怪我 (3枚)

大変なことに、屋根からうっかり落ちて、怪我をしてしまいました。
右肩の筋が切れているらしくて腕が上がりません。
手術をしないといけないと言う事で、二か月ほど入院になります。
恐らく棘上筋(きょくじょうきん)というやつらしいです。
そんなわけでしばらく更新できませんが、皆さんお元気で。
病院にはタブレットを持って行くので、手術直後は無理としても、コメント返しやツイッターぐらいは出来るでしょう。
入院は9月27日からです。

そんなわけで、『怪我』にちなんだショートストーリーをいくつか。(お気楽か?)





ドラゴン
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「これは『輸血』というものをしないと助からないな」
物知りの芋虫の病院長が言った。
その異世界から迷い込んで来た少女は崖から落ちて大怪我をしたのだ。
意識はあるけれど出血がひどかった。
「この世界には人間はいない。輸血に似た医療技術らしいもがあるにはあるが、血液が手に入らないからのう」
「私が人間世界に運びます」
少女をこの病院へ連れてきたドラゴンがそう言った。
「そんなことをしてみろ。お前は元の姿を保てなくなるぞ。そして二度とこの世界に帰って来ることも出来ん」
ドラゴンは強いまなざしで、きっぱりと言った。
「それでもかまいません!」

救急病院の玄関前で瀕死の少女が見つかった。
発見した病院のスタッフがすぐに院内に運び込み、手術が始まろうとしている。
近くの草むらで小さなトカゲがそれをずっと見守っていた。




ミツバチ
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わたしが大怪我で入院した時の事なんだけどさ。
担当のお医者さんがすげ~甘党でさ。
同じ冷蔵庫に入れていたグレープジュースと輸血用血液を間違って輸血しちゃったんだ。
まあ、それで命が助かっちゃったわたしもわたしだけど、間違う方もどうかしてるよね。
ま、それはそれでよかったんだけどさ。
それからと言うものわたしが汗をかくといい匂いがするんだ。
あま~い、いい匂いがね。
蚊は寄って来なくなってよかったんだけど、代わりに蜜蜂が来るようになっちゃった。




ガラス
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お城でまた舞踏会が開かれる。
城下のすべての家にお知らせが配られた。
「先週に引き続きお城で舞踏会を開催する。前回の舞踏会に参加した娘は全員その時と同じ服装、同じ靴を身に着けて参加するように」
いくら探しても、お城に残された片方のガラスの靴の持ち主がどうしても見つからなかったのです。

シンデレラは片方だけガラスの靴を履き、片方は裸足でお城に向かいました。
今度は魔法使いが来てくれなかったので長い道のりを歩いてお城を目指しました。
そして、道の途中に落ちていたガラスの破片で、裸足の左足を切ってしまい、とうとうお城にたどり着けませんでした。




おわり




いやあ、3千本以上のツイッター小説を書いていると、「怪我」で検索するだけで10本以上も出てきました。
で、そのうち3本を長くしてみました。

イラストは「無料イラストのAC」さんでお借りしました。

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# by marinegumi | 2016-09-23 14:31 | ツイッター小説プラス | Comments(8)

夏の時計 (11枚)

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  かいすいよくも、キャンプも、花火もみんなあきてしまった。
  夕立やカミナリの音、どこまでも青い空、大きなにゅうどう雲、セミの声。
  そんな夏らしいものはもうたくさんだった。
  たいくつしのぎに始めたしゅくだいも、もうすっかりおわってしまった。
  なんどもなんども見なおしたので答えはカンペキだ。
  絵日記はちゃんときれいにかきなおした。
  夏の思い出であふれかえっている。

