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やけ酒 (2枚)

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今日も疲れ切って家に帰って来た。
離婚をしてからというもの、金持ちの妻の実家からの援助もなくなり、家のローンの返済だけのために働いているような毎日だった。
家の中は真っ暗だ。
リビングの照明をつけると、薄暗い隣の和室から何となく酒の匂いが漂ってきた。
よく見るとそこにはみすぼらしい痩せ衰えた老人が横たわっていたのだ。
そいつの周りには冷蔵庫にあった焼酎の空きビンとビールの空き缶が転がっている。
「なんだお前は? 泥棒か!?」
そう言っては見たけれど、とても泥棒には見えなかった。
着ているのはボロボロになった着物で、竹の根っこみたいな杖がそばに立てかけてある。
「わしは、び、び、貧乏神だよ」とそいつはろれつの回らない口調で言った。
「なるほど」と、俺はすぐに納得していた。
いかにも貧乏神らしく見えたからだ。
「そうか。それで先月、嫁さんが出て行って金づるがなくなったり、前の会社を首になってアルバイトをする羽目になったんだな。きのうなんか財布を落としたぞ。こんな所に腰を落ち着けてもらっちゃ困るんだ。出て行ってくれよ!」
「そ、そう冷たい事を言うんじゃないよ。もう何十年もここにいるんだからさ」
「え? どういう事だ。ついてない出来事が起き出したのは先月からだぞ」
「そうさな。先月だよな。ここでずっと一緒に暮らして来た幸運の女神に出て行かれてしまったのは。喧嘩をしてのう」
「け、喧嘩?」
「ずうっと考えとったら、だんだん嫌気がさして、やけ酒を飲んでたところじゃ」




おわり



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by marinegumi | 2019-01-27 16:44 | 掌編小説(新作) | Comments(8)