の横顔をを見ているのが好きだったんだ。

君がいつも本を読んでいたお気に入りの場所まで来るとテーブルの上には一冊の本。
ページが開かれたまま置きっぱなしになっている。
誰もいないのに、ささやかな音を立てながらそのページがめくられる。

そう、不思議な物語ばかり読んでいた君は、不思議な国の住人になってしまったんだね。
恐くはなかった。
その本を手に取って閉じ、背表紙のタイトルを見た。

 「時の旅人」

君はまだこれを読みかけだったんだろうか。

僕は悲しくなった。
僕が本を嫌いだった本当の理由を君は知らない。
本なんて。
本なんて、君を僕から遠ざけるだけのものでしかなかった。
僕は、君の時間を、僕だけのものにしたかったんだ。

僕はその本を元通り、開いていたページを開いてテーブルの上に置いた。

しばらくすると風もないのにまた次のページがめくられた。



おわり



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by marinegumi | 2018-03-19 18:43 | 掌編小説(新作) | Comments(0)