  夏休みはもういい。
  新学期よ、どうかはじまってくれ。


長い長い特別な夏休みが始まるその日、いつものように準(じゅん)の心はときめいていた。
これでもう永遠に学校なんかに来なくてもいいような気がした。
そう、一か月以上の休みなんて小学校4年生の少年にとって、ほぼ永遠に等しいのかもしれない。
準は学校の校門を出て後ろを振り向くこともなく下り坂を走って駆け抜けた。
坂の下の広い道に出る時には足に急ブレーキをかけた。
早足で歩く帰り道の通りの両側にはいくつかの商店が点在している。
電気店や、駄菓子屋、文房具店など、みんなおなじみの店だ。
淳の足が止まったのは小さな時計店の前だった。
毎日通っていた道のはずなのに初めて見る店だったけれど、新しく出来たにしてはとても古びた店構えをしている。
木で作られたガラスのはめ込まれた引き戸の向こうは暗かった。
その時計店の小さなショーウインドウの中に見なれない置時計があった。
むっくりと丸いその時計の色は緑がかった青色をしている。
微妙な楕円形の文字盤。
はめ込まれた文字盤のガラスも青みがかっていた。
緑色のデザインされた針は夏の若葉を思わせた。
秒針は滑らかに動き、夏の爽やかな風を思い起こさせた。
「夏の時計だ!」
準は何故かそう思った。
その時計をどうしても手に入れたいと思った。
家に帰ると急いで二階の自分の部屋に駆け上がり、貯金箱を抱えて再び家を飛び出した。
「準くんお帰りなさい」
母親がそう声をかけた時にはもう姿は見えなかった。
人気のない路地の奥で貯金箱を壊し、お金を取り出すと陶器のそれを近くにあったゴミ集積場所に置いた。

時計店の主人は分厚いレンズのメガネをかけたエプロン姿の老人だった。
恐る恐る準が店に入って行くと店の隅で机の前に座って何やら作業をしていたらしい老店主は顔を上げ、メガネをずり下げ、裸眼で彼を見た。
「いらっしゃい、ぼうや」
そう声をかけると老人は準が口を開くのを待った。
「あの。時計が欲しいんです。あの緑色の……」
「ああ、夏の時計だね」
本当に「夏の時計」と言う名前がついているのかと準は思った。
偶然にその時計の値段は、準の貯金箱の中身と同じ金額だった。
店主は奥の棚から緑色の箱を取り出して来て、ショーウインドウのその時計を入れてくれた。
箱にはアルファベットと数字の後に(夏)と文字があった。

準は自分の部屋の机の上にその時計を置いた。
丸っこいその時計を手で触ると不思議な感触がした。
粗悪なプラスチックではなく、しっとりと手になじむ気がした。
音もなく滑らかに動く秒針。
まるで生き物のように息づいている感じがある。
夏の若葉のみずみずしさ。
強い日差しの熱も感じ、手をはなすと爽やかな風を感じた。
この時計は夏の時間を刻んでいる。
それは準が最初にその時計を見た瞬間に思ったことだった。

麦わら帽子の香ばしさ。
夕立の爽快感。
強い日差しを避けた木陰のさわやかさ。
友達の声や笑顔。
セミ取りをする木立の下の期待感。
カブトムシを見つけた時の狂喜乱舞。
浮き輪の中で海の上を漂っている浮遊感。
そんなものを残して、夏の時間は過ぎて行った。
夏の時計は正確に時を刻んでいた。

そしてある日気がつく。
宿題がまだたくさん残っていることに。
絵日記は日を追うごとに簡単な絵になり最後の方はもう適当に思いついたことを描いた。
科学研究は図書館で見た本の、どこかの誰かさんの丸写し。
国語や算数のプリントの半分ぐらいはまだ手つかずだった。
宿題をいやいややっている机の上で、夏の時計は時を刻んでいた。
その時計の色の変化に準はまだ気がついていなかった。
しっとりとした若葉の色だったそれは夏休みの中ごろには鮮やかな深い緑に変わり、間もなく9月を迎える今ではやや黄色味がかっているのだった。

夏休み最後の一日。
窓から見える青空には遠くうろこ雲が浮かんでいた。
半ばやけくそで宿題を消化していた準はとうとう感情を爆発させた。
「もういやだ~!」
と叫ぶなり、机の上にあったものを手で払ったのだ。
部屋の隅まで飛んで行ったノートやプリント。
筆箱の中身はあちこちに散らばっている。
大声を出して少しすっきりしたのか、準はため息をつくと散らばったものを集め始めた。集めて行くうちにあの夏の時計も一緒に払い落としていたのに気がついた。
慌てて床の上から拾い上げたそれを手に取った時、わずかにへこんでいるのを準は見つけた。
そして見ているうちにそのへこみが直るのを不思議に思いながら見ていた。
色は買った時のままの若葉の色に戻っていた。
夏の初めと終わりの変化に気がついてなかった準は当然それにも気がつくはずもなかった。

