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再会 (2枚)

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わたしは大学二年の時に病気になってしまった。
治療法のない伝染性の奇病だと言われ、山奥の病院の一室に隔離されてしまった。
数か月過ぎたけれど、親も兄弟も面会に来てくれなかった。
たぶん来てくれてはいても、会うことは出来ないと断られているのかも知れない。
そうとでも思わなければ自分がみじめだった。
それほどわたしの病気は怖い病気なんだろうか。
ただベッドの上で日々を消化していくだけの生活だった。
大学の友だちの顔が次々に思い浮かんだ。
その中にさよならさえ言えなかった恋人の健二の顔もあった。

病院では時間の流れるのがもどかしいほど遅かった。
そう、一日は気の遠くなるほど遅く過ぎ、それなのに十数年があっという間に過ぎていた。
それは色彩の無い希望のかけらもない日々だった。

ある日、病室のカーテンが明るい色に替えられた。
汚れていた窓はきれいに磨かれ、それだけで景色が明るく見えた。
いつも不愛想だった看護師さんが笑顔で入って来て言った。
「今日から新しい先生があなたの担当ですよ」
その後ろからなつかしい声が聞こえた。
「あれから医大に入り直して猛勉強したんだぜ」
それは恋人の健二だった。
「きみの病気を治すためにさ」




おわり




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by marinegumi | 2018-06-04 21:45 | 掌編小説(新作) | Comments(4)