いやいややる宿題ははかどるはずもなかった。
途中で飽きてしまい、机に突っ伏したり、ベッドに寝転んでマンガ本を読んだりしながらも、また机に向かい、適当に片付けて行った。
何枚かは白紙のままにしたり、いい加減に文字を埋めて行った。
「こんなじゃ、先生におこられちゃうかもな~」
などと呟きながら。

あくる日、準が目覚めるとあたりはやけに静かだった。
準は無表情で、何かに操られているようにベッドから起き上がった。
カーテンを開けると街の家々の向こうに大きな入道雲がわいているのが見えた。
準は出来そこないの宿題を詰め込んだ手提げバッグを持つとふらふらと家を出た。
人気がなく、車も走っていない街を不思議にも思わずに通り抜けて学校にやって来た。
準が学校の校門の前に立った時、彼の後ろで町は元通りの活気を取り戻したが、気がついていなかった。
車の往来が戻り、人々の姿も復活した。
木々のざわめきや小鳥の声も元通りだった。
そして準もその表情を取り戻していた。
校門の門扉はしっかり閉じていて職員室にだけに灯りが点いていた。
先生は来ているようだけれどけれど子供たちの姿はなかった。
準は気がついた。
今はまた夏休みが始まったばかりなんだと。
待ちに待った夏休みの始まりに心をときめかせたたくさんの友達の、そのうきうきした気持ちがまだ校庭のあちこちに残っている。
そんな気配がある夏休み最初の一日だった。

準は坂道を駆け下りるとあの時計店の前にやって来た。
建物はそこにあったけれどガラスのはまった木戸の向こうには白いカーテンが引かれ、ショーウインドウには何もなくホコリが降り積もっているばかりだった。
時計店の看板があったはずの壁にはわずかに白くその跡が残っているばかりだった。

自分の部屋に帰ってくると机の上の時計を手に取った。
両手でそれを包むとわずかな振動を感じた。
そしてなんとなくしんどそうな、かすかなノイズを。
「時計が壊れてしまった」
何故かそうなんだと分かった。
「直してくれる時計屋さんはもういない」

  海水浴も、キャンプも、花火もみんな飽きてしまった。
  夕立やカミナリの音、どこまでも青い空、大きな入道雲、セミの声。
  そんな夏らしい物はもうたくさんだった。
  退屈しのぎに始めた宿題も、もうすっかり終わってしまった。
  何度も何度も見直したので答えは完ぺきだ。
  絵日記はちゃんときれいに描き直した。
  夏の思い出であふれ返っている。

  夏休みはもういい。
  新学期よ、どうか始まってくれ。




おわり




仕事の合間にちょこちょこ書いて、ひとまず出来上がり。

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# by marinegumi | 2016-09-19 13:49 | 掌編小説(新作) | Comments(0)

ドーナツ (1枚半)

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僕らの世界なんて、そうだなあ、ドーナツの穴みたいなもんさ。
みんな、ドーナツの穴の中に暮らしてる。
僕らの住んでいるこの空間を宇宙と言うドーナツが取り巻いている。
ところがこのドーナツを食べるやつがいるんだなあ。
食い意地の張ったやつだけどあまりガツガツはしていない。
静かに静かに喰い進むんだよね。
僕らは宇宙がいつの間にか、どんどんかじられて無くなって行ってるのにちっとも気がつかないんだよね。
その中の空間だけが自分たちの世界だからその外の事には関心がないからさ。
僕らの宇宙がそうやって喰い滅ぼされて行ってるとしても、まだ穴は確固として残っているので安心してるんだね。
気がついた時には宇宙はほとんど残っていない。
僕らの世界の外側にごくわずかに、薄っぺらになっちゃった宇宙があるだけさ。
最後の最後にわずかに残ったその宇宙は、気がついた時には一瞬で消えちゃうんだ。
そ。
まるでマジックショーの出し物みたいにね。
ただ重要なのは、宇宙が消えるときに僕らの世界も一緒に消えちゃうと言う事なんだ。



ほらね。
































おわり




連日の更新ですね。
長くなりそうな作品はまだ完成していません。
書きかけの小説ばかり入れているフォルダーを見ていると、完成した作品が。
あれ?
これはまだブログにアップしてなかったかな?
ちょっと調べると、まだみたいだったので上げておきます。

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# by marinegumi | 2016-09-13 18:37 | 掌編小説(新作) | Comments(4)

夢の果実 (1枚半)

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あなたが夢を見る時。
その夢のどこかにあなたが見ている夢を果実としてつける夢の成る木があります。
夢に見る街角の思いがけない路地の突き当り。
それとも夢であなたが迷い込んだ森の奥。
それともひょっとして夢の中のあなたの家の庭の真ん中にあるかもしれません。

その夢の成る木はあなたが見つけた時からあなたの見ていた夢の果実をはぐくみます。
その夢の成る木の果実はやがて熟して落ちると、あなたの見た夢をふたたび再現するのです。
その夢は夢の成る木が夢の果実をつけると言う夢です。
その夢の中でまた夢の成る木は夢の果実をつけます。
そしてまたその果実は熟して落ち、夢を再現します。
くりかえし、くりかえし、夢のまた夢またその夢の果実。

そう言う風にこの夢を見はじめると終わりのない夢の連鎖にあなたは陥ります。
そしてもうあなたは目覚めることはないのです。



おわり



しばらく更新していないので、なんか書いてみようと思って、書きかけるとどんどん長くなってしまってまだまだ終わりません。
それじゃあちょこっと短いのを上げとこうかと言うわけで、小説とも散文詩ともつかない物を書いてみました。

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# by marinegumi | 2016-09-12 18:32 | 掌編小説(新作) | Comments(0)

いやいや、描き方講座ではなくて、こうやって描いてましたと言う事です。

まず、あれやこれや考えてアイデアを鉛筆で紙に描きます。
こういうのをラフスケッチと言うんでしょうか。
まあ、結構いい加減に、セリフも適当に書いています。
そのラフスケッチをスキャナーでパソコンに取り込んで、さらにお絵かきソフトの「コミックスタジオ」に取り込みます。
a0152009_0172033.jpg

取り込んだ絵を青い色にして、その上から黒の鉛筆ツールで下書きをします。
ラフスケッチの下手な絵をなるべく直して、見られる絵にして行くんですね。
a0152009_0173775.jpg

これで下書き完成。
ロボットの顔の線は目の位置や口の位置を揃える為です。
a0152009_0174916.jpg

今度はその下書きの色を青くして、その上にペンツールで主線を描いて行きます。
これが一番大変なんです。
最近なぜか思うように線が引けないんですよね。
a0152009_0175850.jpg

四苦八苦しながら、主線が完成するとあとは結構楽しい作業です。
a0152009_018822.jpg

しこしこと色を着けて行きます。
a0152009_0181823.jpg

色つけが完成したものにセリフを入れます。。
セリフは、描いている間にもあれやこれや言い回しをどうするのが一番いいのか考え続けていますね。
a0152009_018325.jpg

その完成した絵の背景にこれまでのイラストを白黒にしたものをぺたぺた貼り付けて行きます。
これに結構時間を取られちゃった。
a0152009_0254615.jpg

その完成したものを赤い線の所でトリミングすると本当に完成です。a0152009_0191673.jpg

最後のこれは「コミックスタジオ」での作業画面です。
(クリックで拡大)
a0152009_0193981.jpg


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# by marinegumi | 2016-08-26 00:50 | 写真や お絵かき | Comments(2)

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偕成社のサイトで連載されている、高井信さんの「小学生のためのショートショート講座 第25回 創作の舞台裏」です。
イラストは、僕が描かせていただいています。


『小学生のためのショートショート講座』記事一覧
第25回 創作の舞台裏

これで最終回になります。
二年間連載と言う事で始まりましたが、一回延長戦があり、25回になりました。
高井先生、長い間ありがとうございました。

最近、歳のせいか(笑)絵がだんだん描きにくくなってきています。
手首が痛くなる。
すぐに肩や腰が痛くなる。
思うような線が引けない。
眠くなる(笑)
描いていて楽しいこともありましたが、また大変だったこともあります。
特に最終回は本業の忙しい真夏だったので、やっとこさで描き上げましたね。
肩の荷が下りたような、ちょっと寂しいような感じです。

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# by marinegumi | 2016-08-24 22:38 | 写真や お絵かき | Comments(4)

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偕成社のサイトで連載されている、高井信さんの「小学生のためのショートショート講座 第24回 ショートショート「オセロ電車」」です。
イラストは、僕が描かせていただいています。


『小学生のためのショートショート講座』記事一覧
第24回 ショートショート「オセロ電車」

おっと~
この暑さと仕事の忙しさのために、記事を上げるのを忘れていました。
「小学生のためのショートショート講座」が更新されるのは毎月20日ですので遅くなっています。

さて、この「小学生のためのショートショート講座」は、当初2年間、24回と言う事で始まりましたが、予定が変更になって、あと1回あります。
もう一年間ではなくて、もう一回ね(笑)
来月もお楽しみに。
あ、いや、来月ではなくてもう今月の20日更新です。

さてさて、イラストの中の二人のショートショートの原稿は実際に僕が書いたショートショートをキャプチャして縮小して使用しています。
画像がもっと大きければちゃんと読めるんですけどね。
ところで、この原稿にショー子ちゃんの本名が書いてあります。
「小都祥子」(しょうとしょうこ)と言うのが彼女の本名です。

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# by marinegumi | 2016-08-07 23:14 | 写真や お絵かき | Comments(3)

人魚
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海なんて嫌いだった。
ボクは船になんて乗りたくなかった。
何だか胸騒ぎもしていたんだ。
なのに家族みんなで乗る事になっちゃった。
そしてそして、ほら案の定、心配した通り船が沈んでボクは海の中にいる。
気が付くと人魚になっていたんだ。
体はそのままだけど、足の方はもうお魚みたいにうろこに覆われてヒレが生えている。
男の子の人魚なんて聞いたこともない。
そんなの、いてもいいのかもわからない。
でもでも、独りぼっちは嫌だ。
だから嵐の日にはこうやって、海の底の方から上を見上げ、船が沈むのを待っている。
可愛い女の子が乗った船が沈まないかと。




空気清浄機
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高原のしゃれたホテル。
案内された部屋に落ち着き、ベッドに座ってため息をついた。
部屋をぐるりと見回す。
空気清浄機があった。
「こんなに空気のきれいな所に空気清浄機なんているのかな?」
思わずそんな独り言が出た。
そうか、たばこを吸う人のためかもね。
そう思いながらどこで死のうかと考え始めた。
睡眠薬はたっぷり用意している。
あとは場所を決めるだけだ。
この部屋で死ぬと迷惑がかかると思うので最初からそれはしないことにしていた。
そう、わたしは失恋をして自殺をするためにここにやって来たんだ。

その時、空気清浄機が動いた。
自動運転?
でも誰もたばこを吸っていないのに?

自殺をしたい強い思いがうそのように消えて行くのがわかった。



アブク
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雨の音を聞いていた。
窓辺に椅子を置いて窓枠に頬杖ついて雨が降るのを長い時間見ていた。
庭の木々や草花が風ではなく雨に揺られていた。

いつの間にか眠ってしまったようだった。
ふと目覚めると窓の外はにはまだ雨が降り続いていて、薄暗くなっていた。
暗く青く、まるで海の底の様な庭の色。
部屋の空気はしっとりと潤って水の中にいるようだった。
あくびをすると、ぷくんとアブクが出たような気がした




靴屋の小人
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この家には小人が棲んでいると言う。
それもすごく沢山の小人たちが。
数年前に引っ越してきた古い古い洋館作りの田舎の家。
引っ越し屋さんだったか、不動産屋さんだったか、近所の人だったか。
誰かからそんな噂を聞いたような気もするし聞かないような気もする。
記憶がひどく曖昧だ。
「でも一度も見かけたことがないよね。小人」
思わず独り言が出た。
「え?何がですか」
テーブルの向かいの妻に聞こえてしまったらしい。
「いや、この家に小人がたくさん棲んでいると言う噂を聞いたような気がしてさ。でも一度も見かけたことなんてないだろ?」
「そうですか?いつも見ているはずですけどね」
「え?どういう事?」
その時、笑顔の妻の顔がぞわぞわと崩れたような気がした。
そして一瞬見えたのだ。
妻の体が小さな小さなミクロの大きさの無数の小人が組み合わさって出来ているのが。
ほんの一瞬だったので、あとで思い出してもそれが本当だったのかどうか、まったく自信がなかった。
そのあと、いくら目を凝らしてもいつもの色白のすべすべの肌の妻がそこにいたのだ。




窓の中
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公園の横を通り、りょう君の家の前。
窓から家の中をのぞくと部屋の中では青いお魚が泳いでいた。
もう少し歩くと、なほちゃんの家だ。
窓の中では赤いお魚が泳いでいた。
そうなんだ。
幼稚園のお友達はみんなお魚になっちゃったんだ。
それもみんなそれぞれの色のきれいなかわいらしいお魚だ。
みみちゃんちの窓をのぞくと、オレンジ色のお魚がいた。
こう君の家には緑色のお魚。
黄色いお魚になったわたしは水に沈んだ街を泳いで行く。



おわり



みなさんいかがお過ごしでしょうか?
僕は例によって仕事の忙しいくそ暑い夏のため創作休止に追い込まれています。
それでもまあ、あまり何も書かないのも淋しいので、最近のツイッター小説を元に5本書いてみました。
これは元のツイッター小説をなるべくそのままの形で、書き足りなかったところを補う程度にしたもので、「ツイッター小説プラス」と呼んでいます。

まだまだ暑い日が続きますので体に気を付けてお過ごしください。

ではでは。

イラストは無料イラストのイラストACさんでお借りしました。

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# by marinegumi | 2016-07-31 15:25 | ツイッター小説プラス | Comments(2)

Web光文社文庫 2作品目

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Web光文社文庫「SS(ショートショート)スタジアム」で僕の作品を掲載していただいています。

「ぼくにはかわいい妹がいた」という作品です。
「おでかけ」に続いて2作品目になります。
ジャンルとしてはどちらもSFになりますね。
なんというか、お涙ちょうだいSF?リリカルSF?
そんな感じ。
おひまなときに読んでやってください。

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# by marinegumi | 2016-07-11 18:42 | わたくし事 | Comments(0)

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井原線というローカル線の電車はパンタグラフがない。
電気で走っているのではないので電車というのもおかしいんだけれど。
運転席のすぐ後ろで景色を見ていたけれど、頭の上を通る電線もないので空がとても広く感じる。

矢掛駅と言う駅で降りた。
高い建物もないがらんとした駅前。
木で出来た時計塔のそばに留まっていたタクシーに乗って運転手さんに「美星町に行ってください」と言った。

美星町。
ただその名前だけだったんだ。
わたしはその街の名前の響きに誘われてここまで来てしまった。
「美星町のどこへ行くのかね?」
運転手さんにそう聞かれてまだ何も決めていないことに気がついた。
「美星町って星がきれいなんですか?」
「そうだね。『美星天文台』とか『星空公園』とかあるしね」
「じゃあ、そこに行ってください。天文台に」

タクシーから降りるとなんだか心もとなかった。
美星天文台の前の道路にひとりきりで置き去りにされた感じがした。

まだ昼間なので星を見る事は出来ないだろう。
天文台に入ればいろんな展示もあるかもしれないけれど、特に見たいとも思わなかった。
「星なんて望遠鏡で見なくてもいいしね」
そうつぶやいて歩き出した。

今朝、電車に乗った時は日帰りをするつもりだったし、星を見ようという気もなかった。
でもなんとなく気が変ってしまった。
夜になるまでこの町にいて一人で空を見上げて見ようと思った。

夕方に雨が降り出した。
今日は星を見られそうもない。
そう思うと何となくどうしても見てやろうと言う気持ちになる。
折り畳み傘を広げ山間の道路を歩いていると、駅前で乗った同じ会社のタクシーが通りかかった。
手を上げて乗せてもらい、運転手さんに聞いた。
もちろんさっきの人とは違う人だ。
「どこか泊まれるところはないですか?ホテルでも、旅館でもいいです」

案内されたペンションの窓から外を見ている。
今夜もまた雨が降っている。
これでもう何週間過ぎたんだろうか?
まだまだ雨は上がる様子がなかった。
この美星町で、星空を見上げることが出来るまで、帰らないとわたしは決めていた。



おわり




美星天文台ホームページ・美星天文台へようこそ!
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# by marinegumi | 2016-06-26 01:03 | 掌編小説(新作) | Comments(2)

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偕成社のサイトで連載されている、高井信さんの「小学生のためのショートショート講座 第23回「 伏線(ふくせん)を張ろう」です。
イラストは、僕が描かせていただいています。


『小学生のためのショートショート講座』記事一覧
第23回「 伏線(ふくせん)を張ろう

今回も、まだ自分の身体の部品を元通りに取り付けられなくて、調子の悪いショー太くんです。
さていよいよこの連載も間もなく2年で、最終回も近いですね。

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# by marinegumi | 2016-06-24 23:43 | 写真や お絵かき | Comments(2)

水槽 (2枚)

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熱帯魚を買ってきた。
夕焼けの色をしたプラティーを15匹。
プラティーを入れる前に水槽の中に景色を作りたくなった。
魚たちにはビニール袋のまま、エアーポンプで空気を送り、待ってもらうことにした。

色違いの砂を何層かに敷き、丘を作り、水草の樹木を植える。
左奥にはこんもりとした森を作る。
丘には曲がりくねった道を作り、その先にレンガ造りの家を置く。
庭を柵で囲い、郵便ポストを取付け、外灯のポールを立てる。

ふと思いついて、道だけを残してごく短い水草をびっしりと植えた。
砂でグラデーションを描いた地面は見えなくなったけれど、それはそれでいい。
やりだしたらとことん凝らないと気が済まないのがぼくの悪い癖だ。

水槽の中のその景色を確認して、やっと水を張りだしたのは夕暮れ近かった。
注意深く、景色を壊さないように少しづつ水を入れていると窓の外に音が聞こえた。
いつの間にか空は雲に覆われ、夕立が降り出したところだった。
なんだか大雨になりそうな予感がした。



おわり


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# by marinegumi | 2016-06-19 17:46 | 掌編小説(新作) | Comments(2)

雨宿りの木 (3枚)

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学校帰り。
青空の下。
僕はビニール傘をステッキの様に持って、左右に揺らしながら歩いていた。
街を外れ、川に架かった橋を渡り、いつもの野原の中の道を歩いて行く。
女の人が怪訝そうな顔で僕を見送っていた。

やがて空に雲がかかり、間もなく雨が降り出した。
ビニール傘を開く。
雨は強くなりビニール傘の上を流れる。
しばらく歩くと小さな池のそばの一本の大きな木が見えてくる。
そしてその木の下には雨宿りをする映子ちゃんがいた。
「こんにちは」
僕が声をかけると映子ちゃんはにっこりとほほ笑む。
いつも胸がきゅんとするすてきな笑顔だ。
僕は今日、学校であった事をあれこれ映子ちゃんに話してあげる。
「へえ?そうなの」
「麻衣ちゃんが?」
「そんなのうそでしょ!」
映子ちゃんはそういう風に相槌を打ちながら楽しそうに聞いてくれる。
話し終わり、ふと沈黙が下りる。

僕はいつも迷っている。
映子ちゃんに告白するかどうかを。
こんなにも好きで好きでたまらない気持ちを打ち明けるかどうかを。
でも、いつも決心がつかないのだ。
映子ちゃんが僕の気持ちを受け入れてくれたら僕はどうなるのだろう?
君とずっと一緒にいられるのだろうか?
映子ちゃんは可愛かった。
まつ毛の一本一本さえ現実的に見えた。
幽霊だなんて信じられなかった。

あいつに振られただけで、雨の日にこの池に身を投げた映子ちゃん。
何でいつまでもここにいるんだい?
僕が会いに来るのを待っているの?
そして僕が告白するのを待っていてくれてるのかい?

木の下に幽霊が出ると言ううわさで、この辺りには誰も寄り付かない。
どんなに良いお天気の日でも年中雨が降っている不思議な場所。
毎日僕が学校に傘を持って来るのは映子ちゃんに会うためだ。

さよならを言って僕は歩き出した。
いつか映子ちゃんに告白する日が来るのだろうか?



おわり



この作品はりんさんのブログ「りんのショートストーリー」の作品「雨が嫌いになった日」のコメント欄に書いた僕のお話のアイデアを元にしてでっち上げた作品です。
こういうコメントをしたことさえ忘れていましたが、今日、ふと思い出してしまいました。
と言うか、長いコメントだったのでワードで下書きをした物が残ってたんですね。
それを見つけて、なんだこれはと思って。
それを元に一つ書いてみようと言う事になったわけです。

りんさんの「雨が嫌いになった日」は2013年6月の作品ですね。
そして、映子ちゃんはこの作品の登場人物と同じ名前です。

ブログ「ゆっくり生きる」のはるさんがこの作品を朗読の動画にしてくださいました。
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# by marinegumi | 2016-05-29 16:58 | 掌編小説(新作) | Comments(4)

食べ物 (3枚)

a0152009_18443537.jpg

旅の途中だった。
ある村を通り過ぎようとしていた時に、もう食料品がない事に気がついた。
もうそろそろ昼になる頃で、急に空腹を感じた。
そこに何やら小さな食料品店らしい小屋が見えて来る。
店先に立つと一人の黒づくめの服を着た老婆が中に座っているのが見えた。
いくつかある台の上にはかごに盛られた卵ぐらいの大きさの白いものが並んでいる。
多い少ないはあるものの、どのかごもみんな同じものだった。
「これは何ですか?タマゴかな?」
そう声をかけるとそれまで影の様に身動きしなかった老婆はのそりと体を動かした。
「食べ物じゃよ」
「ええ、何という食べ物なんですか?」
老婆はまじまじと私の顔を見た。
そしてよそ者だと気がついて納得したのか、小さくうなづいた。
「食べ物じゃよ。そう。タマゴだと思って食べればそれはタマゴだし、肉だと思って食べればそれは肉なのじゃ」
「ええ?そんな食べ物があるんですか?」
「そうじゃよ。だからこの村の者はみんなこれを買って帰るのさ。畑を耕す必要も、狩に出かける必要もない」
「それじゃあ私もいただきます。これぐらいでいいかな」
私は10個ぐらいが盛られたかごを指さした。
老婆は皿から紙袋にそれを移し替えると私に差し出して言った。
「12ハンスじゃ。一回の食事に1個でいいよ」
食事10回分ならそれほど高くもない。

しばらく歩いて村はずれの川のほとりで私は座って食事をすることにした。
白い丸いものは触ると軟らかくて不思議な感触だった。
しっとりしているようで乾いているようで、潰れそうでいてしっかり弾力がある。
「食べる時はこれが食べたいものだと想像して食べるんじゃよ」
老婆の言葉を思い出していた。
それを口に入れた時、変な想像をしてしまった。
「し、しまった」
またたく間にひどい吐き気とめまいに襲われた。
そして意識が遠のいて行く。
私はそれを毒キノコだと想像してしまったのだ。




おわり




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# by marinegumi | 2016-05-28 18:47 | 掌編小説(新作) | Comments(2)

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偕成社のサイトで連載されている、高井信さんの「小学生のためのショートショート講座 第22回『プロットを作ろう(後編)』」です。
イラストは、僕が描かせていただいています。


『小学生のためのショートショート講座』記事一覧
第22回『プロットを作ろう(後編)』


「更新されました」
と言うよりも、「20日に更新されていました」と言う方が正しいですね。
ついつい記事を書くのを忘れることなく忘れてしまい、日にちが経ってしまいました。
まあ、いつかは記事を書こうとして先月分のを忘れていたと言う事もありましたがそれよりはましですね。

今回は前回のイラストとストーリーがつながっています。

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# by marinegumi | 2016-05-28 00:01 | 写真や お絵かき | Comments(0)